『(?)神』との遭遇(前編)

 
「traveler」の中に『死神』がいる。北村賢治は、そう言い残した。
今、生き残っている「traveler」は24人。佐藤心愛は、そう言った。
それらと持っている情報を整理してみると、一つの結論に達した。『死神』の正体は『奴』で間違いないだろう。
ただ、『死神』と戦う前に一つ、確かめなければならないことがある。白木翼が白か黒か、だ。

そんなことを考えていた私が次に辿り着いた世界は―――――。


「・・・どこだ?ここは。」


―――――知らない世界だった。いや、正確には分からないと言うべきか。行った先の世界のことをある程度知ることが出来るのは「traveler」の基本能力のはずだ。何も分からないというのは奇妙な話。まさか、何者かが世界の情報規制を行っているとでも・・・?

私は辺りを見回した。白い空。どこまでも続く花畑。ヒラヒラと飛び交う紋白蝶。そして、寝転んだり、蝶を追いかけたりしている無数の白猫達。花の香りと共に幻想的な雰囲気が漂っていて、目を凝らしていないと全てが白に溶けて見えなくなってしまいそうだった。

『夢のような世界だと思いませんか?』

少女の声が響いた。
声のした方を見ると花畑の向こうにテニスコートぐらいの開けたスペースがあり、そこに猫のキグルミを着た者が立っていた。

「お前は・・・。」

キグルミの首の隙間から白く長い髪が漏れ出ている。

『初めまして、田宮さん。我が名は『猫魔神(ねこまじん)』。世界中の猫をこよなく愛する者です。』

そう言いながら奴は首を少し横に傾けた。おそらく、キグルミの中ではあの少女がニコッと笑っているのだろう。

「なるほどな・・・。ここはお前の世界『ユメノナカ』という訳か。」

以前、“ブック・オブ・ザ・ワールド”を読んでいると、猫魔神を名乗る白木翼が他の世界から人間を呼んで遊んでいる場面が目に留まった。(不思議な世界で遊戯王~導かれし五人の勇者達~参照
白木の能力は詳細こそ不明だが、「大体何でも出来る」ようだ。その能力を使えば世界そのものも構築できるのか。「traveler」ならば、佐藤の幼稚園、白姫の病室、北村の闇夜の空間・・・などというように、それぞれの世界を持っているし、私も世界とは少し違うが白い別空間を作り出せる。白木は能力も知識も「traveler」に近いのかもしれない・・・。

『うふふ・・・。あ、言っておきますけど私は白木翼ではありませんからね。今は『猫魔神』ですから、そこのところ、よろしくお願いします。』

「ふん・・・名前など、どちらでもいい。白木、聞きたいことがある。」

白木は冗談めかして笑いながら言う。

『ふふ、『猫魔神』ですって。田宮さんも頑固な人ですねぇ。ちゃんと呼んでくれないと答えませーん。』

白木はそっぽを向いた。
頑固なのはどちらだというのか・・・。というか、こんなやり取りを猫左衛門とした気がするぞ。こんなところで無駄に時間を潰すのも癪だな・・・。

「・・・猫魔神、聞きたいことがある。」

『はい、何でしょうか?』

「北村賢治に何をした?」

私はストレートに疑問をぶつけてみた。

『・・・何をしたか、ですか・・・。ふむ・・・。』

白木は少し考えてから、ゆっくりと言葉を吐き出した。

『白木翼は、北村賢治と、少しの言葉を交わした後、遊戯王カードを手渡した。これは完全な真実であることを承認します。』

「北村がお前と会った場面は“ブック・オブ・ザ・ワールド”で見たが、途中から何も映らなくなった。何故、隠した?」

『“ブック・オブ・ザ・ワールド”・・・?それは何です?』

「世界の出来事を小説のように読める道具だ。」

『なるほど・・・。カーチャさんの正体がバレると、あの世界では生き辛くなるので白木翼が情報制御をしました。その影響が“ブック・オブ・ザ・ワールド”にも出たのでしょうね。』

「・・・それらが真実だと証明出来るか?」

『うふふ、それはズルイ聞き方ですね。証明など出来ませんよ。』

間髪入れずに白木は答えた。

『今、私が話したことは真実かもしれないし、真っ赤な嘘かもしれません。もしくは嘘と本当が入り混じっているかも。本当だと思うのならば信じていただければと思いますし、嘘だと思うのならば信じなくて結構です。ただ―――――。』

白木はどこからともなくデュエルディスクを取り出してキグルミの上から腕に装着した。

『―――――私とデュエルをすれば何か新しい発見があるかもしれませんよ。』

「なるほどな。あの時は3対1だったが、今度は1対1だ。」

私の腕には既にデュエルディスクが装着されている。

『だから私と田宮さんは初対面ですって。』

白木はキグルミの中でクスリと笑った。

『ルールはマスタールール3、ライフポイントは4000でどうでしょうか?』

「ああ、それでいい。」

『それから、私『猫魔神』はワールドカードを持っていないので発動しません。田宮さんはどうします?』

今は白木翼ではないからワールドカードも使わないということか。設定が細かいな・・・。確かに私はワールドカードを持っている。

行方不明な気分Ver.4
フィールド魔法(ワールドカード)
0.デュエル開始直前にデッキのこのカードを相手に見せることで、このカードを発動した状態でデュエルが始まる。この効果を使用した場合、自分はデッキ変更できず、このカードはフィールドを離れず、効果を無効にできない。このカードは他のフィールドカードと共存する。
1.エンドフェイズ時にターンプレイヤーは自分フィールド上のカード1枚をゲームから除外する。
2.各プレイヤーは、自分のデッキからフィールド魔法を1枚選択してフィールドカードゾーンに置くことができる。この時、フィールドカードゾーンにフィールド魔法が既に存在している場合、そのカードの上に選択したフィールド魔法を重ねるように置く。この効果で重ねて置いたフィールド魔法がフィールドを離れる場合、その一番上のカード1枚のみがフィールドから離れる。このカード名のこの効果を、各プレイヤーは1ターンに1度しか使用できない。(ターンプレイヤーから見て、相手のターンであっても発動できる)
3.ターンプレイヤーは、ゲームから除外されているカードをこのカードの下に重ねて置くことが出来る。
4.???

「憩いの湖の世界」で得て、北村とのデュエルでVer.2になったこのカードは、いくつものデュエルを経験し、Ver.4にまで成長した。思えば、北村のワールドカードはVer.4だったな・・・。

「・・・私も使わん。そんな気分ではない。」

『分かりました。それでは・・・。』


「『デュエル!』」

田宮行方  「田宮行方の」デッキ LP4000
『猫魔神』  「白き書架」デッキ   LP4000


デュエルディスクを見れば対戦者の名前が白木翼ではなく『猫魔神』と表示されていた。本当に無駄に細かい・・・。

『先行を頂いてもよろしいでしょうか?』

「好きにしろ。」

『ではありがたく・・・私のターン。まずはフィールドゾーンにカードをセットし、フィールドバリアを発動します。』

白木のフィールドゾーンに置かれたカードと私のフィールドゾーンがバリアで覆われた。

フィールドバリア
永続魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いにフィールド魔法カードを破壊できず、フィールド魔法カードの発動もできない。「フィールドバリア」は、自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

『更にカードを1枚伏せます。そして、レスキューキャットを通常召喚します。』

レスキューキャット
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
「レスキューキャット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される。

ヘルメットを被った可愛い猫が登場した。しかし、このモンスターが長くフィールドに留まることはない。

『レスキューキャットの効果を発動し、デッキからまたたびキャット2体を特殊召喚します。』

またたびキャット
効果モンスター
星2/地属性/獣族/攻 0/守 500
自分フィールド上にこのカード以外の獣族モンスターが存在する場合、このカードを攻撃する事はできない。相手フィールド上に存在するモンスター1体の守備力をエンドフェイズ時まで0にする。この効果は1ターンに1度だけ使用する事ができる。

