北村賢治の受難 VS『死神』

鋭く尖った前髪がトレードマークの『トラベラー』北村がカーチャとのデュエルを終えた後の話をしよう。

そのデュエルの後も北村は自分を強くするため、そして越えるべき目標として追っている『トラベラー』田宮行方が居るような気がするいくつかの世界を巡った。
北村はおよそデュエル一回程度の時間が来れば自動的に次の世界へと飛ぶタイプの『トラベラー』であり、向かう世界もランダムである。しかし、自分が強くなるためにちょうど良い世界だとか、田宮が居そうな世界だとか、自分の目的に合致した世界に九割方は辿り着く。最も、田宮に関しては到着のタイミングのために会えないことばかりであり、飛んだ先で目的が果たせるかどうかはまた別問題なのだ。

更に言えば、この前など田宮が行った『Error Childrenの世界』の世界にも辿り着いたが、そこでは田宮に会うことは出来なかった上に『トラベラー』の大郷達に捕まってしまうという目にも遭った。サトリンの世界参照
そこでは同盟を持ちかけられただけで解放されたが、もしデュエルになっていればどちらが勝っていただろうか。北村の、己を鍛える挑戦はまだまだ続きそうだった。

次に訪れた世界では『トラベラー』の逢沢に捕まって、なし崩し的に人助けをすることになった。そして、事の成り行き上、大郷とデュエルをすることになった。3VS1の変則デュエルで、大郷をギリギリまで追い詰めたが最終的に勝負は中断となってしまった。真弓刹那の世界参照

もっと自分を鍛えたいと考えていると『HappyFlowerの世界』に到着していた。この世界には一度来たことがあり、この世界の住人である藤原賢治と白熱したデュエルを繰り広げた思い出が鮮明に蘇った。今の自分を鍛える相手として藤原賢治はピッタリだと思い、再びデュエルを申し込みに行った。しかし、この『HappyFlowerの世界』は以前に辿り着いた世界とは別の平行世界であり、この世界の藤原賢治は北村のことを何一つ覚えていなかった。(というより、彼にとってはこれが北村との初対面である。)
とにかく頼み込んでデュエルに持ち込めたまではよかったが、結果は瞬殺で北村の負け。永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の最後の効果も分からずじまいで北村は色々な感情が混ぜこぜになったまま時間切れで次の世界へと旅立った。高見沢蓮の憂鬱参照

次の世界では、藤原賢治が何故自分を覚えていなかったのかを考えて「以前来た時よりも前の時間に来てしまった説」、「パラレルワールド説」、「トラベラーが旅立つとその世界の人々からトラベラーに関する記憶が消える説」などの仮説を出してみたが、どれも確たる証拠を掴むことは今の北村には出来なかった。時間を無駄にしたかと思いながらもデッキを見直していると、なんと永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3のテキストが読めるようになっていた。藤原賢治とデュエルしたことで読めるようになったかどうかは分からないが、とにかく北村は一歩前に進めたことを実感し、新しい世界へと旅立った。もし、次に藤原賢治に会った時には自分を覚えていてもいなくても、もっといいデュエルをしようと心に誓って。



そんなこんなで北村が次に到着した世界は―――――。

「ここは…どこだ?」

北村の知らない世界だった。空も地面も一面が真っ白で、それがどこまでも続く奇妙な世界だった。『トラベラー』にとって行った先の世界のことは大なり小なり『分かっている』。それが『トラベラー』の基本能力だ。しかし、何一つ分からない、全く知らない世界というのは少なくとも北村にとって初めてだった。










『どこでもないよぉ?ここは僕の世界なんだからぁ。』

突然、まるで鼻をつまみながら喋っているかのような変な声が響く。北村が声のした後ろを振り向くと、そこには奇妙な仮面を被った生物がいた。北村は目を丸くする。ブニョブニョした黒くて大きな物体に一つの仮面が張り付いた姿。その体が作り物で無い限り、目の前の生き物が人でないことは間違いなかった。

『だからここがどこかなんて、そんな些細なことはどうでもいいんだよぉ。北村君。』

「…お前もオレを知っているのか。」

猫魔神との一件で自分自身のことを知っている者が別世界にいても、そのこと自体には疑問を持たなくなった北村。しかし、のほほんとした雰囲気の猫魔神と違って目の前の化け物からは禍々しい気配しか感じなかった。
瞬間、北村は身構えた。一瞬でも油断すれば必ずや襲い掛かってくるであろう雰囲気。虎のようなまっすぐな殺意ではない、毒沼のような陰湿な殺意。いや、殺意と言うと正確ではない。そこに憎悪や嫌悪が入り混じり、仄暗く混沌とした言葉に言い表すことが難しいドス黒い何か。とにかく、北村は本能的に危険を感じた。

「あんた、何者だ!」

北村は警戒心を剥き出しにして問いただす。しかし、その問いに対して相手が発した答えは北村を更に困惑させるだけだった。

『僕だよぉ、北村君。『トラベラー』だよぉ。』

「…!?『トラベラー』だと!?」
北村の警戒心という名の炎に怒りという名の油が注がれる。
「おい、ふざけるな!オレは40人の『トラベラー』全員のことを知っている!だが、その中に一人としてあんたのような姿の奴も、声の奴もいない!人を馬鹿にするのも大概にしろ!」

