「死神ふたり」(前編)

 
僕は『死神』だ。そう、僕の名前は『死神』だ。最近、やっと思い出せた。僕は本当に忘れん坊だなあ・・・。
でも、僕が僕を忘れてるぐらいだから、皆も僕のことを忘れてるかもしれない。この前は金剛さんに会ったけど、僕のことを伊良湖と間違えてたよ。だから、僕は金剛さんとデュエルして『僕を思い出して』もらったんだ。
その時に、金剛さんから『瞳』というアイテムをもらったよ。『瞳』はすっごく便利なアイテムだ。今の僕は仮面で顔を隠していないと気分が悪くなっちゃうけど、この『瞳』は仮面を付けたままでも周りのことが視えるんだ。
この白い仮面は絆創膏の代わり。・・・これをくれたのは誰だったっけ?忘れちゃった・・・。一体、誰だったんだろう・・・?

その時、不思議な光景が視えた。覚えがあるような無いような、何だか懐かしいような光景。『瞳』が僕に視せてくれている・・・?

『ねぇ・・・。もしぃ・・・。もしもだよぉ・・・。僕が君の悩みを解決出来るかもしれないって言ったらどうするぅ?』
「もし出来るなら、それはとっても嬉しいです。」

こ、これは・・・!?白く長い髪の少女が視える・・・!僕は、彼女を知っている・・・!?

『お、思い出したぁ!!』

そうだ!彼女は白木司!僕の命の恩人だ!僕は彼女の笑顔のために、白木翼を連れてくると約束して旅立ったんだ!けれど・・・白木翼って誰だろう・・・。司さんの家族なのかな・・・。とにかく、白木翼を連れて行けば彼女はきっと大喜びだ!だってあんなに会いたそうにしていたんだから!

思い出したぞ!これだ!間違いない!僕が忘れていた大切なこと、それは司さんのために白木翼を連れて行くことだったんだ!そうと決まれば善は急げだ!白木翼が生きている世界を見つけに行こう!
・・・でも、どの世界に白木翼はいるんだろう・・・?世界は本当に無数にあるから、適当に行ったところで当たる確率は途方もなく低い・・・。何か良い方法はないかなあ・・・?
あ、この『瞳』で、その世界に行く前にその世界の概要が視れたらいいのになあ・・・。って、そこまで便利な訳ないよね。

・・・あ、視れた。視、視れたあああああぁぁぁ!!!

『視えるぅ!視えるよおぉ!!』

うは!これ、めちゃ便利!金剛さん、ありがとう!僕にこんな素晴らしいアイテムをくれるだなんて!
ええ!?『僕を思い出させて』くれた、お礼!?そんな、お礼を言うのは僕の方なのに!『僕を思い出して』くれた上に、こんな素晴らしいアイテムまでくれるだなんて・・・!金剛さん、大好き!

さあ、白木翼がいる世界を視付けに行こう!とにかく手当たり次第に世界を視てみよう!


1.この世界は「奇跡は起こらずの世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


ここは「奇跡は起こらずの世界」・・・。白木翼は死んでいるのか・・・。この世界は駄目だな・・・。まあ、一回で見つかるはずないよね。別の世界を視てみよう。


1.この世界は「諸行無常の世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


こっちは「諸行無常の世界」・・・。この世界でも白木翼は死んでいる・・・。次だ。次、行こう。


1.この世界は「生まれてしまってゴメンなさいの世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


これは「生まれてしまってゴメンなさいの世界」・・・。ここでも白木翼は死んでいる・・・。次。


1.この世界は「それでも貴女を愛してるの世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


「それでも貴女を愛してるの世界」・・・。ここも駄目か・・・。次・・・。


1.この世界は「●●●の世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


次・・・。


1.この世界は「×××の世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


次。


1.この世界は「▲▲▲の世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


次だ。


1.この世界は「■■■の世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


次。


1.この世界は「★★★の世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


次。


1.この世界は「???の世界」である。
2.白木翼は0歳の時に能力が暴走して死亡している。
以上


次々。

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1.この世界は「狐の残り火の世界」である。
2.白木翼は5歳の時に狐と戦って死亡している。
以上


次。

◆ ◆ ◆ ◆


1.この世界は「かつて神と呼ばれた者の世界」である。
2.白木翼は6歳の時にナメクジと戦って死亡している。
以上


ここも駄目・・・。次々!

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1.この世界は「空に浮かぶは丸い月の世界」である。
2.白木翼は7歳の時に三日月(みかづき)(あい)と戦って死亡している。
以上


ここも・・・。次!

◆ ◆ ◆ ◆


1.この世界は「悪魔VS天使の世界」である。
2.白木翼は9歳の時に悪魔と戦って死亡している。
以上


次!

◆ ◆ ◆ ◆


1.この世界は「魔法少女と不思議な杖の世界」である。
2.白木翼は11歳の時に熊と戦って死亡している。
以上


次!!

◆ ◆ ◆ ◆


1.この世界は「一年の妹達 十月の妹の世界」である。
2.白木翼は12歳の時に月森(つきもり)神無(かみな)と戦って死亡している。
以上


次!!!

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・・・。何だ、これは。覗く世界、覗く世界、全部で白木翼が死んでいる・・・!

『ふ、ふざけるなあぁぁぁあああぁぁぁ!!!』

何だこれは!何だこれは!!何だこれは!!!これじゃあ、彼女との約束を果たせないじゃないか!!何故だ!?原因は何だ!?・・・分からない。一体、何がまずいんだ・・・!?

こうなったら白木翼が死ぬ前の時間に行くか?いや、僕は自分が行く世界を選べても、時間までは選べない。しかも、『瞳』で得た情報で既に白木翼が死亡していることが確定している以上、それよりも前の時間帯には行けないんじゃないか?

待て。試す前からそんなことでどうする。とにかく、白木翼が長生きした世界を選んで、その前の時間に行けないかどうかやってみよう。


1.この世界は「『暴食』の世界」である。
2.白木翼は●%▲?■!▼&◆×★歳の時に悪魔に食べられて死亡している。
以上


「『暴食』の世界」・・・。ここがいい。ここに行って、生きている白木翼に会って、この世界から連れ出すんだ。白木翼を連れ出せば白木翼自身は死の運命から逃れられるし、司さんも白木翼に会えて喜ぶ。そして、彼女が喜んでくれたら僕も嬉しい。一石二鳥どころか一石三鳥じゃないか。

そうか、きっとこれが『トラベラー』の使命なんだ!それぞれの世界には理不尽な運命に晒されている者達がたくさんいる。でも、世界を越えられる『トラベラー』はそんな世界の理や常識、過酷な運命に従うことなく助けに行ける!僕は『トラベラー』、自由な旅人なんだから!

頑張れ、『トラベラー』!頑張れ、『死神(ぼく)』!彼女の、皆の、笑顔のために!





「死神ふたり」(後編)








2019.05.07 | 未分類

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