またたびキャット
効果モンスター
星2/地属性/獣族/攻 0/守 500
自分フィールド上にこのカード以外の獣族モンスターが存在する場合、このカードを攻撃する事はできない。相手フィールド上に存在するモンスター1体の守備力をエンドフェイズ時まで0にする。この効果は1ターンに1度だけ使用する事ができる。

『そして2体のまたたびキャットでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚です。ご登場!千客万来!来る者拒まず、去る者追わず!No.(ナンバーズ)29 マネキンキャット!』

猫2体が自らの体を光に変えて交わり、大爆発を引き起こす。そして現れたのは可愛らしい猫耳少女のマネキン人形だった。

No.(ナンバーズ)29 マネキンキャット
エクシーズ・効果モンスター
ランク2/光属性/獣族/攻2000/守 900
レベル2モンスター×2
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。
(2):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターと種族または属性が同じモンスター1体を自分の手札・デッキ・墓地から選んで特殊召喚する。

来る者拒まず去る者追わず、か。誰でも歓迎する「憩いの湖の世界」のキャッチコピーのような言葉の一つだったな。しかし、キャットと名の付くモンスターばかりを次々と・・・。

『そして、EM(エンタメイト)ドラネコをペンデュラムゾーンにセットします。』

また猫か・・・。ドラネコらしく、ふてぶてしい顔をしている・・・。

EM(エンタメイト)ドラネコ
ペンデュラム・効果モンスター
星1/地属性/獣族/攻 100/守 100
【Pスケール:青2/赤2】
(1):1ターンに1度、相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
【モンスター効果】
(1):1ターンに1度、自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

『これで私のターンは終了です。さあ、どうぞ。田宮さんのターンですよ。ニャン。』

手札を全て使い切った白木はキグルミのまま可愛くポーズを取ってターンを終えた。


1ターン目終了
『猫魔神』 LP4000
手札:0枚
モンスター:No.(ナンバーズ)29 マネキンキャット(攻2000)
ペンデュラムゾーン:EM(エンタメイト)ドラネコ(スケール2)
魔法&罠:伏せカード(フィールドカード)、フィールドバリア(永続魔法)、伏せカード×1

田宮行方 LP4000
手札:5枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:なし


「私のターン。」

見れば白木のフィールドでキャットが手招きして、ドラネコが笑っている。今は「猫」魔神だけに猫関連のカードばかりを入れたファンデッキのような構成にしたのか?などと考えてはいけない。特に白木相手には。

最初に白木と会ったのは「憩いの湖の世界」だった。第一印象は、あまり良くなかった。まるで私の心を読んで、私の欲している答えを差し出すという奴の行動に対し、「traveler」でないにも関わらず何をどこまで知っているのか、と睨み付けてしまったほどだ。その答えに「なるほど」と思ったにも関わらず。
同時に出会った憩いの湖の看板娘であるパルナや、湖の主の千花白龍の言葉はすんなりと受け入れられたというのに。あの時は気分の問題だと・・・いや、特に気にも留めていなかった。が、今から思えば、パルナに裏表はないが白木には何か得体の知れないものがあると感じていたのかもしれない。
ただ、デュエルを終えた時は悪い気分ではなかった。白木のオリジナルカードである《同星同盟》を使い、大型ドラゴンを揃えてデュエルに勝利し、湖から吹く爽やかな風を全身に感じながら、あの世界を後にした。

次に白木を見たのは“ブック・オブ・ザ・ワールド”越しで、猫魔神と名乗りながら北村と対峙しているところだった。傍から見ている分にはツッコミどころ満載で、コントのような雰囲気で北村を言葉で手玉に取り、翻弄している様子は、まるで小悪魔だった。後から思うと、北村には「嵌められた、乗せられた、騙されていた」という意識はなかっただろう。
と思った瞬間、全身から汗が吹き出したかのような感覚に陥った。そういう私も最初は警戒していたはずなのに、気が付けば白木のペースに嵌っていたのではないだろうか。

白木は、「人が悪い」か「性質(タチ)が悪い」かは分からないが、非常に「悪い」人間なのは間違いない。
「想像するには・・・」「仮に・・・」などと仮定型だったり、「・・・と思いませんか?」「違いますか?」と問いかけだったりして、曖昧に話をしながら相手が喋るように誘導する。「人間は自分の信じたいものを真実と思い込む傾向が強い」という言葉を概ね正しいとするならば、白木によって喋らされた相手は、自身が無意識に望んだ空想だったものを、あたかも真実を手に入れたかのように思い込むのではないだろうか。こうして、白木は巧みに嘘を吐くのだ。
いや、嘘「は」吐かない。まるで何かの制約かのように白木は嘘「だけ」は吐かないのだ。その代わりに真実の一部だけを話すことで相手に勘違いさせるという手法も使うから、ますます性質(タチ)が悪い。『ユメノナカ』でもプレイヤー達に指摘されている通り、ゲームマスターとして悪質さを大いに発揮していた。
敢えて相手が勘違いするような言動を心掛けているのだとしたら「人が悪い」。無意識に相手を勘違いさせているのだとしたら「性質(タチ)が悪い」。奴の世界の者ですら「狂気の混沌」などと呼んでいることから考えても、悪質な魂の持ち主なのは間違いないだろう。

話を戻そう。白木のデッキは猫のファンデッキなどではない。もっとおぞましい何かだ。

「ドロー。」

6枚の手札を確認した私は、再び白木のフィールドに目をやった。まず問題はマネキンキャットの効果だ。下手に特殊召喚しようものなら、とんでもないモンスターがやって来るだろう。天使の笑顔の裏でしたたかに罠を張りに来たか。白木のデッキは最初に戦った時と変わらず、シンクロ、エクシーズ、何でもありの混成デッキだろう。当然、厄介な最上級モンスターも入っていると考えるべきだ。
それからフィールドゾーンに伏せられたカードが少し気になるな。フィールドバリアを張れば破壊はされなくなるが代わりに発動も出来なくなる。何のためにわざわざ伏せたのか。何かを狙っている・・・?それと、もう1枚の伏せカードは罠カードだろうか。
どう攻めるか・・・。まずはこれだな。

「私はカードを1枚伏せて、手札抹殺を発動する。」

手札抹殺
通常魔法
(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

「4枚捨てて4枚ドロー。」

『私は手札0なので何も出来ませんね。』

「捨てたカードの1枚は執念の剣だ。デッキトップへ戻すぞ。」

執念の剣
装備魔法
装備モンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。このカードが墓地へ送られた時、このカードをデッキの一番上に戻す。

『なるほど。それで来ますか。』

キグルミが僅かに下を向く。私の伏せカードを見ているのか。

「伏せていたカード、真実の名を発動。宣言するのは当然、執念の剣だ。」

真実の名
通常魔法
「真実の名」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):カード名を1つ宣言して発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。宣言したカードだった場合、そのカードを手札に加える。さらに、デッキから神属性モンスター1体を手札に加えるか特殊召喚できる。違った場合、めくったカードを墓地へ送る。

「執念の剣を手札に加え、更にデッキから神属性モンスターを特殊召喚する。その者、降臨せしむれば、灼熱の疾風大地に吹き荒れ、生きとし生ける者すべて屍とならん!出でよ、オベリスクの巨神兵!!」

フィールドの空気が一変した。風が吹き、空が曇り、大地が揺れる中、青い巨体のモンスターが現れた。

オベリスクの巨神兵
効果モンスター
星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000
このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。
(1):このカードの召喚は無効化されない。
(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。
(3):このカードは効果の対象にならない。
(4):自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃宣言できない。
(5):このカードが特殊召喚されている場合、エンドフェイズに発動する。このカードを墓地へ送る。

「遊戯王デュエルモンスターズの世界」において比類なき力を誇る三幻神の一体、オベリスク。このカードは量産型ではあるが、その力強さはまだまだ健在だ。フィールドに出ただけで、この威圧感。他のカードではこうはいかないだろう。

『オベリスクの召喚成功時にはモンスターの効果は発動出来ない。これではマネキンキャットの効果が発動出来ませんね。』

「その通りだ。では吹き飛べ。オベリスクの攻撃、ゴッド・ハンド・クラッシャー!」

オベリスクの巨大な拳がマネキンを吹き飛ばし、跡形もなく粉砕した。

No.(ナンバーズ)29 マネキンキャット(破壊)

『猫魔神』 LP4000→2000

オベリスクは効果の対象にならない。白木が伏せているカードが何かは分からんが、オベリスクの攻撃を早々止めることは出来ない。対抗手段がない訳ではないがな。

「私はモンスターをセット、カードも1枚セットする。これでターンエンドだ。この瞬間、特殊召喚されていたオベリスクは墓地に送られる。さあ、白木。お前のターンだぞ。」

『だから『猫魔神』ですってば。』

白木はキグルミの中でクスリと笑った。


2ターン目終了
『猫魔神』 LP2000
手札:0枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:EM(エンタメイト)ドラネコ(スケール2)
魔法&罠:伏せカード(フィールドカード)、フィールドバリア(永続魔法)、伏せカード×1

田宮行方 LP4000
手札:3枚(執念の剣かも?)
モンスター:裏側守備表示モンスター(守?)
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:伏せカード×1(執念の剣かも?)


『私のターンですね。ドロー。』

白木は猫のキグルミを着たまま器用にカードを引いた。

『まずはペンデュラムゾーンにP・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―をセッティングします。』

「っ!?」

『アー!アー!アー!ア、アアアアアアアー!』

カメレオンのような目玉をギョロギョロ動かしながら、逆さに吊り下げられた怪鳥が登場し、ペンデュラムゾーンで爆音波を放つ。ダラリと下がった黒い羽根の先の三本のペンデュラムが小刻みに震えていた。

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星3/闇属性/鳥獣族/攻300/守300
【Pスケール:青3/赤3】
(1):「――――――――――」
【モンスター効果】
(1):このカードがフィールドを離れた時、相手ライフに300ポイントのダメージを与え、自分は300ライフポイント回復する。
(2):墓地・エクストラデッキの「P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―」を3枚除外して発動できる。墓地からモンスター1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

驚いたことに、それは北村が使っていたカードだった。

あの時・・・北村に勝利した後、奴が使っていたカードの何枚かは手に入ったが、デュエルディスクから弾かれたカードもあった。だがP・G(ペンデュラム・ゴッド)カードは、そもそも手に入らなかったカードだ。加えてオリジナルカードは唯一無二のはず。何故、北村が持っていたカードと同じものを白木が持っている?・・・答えは一つだ。

「・・・そうか、お前が北村に渡したカードというのはP・G(ペンデュラム・ゴッド)だったのか。」

『その通りです。ひょっとして、もう北村さんとデュエルをしました?』

「・・・ああ、デュエルしたさ。」

『北村さんは強かったでしょう?何せ、カーチャさんにも勝ったのですから。』

白木は、まるで自分のことのように嬉々として喋りだした。

『北村さんはオリジナルカードも、ワールドカードのVer.も着実に増やしています。最強の決闘者になるために他の世界でも強き者と全力でデュエルして、今なおデュエルの腕を磨いているはずです。・・・それで、結果はどうでした?』

「私が勝った。」

『そうですか、流石は田宮さんですね。ですが北村さんも負けっぱなしではないでしょう。負けたことを糧として、別の世界で別の誰かとデュエルをして、そして次はもっと強くなる。今度、北村さんが田宮さんと戦う時は、もっともっと強くなっていると思いますよ。』

北村に次など、ない。北村は死んだ。私が殺したのだから。

『おっと、デュエルを再開させてもらいますね。P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―のペンデュラム効果を発動します。300ポイントのライフを払い、デッキからスケール5のP・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―を手札に加えます。』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星3/闇属性/鳥獣族/攻300/守300
【Pスケール:青3/赤3】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、300ライフポイントを払う事で自分のデッキからPスケール5のモンスター1体を手札に加えることができる。
【モンスター効果】
(1):このカードがフィールドを離れた時、相手ライフに300ポイントのダメージを与え、自分は300ライフポイント回復する。
(2):墓地・エクストラデッキの「P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―」を3枚除外して発動できる。墓地からモンスター1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

『猫魔神』 LP2000→1700

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/獣族/攻500/守500
【Pスケール:青5/赤5】
(1):「――――――――――」
【モンスター効果】
(1):「――――――――――」
(2):「――――――――――」

北村は結局、私とのデュエルでは五月蝿い鳥(ココリコ・ココリス)をペンデュラムゾーンに出すことがなかった。どんな効果か分からなかったがサーチ効果だったのか。そして私の知らないP・G(ペンデュラム・ゴッド)が白木の手札に・・・。

『そして、伏せていた揺れる眼差しを発動します。』

伏せカードは罠ではなかったか。

揺れる眼差し
速攻魔法
(1):お互いのPゾーンのカードを全て破壊する。その後、この効果で破壊したカードの数によって以下の効果を適用する。
●1枚以上:相手に500ダメージを与える。
●2枚以上:デッキからPモンスター1体を手札に加える事ができる。

●3枚以上:フィールドのカード1枚を選んで除外できる。
●4枚:デッキから「揺れる眼差し」1枚を手札に加える事ができる。

EM(エンタメイト)ドラネコ(破壊)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―(破壊)

『破壊したペンデュラムゾーンのカードは2枚。よって、田宮さんに500ポイントのダメージを与え、私はデッキからペンデュラムモンスター1体を手札に加えます。』

田宮行方 LP4000→3500

『手札に加えるのはP・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―です。』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星9/闇属性/魔法使い族/攻0/守0
【Pスケール:青1/赤10】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、自分のデッキから『P・G(ペンデュラム・ゴッド)』カード1枚を手札に加えることができる。
【モンスター効果】
(1):このカードが戦闘を行う場合、エクストラデッキのペンデュラムモンスター1体を選択して発動できる。このカードの攻撃力は選択したモンスターの攻撃力分アップする。
(2):手札を1枚捨てることで、エクストラデッキにあるこのカードを自分の空いているペンデュラムゾーンに置くことができる。

北村とのデュエルでココリコ・ココリスと共に、私を騒音的な意味でも散々苦しめたモンスターが白木の手札に加わった。

『そして、手札のトプルカルをペンデュラムゾーンにセッティングします。』

『ブフォオ!ブフォフォオオオ!!』

嘶きながらP・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―が現れる。トプルカルは一言で言えば馬のモンスターだが、普通の馬とは違い、横腹にも足が二本生えている六本足の獣であった。その獣の二本の後ろ足が空から垂れ下がっているロープに括られ、中吊り状態になっている。残りの四本の足と頭にある馬特有の立派なタテガミそれぞれに一つずつペンデュラムが結び付けられ、垂れ下がっていた。

『トプルカルのペンデュラム効果発動です。』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/獣族/攻500/守500
【Pスケール:青5/赤5】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、500ライフポイントを払う事で以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分のデッキからPスケール7のモンスター1体を手札に加える。
●自分のデッキからPスケール5以下のモンスター1体を手札に加える。その後、自分のPゾーンのこのカードを破壊する。

【モンスター効果】
(1):「――――――――――」
(2):「――――――――――」

『500ポイント払い、デッキからスケール5のトプルカルを手札に加えます。そして、このカードを破壊します。』

『猫魔神』 LP1700→1200
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―(破壊)

空中に吊り下げられた馬が消え去った代わりに新しい馬がやって来る。

『2枚目のトプルカルをペンデュラムゾーンにセット。そして、500ポイント払ってデッキから3枚目のトプルカルをゲットです。』

『猫魔神』 LP1200→700
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―(破壊)

先ほどと同じ光景が繰り広げられる。まるで屠殺場のようだ。

『更にペンデュラムゾーンにトプルカルをセットし、500ポイント払って2枚目のココリコ・ココリスを手札に加えます。』

『猫魔神』 LP700→200
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―(破壊)

白木のライフはあっと言う間に200ポイントになった。その代わりエクストラデッキは潤沢になったがな。

『そして私はアマジャステリアをペンデュラムゾーンにセットします。』

『グルギシャアアアアアアアアア!!!』

下半身は太った蛇、上半身は包帯でグルグル巻きのモンスターが頭の中を引っ掻き回すかのような騒音を撒き散らしながらペンデュラムゾーンに現れた。包帯の下からは十本の枝のようなものが飛び出ていて、その先にペンデュラムが付いている。北村が使っていたもう1種類のP・G(ペンデュラム・ゴッド)モンスター・・・。

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星9/闇属性/魔法使い族/攻0/守0
【Pスケール:青1/赤10】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、自分のデッキから『P・G(ペンデュラム・ゴッド)』カード1枚を手札に加えることができる。
【モンスター効果】
(1):このカードが戦闘を行う場合、エクストラデッキのペンデュラムモンスター1体を選択して発動できる。このカードの攻撃力は選択したモンスターの攻撃力分アップする。
(2):手札を1枚捨てることで、エクストラデッキにあるこのカードを自分の空いているペンデュラムゾーンに置くことができる。

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―の効果により、同じくアマジャステリアをデッキから手札に加えてペンデュラムゾーンにセッティング。そして、そのアマジャステリアの効果で手札に3枚目のココリコ・ココリスを加えます。』

北村はアマジャステリアでアマジャステリアばかり呼んでいたが、アマジャステリア以外のP・G(ペンデュラム・ゴッド)カードも選択出来るのだったな。

『ペンデュラムゾーンにセッティングされたアマジャステリアは左がスケール1、右がスケール10となります。これでレベル2から9のモンスターが同時に召喚可能です。揺さぶりましょう、魂のペンデュラム。どうぞいらっしゃい、光の下へ。ペンデュラム召喚です!』

白木のフィールドに手札から1体、エクストラデッキから4体のモンスターが同時に降り注ぐ。

『ブフォオ!ブフォフォオオオ!!』
『ブルオオオオオオオオオオオ!!』
『ブル!!ブル!!ボフォフォ!!』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/獣族/攻500/守500
【Pスケール:青5/赤5】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、500ライフポイントを払う事で以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分のデッキからPスケール7のモンスター1体を手札に加える。
●自分のデッキからPスケール5以下のモンスター1体を手札に加える。その後、自分のPゾーンのこのカードを破壊する。
【モンスター効果】
(1):「――――――――――」
(2):「――――――――――」

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/獣族/攻500/守500
【Pスケール:青5/赤5】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、500ライフポイントを払う事で以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分のデッキからPスケール7のモンスター1体を手札に加える。
●自分のデッキからPスケール5以下のモンスター1体を手札に加える。その後、自分のPゾーンのこのカードを破壊する。
【モンスター効果】
(1):「――――――――――」
(2):「――――――――――」

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/獣族/攻500/守500
【Pスケール:青5/赤5】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、500ライフポイントを払う事で以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分のデッキからPスケール7のモンスター1体を手札に加える。
●自分のデッキからPスケール5以下のモンスター1体を手札に加える。その後、自分のPゾーンのこのカードを破壊する。
【モンスター効果】
(1):「――――――――――」
(2):「――――――――――」

3体は五月蝿い馬、トプルカル。そして2体は五月蝿い鳥、ココリコ・ココリス。

『アー!アー!アー!ア、アアアアアアアー!』
『アーアー、アーアー、アー、アア、アーアー!』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星3/闇属性/鳥獣族/攻300/守300
【Pスケール:青3/赤3】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、300ライフポイントを払う事で自分のデッキからPスケール5のモンスター1体を手札に加えることができる。
【モンスター効果】
(1):このカードがフィールドを離れた時、相手ライフに300ポイントのダメージを与え、自分は300ライフポイント回復する。
(2):墓地・エクストラデッキの「P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―」を3枚除外して発動できる。墓地からモンスター1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星3/闇属性/鳥獣族/攻300/守300
【Pスケール:青3/赤3】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、300ライフポイントを払う事で自分のデッキからPスケール5のモンスター1体を手札に加えることができる。
【モンスター効果】
(1):このカードがフィールドを離れた時、相手ライフに300ポイントのダメージを与え、自分は300ライフポイント回復する。
(2):墓地・エクストラデッキの「P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―」を3枚除外して発動できる。墓地からモンスター1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

『まずは特殊召喚されたトプルカルのモンスター効果発動です。田宮さんに500ポイント×3体で合計1500ポイントのダメージです。』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/獣族/攻500/守500
【Pスケール:青5/赤5】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、500ライフポイントを払う事で以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分のデッキからPスケール7のモンスター1体を手札に加える。
●自分のデッキからPスケール5以下のモンスター1体を手札に加える。その後、自分のPゾーンのこのカードを破壊する。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手ライフに500ポイントのダメージを与える。
(2):「――――――――――」

身をよじらせたトプルカルが反動を使いブランコの要領で私に突撃してきた。坂本デュエルの科学力を使って身体能力を上げた私は、それを紙一重で交わす。だが、トプルカルはすれ違いざまに首を伸ばして私の頭に噛み付いた。と、次の瞬間にもう1体のトプルカルに腕を噛まれた。その上、最後のトプルカルの体当たりをまともに受けてしまった。身体強化のために肉体へのダメージはないが、頭と腕にべっとり付いた唾液に腹が立つ。ソリットヴィジョンも無駄にリアルを追求しやがって・・・。

田宮行方 LP3500→2000

『そして、3体のトプルカルでオーバーレイネットワークを構築します。レベルよーし、ランクよーし、はいよー、エクシーズ召喚です!ご登場、全ての重機を統べる王!重機王、ドボク・ザああぁぁああーク!!!』

3体の馬が光に変わり、巨大な渦の中に吸い込まれて爆発を引き起こす。そして、その中から出てきたのは巨大な重機のモンスター。北村がよく使っていた「重い」エクシーズモンスター。

重機王ドボク・ザーク
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/地属性/機械族/攻3200/守2000
レベル5モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカードの中にモンスターカードがあった場合、その数まで相手フィールド上のカードを破壊する。

『そして、素材となったトプルカルのモンスター効果発動です。トプルカルの支援を受けてドボク・ザークがパワーアッープっ!』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―トプルカル―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/獣族/攻500/守500
【Pスケール:青5/赤5】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、500ライフポイントを払う事で以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分のデッキからPスケール7のモンスター1体を手札に加える。
●自分のデッキからPスケール5以下のモンスター1体を手札に加える。その後、自分のPゾーンのこのカードを破壊する。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手ライフに500ポイントのダメージを与える。
(2):このカードがエクストラデッキのモンスターの特殊召喚に使用された場合、このカードを素材としたモンスターは攻撃力が500ポイントアップする。

背後霊の如く、うっすらと見えるトプルカル3体がドボク・ザークにエナジーを送った。

『500ポイント×3体なので、攻撃力1500ポイントアップです。』

重機王ドボク・ザーク 攻3200→4700

『そして、ドボク・ザークの効果発動です。オーバーレイユニットを1つ取り除いて田宮さんのデッキを上から3枚墓地に送ります。マウンテンクラッシャー!』

巨大な機械が私のデッキを削り取る。墓地に落ちたカードは―――――

奇跡召喚(ミラクル・サモン)
激流葬
ブラック・ホール

『おや、モンスターカードはなしですか。残念です。しかし、奇跡召喚(ミラクル・サモン)をデッキに入れているんですね。北村さんとのデュエルが田宮さんにとってどれだけの影響を与えたのかがよく分かります。』

奇跡召喚(ミラクル・サモン)は死に際の北村が私によこしたカードの内の1枚だ。

『更に手札のココリコ・ココリスを通常召喚し、3体のココリコ・ココリスでもオーバーレイネットワークを構築します。』

今度は五月蝿い鳥3体が光となって渦を生み出す。

『レベルよーし、ランクよーし。それ行け、エクシーズ召喚!ギアを回してエンジン全開、機械の力で駆け抜けろ!ギアギアギア クロスぅうう、ギガントぉおお!!!』

昔のロボットアニメで、正義のロボット達全員が合体したかのような姿、身長14メートル、体重50トンの超大型ロボットが満を持して動き出した。

ギアギアギア XG(クロスギガント)
エクシーズ・効果モンスター
ランク3/地属性/機械族/攻2500/守1300
レベル3モンスター×3
自分フィールド上の機械族モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するカードの効果はそのダメージステップ終了時まで無効になり、そのダメージステップ終了時まで相手は魔法・罠・効果モンスターの効果を発動できない。また、このカードがフィールド上から離れた時、自分の墓地からこのカード以外の「ギアギア」と名のついたカード1枚を選択して手札に加える事ができる。

『エクシーズ素材になってしまいましたのでココリコ・ココリスの効果は発動しません。ですが、これで攻撃準備が整いました。バトルです!重機王ドボク・ザークで伏せモンスターを攻撃!アルティメット・バケットホイール!この瞬間、ギアギアギア XG(クロスギガント)のオーバーレイユニットを1つ取り除いて効果発動です!ドボク・ザークの攻撃終了まで田宮さんは魔法、罠、モンスター効果を発動出来ない!』

伏せモンスター(シャインエンジェル)(破壊)

リクルーターであるシャインエンジェルもギアギアギア XG(クロスギガント)の効果の前では声を上げることも出来ず、誰も呼んで来れなかった。

『続いてギアギアギア XG(クロスギガント)でダイレクトアタックです!そして効果発―――――!』

「それは通さん。バトルステップに突入する前に手札から速攻のかかしの効果発動。」

速攻のかかし
効果モンスター
星1/地属性/機械族/攻 0/守 0
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。

「ギアギアギア XG(クロスギガント)の直接攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了する。」

『見事に防がれてしまいましたね。これで私はターン終了です。』

白木はキグルミのままペコリとお辞儀をした。


3ターン目終了
『猫魔神』 LP200
手札:0枚
モンスター:重機王ドボク・ザーク(攻4700)、ギアギアギア XG(クロスギガント)(攻2500)
ペンデュラムゾーン:
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン左、スケール1)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン右、スケール10)
魔法&罠:伏せカード(フィールドカード)、フィールドバリア(永続魔法)

田宮行方 LP2000
手札:2枚(執念の剣かも?)
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:伏せカード×1(執念の剣かも?)


「私のターン、ドロー。」

引いたカードは今の状況におあつらえ向きだった。

「白木、機械族ばかり並べたのは失敗だったな。」

『おや?ということはサイバー・ドラゴンでも来ましたか?って、だーかーらー私は『猫魔神』ですって・・・。』

キグルミの中からクックと笑い声が聞こえた。

「正解だ。サイバー・ドラゴンを特殊召喚。」

サイバー・ドラゴン
効果モンスター
星5/光属性/機械族/攻2100/守1600
(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

「そして私のサイバー・ドラゴンと、お前のフィールドの機械族モンスターを全て墓地へ送って融合召喚を行う。来い、サイバー流裏奥義!キメラテック・フォートレス・ドラゴン!」

金属で出来た三つ首の龍が怪しく光ながら現れた。

キメラテック・フォートレス・ドラゴン
融合・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻 0/守 0
「サイバー・ドラゴン」+機械族モンスター1体以上
自分・相手フィールドの上記カードを墓地へ送った場合のみ、エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。このカードは融合素材にできない。
(1):このカードの元々の攻撃力は、このカードの融合素材としたモンスターの数×1000になる。

「融合素材は3体。よってフォートレスの攻撃力は3000ポイントとなる。」

キメラテック・フォートレス・ドラゴン 攻0→3000

「更に執念の剣を装備だ。」

キメラテック・フォートレス・ドラゴン 攻3000→3500

『わお。』

「ココリコ・ココリスの蘇生効果は知っている。この攻撃力ならドボク・ザークが出てきても返り討ちだ。バトル!キメラテック・フォートレス・ドラゴンの攻撃!エヴォリューション・リザルト・アーティレリー!」

『ではココリコ・ココリスを3体除外して蘇生効果を発動しますね。』

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星3/闇属性/鳥獣族/攻300/守300
【Pスケール:青3/赤3】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、300ライフポイントを払う事で自分のデッキからPスケール5のモンスター1体を手札に加えることができる。
【モンスター効果】
(1):このカードがフィールドを離れた時、相手ライフに300ポイントのダメージを与え、自分は300ライフポイント回復する。
(2):墓地・エクストラデッキの「P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―」を3枚除外して発動できる。墓地からモンスター1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―(除外)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―(除外)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―ココリコ・ココリス―(除外)

『蘇生させるのは田宮さんの墓地に眠るオベリスクの巨神兵です。』

フィールドの空気が急変する。風が吹き荒れ、空に暗雲が立ち込め、大地が大きく揺れる中、3体の鳥に導かれ、青い巨体のモンスターが現れる。

オベリスクの巨神兵
効果モンスター
星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000
このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。
(1):このカードの召喚は無効化されない。
(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。
(3):このカードは効果の対象にならない。
(4):自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃宣言できない。
(5):このカードが特殊召喚されている場合、エンドフェイズに発動する。このカードを墓地へ送る。

ちっ。まあ、そうなるわな。味方にいれば心強いが敵に回すと厄介この上ない。

「攻撃を中止する。」

バトルステップの巻き戻しで反撃は免れたが、これ以上の追撃は無理か。

「これでターンエンドだ。」

『この瞬間、特殊召喚されたオベリスクの巨神兵は田宮さんの墓地に戻りますね。』

青き巨体のモンスターは再び大地の奥深くへと沈んでいった。


4ターン目終了
『猫魔神』 LP200
手札:0枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン左、スケール1)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン右、スケール10)
魔法&罠:伏せカード(フィールドカード)、フィールドバリア(永続魔法)

田宮行方 LP2000
手札:1枚
モンスター:キメラテック・フォートレス・ドラゴン(攻3500)
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:伏せカード×1、執念の剣(キメラテック・フォートレス・ドラゴンに装備中)


『では私のターンですね。ドローです。おっ!』

ドローしたカードを見て喜びの声を上げる白木。キーカードを引いたか。

『貪欲な壺を発動します。』

手札増強カードが来たのか。

貪欲な壺
通常魔法
(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

『私は墓地のXG(クロスギガント)、ドボク・ザーク、レスキューキャット、それからまたたびキャット2体を戻して2枚ドロー。そして、たった今引いた強欲で貪欲な壺を発動します。』

強欲で貪欲な壺
通常魔法
「強欲で貪欲な壺」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

『デッキから10枚カードを除外して2枚ドローです。』

これで白木の手札は一気に3枚か。

『更に魔法カード黒魔術のカーテンを発動し、デッキからブラック・マジシャンを特殊召喚します。』

黒魔術のカーテン
通常魔法
このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
(1):LPを半分払って発動できる。デッキから「ブラック・マジシャン」1体を特殊召喚する。

『猫魔神』 LP200→100

ブラック・マジシャン
通常モンスター
星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2100
魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。

白木のフィールドに一人の魔法使いが降り立つ。単純な攻撃力で見れば星7としては低い。だが、サポートカードの多さはおそらくデュエルモンスターズ中トップクラス。サポートカードや他のモンスターとのコンボによるトリッキーな戦術、かのデュエルキングの最も信頼するエースモンスターだ。思えば白木は「憩いの湖の世界」でのデュエルでもスターダストやホープなどのエースモンスターを使っていたな。

『そして、魔法カード2枚を発動。黒・魔・導(ブラック・マジック)千本(サウザンド)ナイフです!』

2枚ともブラック・マジシャンの専用カードか・・・!

黒・魔・導(ブラック・マジック)
通常魔法
(1):自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が存在する場合に発動できる。相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

千本(サウザンド)ナイフ
通常魔法
(1):自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が存在する場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを破壊する。

伏せカード(波紋のバリア -ウェーブ・フォース-)(破壊)
キメラテック・フォートレス・ドラゴン(破壊)

『これで田宮さんのフィールドはがら空きですね。では参ります。ブラック・マジシャンの攻撃!黒・魔・導(ブラック・マジック)!』

「通さん。バトルフェーダーを特殊召喚してバトル終了だ。」

バトルフェーダー
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

『これも防がれてしまいましたか・・・。私はこれでターンエンド。お互いに手札0ですね。』

そして白木のライフは残り100、か・・・。


5ターン目終了
『猫魔神』 LP100
手札:0枚
モンスター:ブラック・マジシャン(攻2500)
ペンデュラムゾーン:
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン左、スケール1)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン右、スケール10)
魔法&罠:伏せカード(フィールドカード)、フィールドバリア(永続魔法)

田宮行方 LP2000
手札:0枚
モンスター:バトルフェーダー(守0)
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:なし


「私のターン、ドロー。」

私が引いたのは執念の剣。フォートレスが破壊されたことで墓地に行ったが、その強制効果によりデッキトップへ戻ったから当然の結果だな。

『・・・ところで田宮さん。私とデュエル、何だか上の空じゃありませんか?』

白木がキグルミの上から頭を掻きながら言った。

『ひょっとして何か別のことを考えてません?』

その言葉に私は眉をピクリと動かした。

『あ、やっぱりそうなんですね。デュエリストたるものデュエル中は目の前の相手だけをしっかり見て戦うものだって、舞さんも遊戯さんに言ってますよ。』

舞と遊戯・・・。「遊戯王デュエルモンスターズの世界」におけるデュエルキングダムでの話か。確かに、デュエル中に出てくるカードが北村とデュエルした時のカードが多かったので、ついそっちのことも考えていた。確かに上の空と言われても仕方がない、か・・・。ならば更なる直球で行くか。

「北村が死んだ。」

『・・・。え?』

私の突然の言葉に白木は前のめりになって驚いている。

『北村さんが、死んだ?』

おそらくキグルミの中で目をパチクリさせているのだろう。

『い、イヤですよ田宮さん。「traveler」は死なないのでしょう?』

「いや、間違いなく死んだ。私が殺したんだ。」

『・・・はい?田宮さんが、殺した・・・!?』

「traveler」のことを色々知っている白木でも、「traveler」の殺し方は知らないか。

「「traveler」は相手の命や特殊能力を賭けたデュエルで負けると死ぬのだ。北村は私に賭けデュエルを挑み、そして負けて死んだ。」

『・・・どうして、命を賭けないデュエルを行わなかったのですか?デュエルを断るとか、「このデュエルでの勝敗はプレイヤーの生死と無関係になる」と約束してデュエルするとか、お互いが生きる道はあったと思うのですが・・・。』

「北村が私を殺す気でデュエルを申し込んできたんだ。私も命を賭けるし、相手の命ももらう。それが礼儀だ。理解し難いか?「traveler」とはそういう生き物なのだ。」

『・・・何故、北村さんは田宮さんに賭けデュエルを挑んだのでしょうか。北村さんはデュエルそのものを楽しむタイプで、賭けデュエルを仕掛けるような性格には見えませんでしたが・・・。』

「それは私にも分からん。ただ、私も同じ部分を疑問に思った。追い詰められれば別だが、北村は自分からデュエルで相手を殺しに行くような奴ではなかった。」

『では誰かが北村さんを追い詰めた、と?』

「可能性はある。で、北村とのデュエルで一つはそこに違和感を覚えたが、もう一つ。北村が死ぬ間際に、私に「白木翼の世界」には行くな、と警告したことだ。」

『ええっ!?それはどういうことですか・・・!?』

「分からん。ただ、お前なら何か知っているかと思ってな。」

『・・・。』

キグルミが俯き、十秒近く沈黙が続いた。

『さっき言ったこと以外は・・・。』

それだけ言って奴は口籠った。

「そうか。デュエルを再開する。墓地のグローアップ・バルブの効果発動。デッキトップを墓地に送り、こいつを特殊召喚する。」

グローアップ・バルブ
チューナー・効果モンスター
星1/地属性/植物族/攻 100/守 100
このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地に存在する場合に発動できる。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、このカードを墓地から特殊召喚する。

「そして、レベル1のグローアップ・バブルにレベル1のバトルフェーダーをチューニング!フォーミュラ・シンクロンをシンクロ召喚だ!」

フォーミュラ・シンクロン
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星2/光属性/機械族/攻 200/守1500
チューナー+チューナー以外のモンスター1体
(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
(2):相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

「効果で1枚ドロー。更に手札から執念の剣を装備。そして、それを手札に戻して墓地のゼピュロスの効果発動。400ダメージは受けるが、自身を特殊召喚する。」

BF(ブラックフェザー)-精鋭のゼピュロス
効果モンスター
星4/闇属性/鳥獣族/攻1600/守1000
「BF-精鋭のゼピュロス」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、自分は400ダメージを受ける。

田宮行方 LP2000→1600

「そして、レベル2のフォーミュラ・シンクロンにレベル4のゼピュロスをチューニング!再びシンクロ召喚だ!来い!星影のノートゥング!」

黒き翼を持つモンスターが鋭い剣を引っさげてフィールドに降り立つ。

BF(ブラックフェザー)-星影のノートゥング
シンクロ・効果モンスター
星6/闇属性/鳥獣族/攻2400/守1600
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「BF-星影のノートゥング」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手に800ダメージを与える。その後、相手の表側表示モンスター1体を選び、その攻撃力・守備力を800ダウンする。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「BF」モンスター1体を召喚できる。

「星影のノートゥングの効果発動。お前に800のダメージだ。」

このダメージが通れば私の勝ちだが・・・。

『・・・田宮さん。「traveler」として、最強の決闘者を目指す者として、あなたの行ったことは誰かから非難されるいわれはないでしょう。また北村さんもどのような経緯であれ自らの意思で戦ったのならば、それもまた一つの道。であるならば、私がこのカードを使うのもまた一つの道なのでしょう。罠発動!』

「!?」

奴の魔法&罠ゾーンには伏せカードなどない。だが、信じられないことに1枚のカードが開いた。そう、奴のフィールドカードゾーンにセットされたカードが発動したのだ。今は私のターンの上に、フィールドバリアによってそもそもフィールド魔法は発動出来ない。では何故、発動した?答えは単純だった。伏せてあったのはフィールド「魔法」ではなかったのだ。

『フィールド「罠」、劣化した記憶の書架を発動します!』

劣化した記憶の書架
フィールド罠(オリジナルカード)
自分のライフポイントが100以下の場合、発動することができる。
(1):自分への効果ダメージは代わりに相手が受ける。
(2):バトルフェイズ開始時――――――――――。
(3):エンドフェイズ終了時――――――――――。

辺りの地面を突き破り、本棚が出現した。一つ二つの話ではない。何百、何千という本がみっちり詰まった本棚が近くからも遠くの方でも大量に飛び出して、辺り一帯を埋め尽くす。そして、奴の背後に光り輝く白い扉、右側には炎が噴き出す赤い扉、左側には植物の蔦が絡まった緑の扉が出現した。

『その第一の効果により800ポイントのダメージは田宮さんに受けてもらいます!因果応報!』

左の扉から大量の蔦が飛び出してノートゥングの効果を防ぎ、更に私に向かって飛んできた。

田宮行方 LP1600→800

「だが、お前のブラック・マジシャンの攻撃力と守備力は800ダウンする。」

ブラック・マジシャン 攻2500→1700

「ノートゥングでブラック・マジシャンに攻撃!」

この攻撃が通れば・・・。

『宣言しましたね、バトル。』

っ!!

『劣化した記憶の書架の第二の効果発動!』

劣化した記憶の書架
フィールド罠(オリジナルカード)
自分のライフポイントが100以下の場合、発動することができる。
(1):自分への効果ダメージは代わりに相手が受ける。
(2):バトルフェイズ開始時、相手フィールドのモンスター1体を選択して破壊する。
(3):エンドフェイズ終了時――――――――――。

『バトルフェイズ開始時に相手フィールドのモンスター1体を破壊します!灼熱業火!』

その声と共に赤い扉から大量のマグマが噴き出してノートゥングを焼き払った。

BF(ブラックフェザー)-星影のノートゥング(破壊)

「ちっ!」

劣化した記憶の書架・・・こいつは厄介だぞ。効果ダメージは反射されるし、バトルフェイズになればモンスター1体を破壊する、か・・・。

「私は打ち出の小槌を発動する。」

打ち出の小槌
通常魔法
(1):自分の手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数だけドローする。

「執念の剣をデッキに戻して1枚ドロー。・・・ドローしたのは一時休戦だ。発動する。」

一時休戦
通常魔法
(1):お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする。次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる。

「ドロー。」

『私も1枚ドローです。』

「私はこれでターンエンドだ。」

『この瞬間、劣化した記憶の書架の第三の効果発動です。』

ちっ、またか・・・!

劣化した記憶の書架
フィールド罠(オリジナルカード)
自分のライフポイントが100以下の場合、発動することができる。
(1):自分への効果ダメージは代わりに相手が受ける。
(2):バトルフェイズ開始時、相手フィールドのモンスター1体を選択して破壊する。
(3):エンドフェイズ終了時、自分フィールドに存在するモンスターの数×1000ライフポイント回復する。

『田宮さんのターンが終了した時点で私のフィールドにはブラック・マジシャンが1体、よって1000ポイント回復します。輪廻転生!』

奴の後ろにある光り輝く扉の小窓から柔らかな日差しが降り注いだ。

『猫魔神』 LP100→1100

『これでライフポイントが逆転しました。さあて、私のターンですね。』


6ターン目終了
『猫魔神』 LP1100
手札:1枚
モンスター:ブラック・マジシャン(攻1700)
ペンデュラムゾーン:
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン左、スケール1)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン右、スケール10)
魔法&罠:劣化した記憶の書架(フィールド罠)、フィールドバリア(永続魔法)

田宮行方 LP800
手札:1枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:なし


『ドロー。私は金満な壺を発動します。』

金満な壺
通常魔法
「金満な壺」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はP召喚以外の特殊召喚ができない。
(1):自分のエクストラデッキの表側表示のPモンスター及び自分の墓地のPモンスターを合計3体選び、デッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

『エクストラデッキのドラネコと墓地のトプルカル2体の合計3体をデッキに戻して2枚ドロー。そして、セッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚を行います。揺さぶりましょう、魂のペンデュラム。どうぞいらっしゃい、光の下へ。ペンデュラム召喚です!』

ペンデュラムの輝きによって降り立ったモンスターは1体だけだった。ペンデュラムモンスターをエクシーズ素材にしたツケが回って来たな。

P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星9/闇属性/魔法使い族/攻0/守0
【Pスケール:青1/赤10】
(1):このカードをPゾーンに置いた場合、自分のデッキから『P・G(ペンデュラム・ゴッド)』カード1枚を手札に加えることができる。
【モンスター効果】
(1):このカードが戦闘を行う場合、エクストラデッキのペンデュラムモンスター1体を選択して発動できる。このカードの攻撃力は選択したモンスターの攻撃力分アップする。
(2):手札を1枚捨てることで、エクストラデッキにあるこのカードを自分の空いているペンデュラムゾーンに置くことができる。

3体目のアマジャステリアか・・・。ん?アマジャステリアが叫ばないぞ?それにソリットヴィジョンとして出現したにも関わらず、石像のように止まっている。デュエルには影響なさそうだが・・・。

『ブラック・マジシャンを守備表示に変更。カードを1枚伏せます。一時休戦の効果でダメージを与えられないのでこのままターンエンドです。この瞬間、劣化した記憶の書架の効果で2×1000ポイント回復します。輪廻転生!』

『猫魔神』 LP1100→3100

100ポイントだった奴のライフがあっという間に回復していく。劣化した記憶の書架・・・発動条件が厳しいだけあって強力な効果が揃っているな。だが、どんなカードにも弱点は存在する。


7ターン目終了
『猫魔神』 LP3100
手札:1枚
モンスター:ブラック・マジシャン(守1300)、P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(攻0)
ペンデュラムゾーン:
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン左、スケール1)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(Pゾーン右、スケール10)
魔法&罠:劣化した記憶の書架(フィールド罠)、フィールドバリア(永続魔法)、伏せカード×1

田宮行方 LP800
手札:1枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:なし


「私のターンだ。ドロー。」

これで一時休戦の効果は切れた。まずは手札を整えるか。

「調和の宝札を発動し、手札の伝説の白石(ホワイト・オブ・レジェンド)を捨てて2枚ドロー。」

調和の宝札
通常魔法
手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

伝説の白石(ホワイト・オブ・レジェンド)
チューナー(効果モンスター)
星1/光属性/ドラゴン族/攻 300/守 250
このカードが墓地へ送られた時、デッキから「青眼の白龍」1体を手札に加える。

伝説の白石(ホワイト・オブ・レジェンド)の効果で青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を手札に加え、トレード・インで捨てて2枚ドロー。」

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。

トレード・イン
通常魔法
(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

これで手札は3枚。

「墓地のクリスタル・ローズの効果発動。フォートレスを除外してこのカードを蘇生する。」

クリスタル・ローズ
効果モンスター
星2/光属性/岩石族/攻 500/守 500
「クリスタル・ローズ」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札・デッキから「ジェムナイト」モンスターまたは「幻奏」モンスター1体を墓地へ送る。エンドフェイズまで、このカードは墓地へ送ったモンスターと同名カードとして扱う。
(2):このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地から融合モンスター1体を除外して発動できる。このカードを守備表示で特殊召喚する。

「そしてもう一つの効果を使い、デッキからジェムナイト・ラズリーを墓地へ送る。」

ジェムナイト・ラズリー
効果モンスター
星1/地属性/岩石族/攻 600/守 100
(1):このカードが効果で墓地へ送られた場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

「ジェムナイト・ラズリーの効果で青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を手札に加え、2枚目のトレード・インを発動。青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)を捨てて2枚ドロー。」

これで手札4枚。十分だな。

「まずはナイト・ショットを発動。お前の伏せカードを破壊する。」

ナイト・ショット
通常魔法
(1):相手フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。セットされたそのカードを破壊する。このカードの発動に対して相手は対象のカードを発動できない。

『あらら。』

伏せカード(聖なるバリア -ミラーフォース-)(破壊)

「さて、白木。」

「『猫魔神』ですってば。」

「フィールド罠、劣化した記憶の書架には驚いたぞ。罠という奇襲性に加えて、効果ダメージの反射、モンスター除去、ライフ回復の三点セット。発動条件さえクリアすれば強力なカードには違いない。ただ、破壊耐性などは一切なし。そして、フィールドバリアの恩恵を受けられない。

『・・・気付いちゃいました?』

「ああ。フィールドバリアが守るのはフィールド「魔法」のみ。」

フィールドバリア
永続魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いにフィールド魔法カードを破壊できず、フィールド魔法カードの発動もできない。「フィールドバリア」は、自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

「お前は結界を張るのが得意なようだが、私の心理にはバリアを掛けられなかったようだな。サイクロンを発動する。」

サイクロン
速攻魔法
(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

劣化した記憶の書架(破壊)

フィールド罠の破壊と共に扉は消え、辺り一帯の大量の本棚が地下へと沈んでいく。そして、最初の光景が戻ってきたが猫達はいなくなっていた。

「墓地のサイバー・ドラゴンを除外して邪帝家臣ルキウスを特殊召喚する。」

サイバー・ドラゴン(除外)

邪帝家臣ルキウス
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 800/守1000
「邪帝家臣ルキウス」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の墓地のレベル5以上のモンスター1体を除外して発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。このターン、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。
(2):このカードがアドバンス召喚のためにリリースされた場合に発動できる。相手フィールドにセットされたカードを全て確認する。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

「ルキウスとクリスタル・ローズを生贄にして怨邪帝ガイウスをアドバンス召喚!」

邪帝ガイウスが怨念の力を得て更に禍々しくなった姿のモンスターが2体の贄を喰らって現れた。

怨邪帝ガイウス
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動する。そのカードを除外し、相手に1000ダメージを与える。除外したカードが闇属性モンスターカードだった場合、そのコントローラーの手札・デッキ・エクストラデッキ・墓地から同名カードを全て除外する。このカードが闇属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、その時の効果に以下の効果を加える。
●この効果の対象を2枚にできる。

「怨邪帝ガイウスの効果発動。闇属性を生贄に捧げているので2枚除外出来る。私が除外するのはモンスターゾーンのアマジャステリアとブラック・マジシャンだ!」

ブラック・マジシャン(除外)
P・G(ペンデュラム・ゴッド)―アマジャステリア―(除外)

『効果ダメージはハネワタでガードします。』

ハネワタ
チューナー(効果モンスター)
星1/光属性/天使族/攻 200/守 300
このカードを手札から捨てて発動できる。このターン自分が受ける効果ダメージを0にする。この効果は相手ターンでも発動できる。

「追加効果でお前の手札・デッキ・エクストラデッキ・墓地から同名カードを全て除外する。」

ブラック・マジシャン(除外)
ブラック・マジシャン(除外)

アマジャステリアはペンデュラムゾーンに2体いるから除外は出来なかったが奴のデッキの中のブラック・マジシャンは全滅した。これでP・G(ペンデュラム・ゴッド)を軸とした戦術も、ブラック・マジシャンを軸とした戦術も、主役のカードが除外されては崩壊したも同然だ。だが、重要なのはそこではない。重要なのは奴のフィールドが、ガラ空きになったことだ。

「執念の剣をガイウスに装備。」

執念の剣
装備魔法
装備モンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。このカードが墓地へ送られた時、このカードをデッキの一番上に戻す。

怨邪帝ガイウス 攻2800→3300

『あらら・・・。』

「さあ、葬儀の時間だ。怨邪帝ガイウスで直接攻撃!」

『猫魔神』 LP3100→0

怨邪帝の剣の一撃が奴のライフを全て削り取った。

「謹んでお悔やみ申し上げる。」

勝負は決した。決着があっさりしていたので、まだ何かあるかと思ったがそんなことはなかった。癪ではあるが、源の言う通り、常に劇的なデュエルになるとは限らんからな。

『ふむ・・・。どうやら『猫魔神』では勝てませんか。田宮さん、今日はもう時間切れです。もうすぐ朝が来ます。夢が終わる時間です。』

私は地面が揺らぐのを感じた。

『次は白木翼があなたの相手をするでしょう。』

視界がぼやける。奴の声も歪み始める。

『今度は、命懸けの、デュエルを、しましょう。』

あ・・・?今、何と言った?命懸け?
瞬間、毒の沼のような薄ら寒く、陰湿な殺気を感じた。

『そのぉ、デュエルでぇ、田宮さんがぁ、勝てたらぁ、北村君のぉ、真実をぉ、お話しますぅ。』

「何だと!?」

景色の歪みが激しくなり、色も音も時間も空間も全てが白に溶けていく。朝の日差しだ。「ユメノナカ」にはいられない時間だ。目が覚める・・・!

「待てぇ、白木ぃいいい!!」

「だぁかぁらぁ『猫魔神』でぇぇすぅぅってぇぇぇばぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁ。」

クックと笑う奴の声が、こびり付いて耳から離れなかった。





気が付くと私は一人で突っ立っていた。・・・確か、次の世界に向かったはずだが・・・。では、先ほどの出来事は夢か?・・・いや、違う。間違いなく現実だ。今まで上手くはぐらかされていたが、どうやら奴は黒だったようだ。北村に関しての話も、北村の死に驚いていたのも全て演技か・・・。これで決まりだ。奴が私と北村のデュエルに横槍を入れたのだ。

『猫魔神』・・・次に、お前に会った時には必ず・・・!










































闇。
闇夜。
駆ける。
駆け回る。
暗中を行く。
黒い影が一つ。
その名は『死神』。

『やったぁ!やったぁ!やったぁ!やったぁ!やったぞおおおおおおおぉ!!!』

今、『死神』は最大の山場を乗り切って、歓喜の声を闇の中に響かせながら駆け回っていた。体中の躍動が抑えられない。叫びたい衝動を制御出来ない。体内の血液が沸騰し、熱で身も心も焼け溶けてしまいそうだった。

『騙したぁ!騙したぁ!白木翼の声真似で田宮行方を騙し切ったぁ!これで田宮は白木翼を敵と認識したぁ!後は田宮を視張っているだけでオーケーだぁ!田宮は必ず白木翼を探し出てくれるはずぅ!そしてぇ、デュエルを仕掛けるよぉ!白木翼を視つけてもらえる上にぃ、もし田宮が負けたら『僕を思い出して』くれるぅ!僕の夢の達成にぃ、また一歩這い寄ったぁ!やったぁ!やったぁ!やったぁ!』

闇の中に、どす黒い歓喜が響き渡った。




田宮は『(?)神』との遭遇を果たした。
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田宮は『(猫魔)神』との遭遇を果たした。
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田宮は『(猫魔)神』との遭遇を果たした。
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田宮は『(死)神』との遭遇を果たした。






『(?)神』との遭遇(中編)






2020.04.15 | 未分類

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