『馬鹿にしてるつもりなんてないよぉ。僕は間違いなく『トラベラー』だよぉ。でも僕が誰かなんて、そんな些細なことはどうでもいいんだよぉ。』

「どうでもいい、だと…!?」

『全て些細なことなんだよぉ。この世界がどこなのかもぉ、僕が誰であるのかもぉ。大切なのはデュエルが出来るってことだよぉ。』
そう言った瞬間、黒いブニョブニョした塊からデュエルディスク付きの黒い腕が飛び出した。
『北村君、デュエルしようよぉ。マスタールール3で、ライフポイントは4000でいいかなぁ。それと、このデュエルで僕が勝ったら『僕を思い出して』欲しいんだぁ。』

「…いいぜ。その代わり、オレが勝ったら『今後一切オレに関わるな!』」

北村はデッキの中身を確認し、2枚のカードを取り出した。
「オレはデュエル開始直前に永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3を発動する!!」


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3
フィールド魔法(ワールドカード)
0.デュエル開始直前にデッキのこのカードを相手に見せることで、このカードを発動した状態でデュエルが始まる。この効果を使用した場合、自分はデッキ変更できず、このカードはフィールドを離れず、効果を無効にできない。このカードは他のフィールドカードと共存する。この効果を使用する場合、デッキの「勝利の証」をこのカードの下に置く。
1.「――――――――――」
2.「――――――――――」
3.「――――――――――」



勝利の証
通常魔法(オリジナルカード)
手札、デッキにあるこのカードを相手プレイヤーに見せることで自分はデュエルに勝利する。このカードはデッキに1枚しか入れることが出来ない。



(いくつかの世界を巡って修行して、この前ようやく永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の効果が全部読めるようになった。それにデッキもまた少し変化しているし、エクストラデッキには新しいカードも追加されている。手に馴染む昔のカードも、新しいカードも使いこなしてオレは必ず勝つ!)

勝利の証の上に永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3を重ねてフィールドカードゾーンに置く北村を、黒い化け物は静観していた。


「さあ、始めるぜ!」

北村賢治 『弱虫の意地』デッキ LP4000
『死神』 『白き混沌』デッキ LP4000

北村&『死神』「『デュエル!』」


(『死神』…?)
北村はデュエルディスクに表示された相手の名前を見て、眉間に皺を寄せた。
(『トラベラー』の中に『死神』なんていう名前の奴はいない…。やっぱりあいつは『トラベラー』なんかじゃない!)

「オレのターン!オレは凡骨の意地を発動!」


凡骨の意地
永続魔法
ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。



「更に召喚師ライズベルトと竜穴の魔術師でペンデュラムスケールをセッティング!」


召喚師ライズベルト
ペンデュラム・通常モンスター
星3/風属性/サイキック族/攻 800/守 800
【Pスケール:青2/赤2】
(1):1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つ上げる。
【モンスター情報】
妹セームベルをとても大事に想っている、心優しき兄ライズベルト。昼下がりの午後に妹と一緒に魔術書を読む時間は毎日の日課になっており、そんな二人の仲睦まじい様子に周囲の人は自然と心が癒されてしまう。



竜穴の魔術師
ペンデュラム・通常モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 900/守2700
【Pスケール:青8/赤8】
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
【モンスター情報】
若くして竜の魂を呼び覚ます神通力を体得した天才魔術師。その寡黙でストイックな魔術への姿勢から人付き合いは苦手だが、弟子の「竜脈の魔術師」にいつも振り回され、調子を狂わされている。



「これでレベル3から7のモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、オレのペンデュラム!天空に描け、勝利の曲線!ペンデュラム召喚!来い!ファイヤー・ウイング・ペガサス!死の沈黙の天使ドマ!」


ファイヤー・ウイング・ペガサス
通常モンスター
星6/炎属性/獣族/攻2250/守1800
色鮮やかな真紅の翼をはばたかせ、天を駆け抜ける天馬。



死の沈黙の天使ドマ
通常モンスター
星5/闇属性/天使族/攻1600/守1400
死を司る天使。こいつに睨まれたら、死から逃れられない。



それを見た瞬間、『死神』がケタケタと笑い出した。先ほどまでの鼻をつまんだような声ではない。女子高生のような甲高い声だった。

『ハアー?何それ?通常モンスター?そんなのまだ使ってるんだ~?』

「っ!?」
北村はその声に聞き覚えがあった。
「あんたは…!」

『死神』の体からもう一本の黒い手が出て来て、顔に付いていた白を基調とした仮面を外した。そこには黒い塊から顔だけ覗かせる『トラベラー』五条(ごじょう)がいた。髪は茶髪、肌はガングロ。普段は風船ガムばかり噛んでいる、意地の悪い言葉しか出てこない口を持つ女子高生。北村が嫌悪する『トラベラー』の一人であった。

『まあ、38位じゃあそんなもんって感じ~?あ、32位とか自称してるんだっけ?キャハ!サバ読み過ぎって感じ~。あ、そっか。そうやって自分を大きく見せないと生きていけないもんね。下位トラベラーは辛いね~。』

北村は思わず口を押さえた。急にこみ上げてきた吐き気を我慢するのに精一杯だった。腹を締め付ける鈍い痛みを足の指先に力を込めてどうにか推し留める。
何か一言でも発すれば胃の中のものを全て吐き出してしまいそうだった。食べ物を取る必要のない『トラベラー』も、食べることが出来ない訳ではない。体の造りは基本的に人間と同じである。

『死神』は苦しそうに震える北村を見下しながら汚い言葉を吐き掛け続ける。

『北村は弱いなあ。ホント、弱いなあww。今時通常モンスターって、対戦相手に失礼って感じ~。あ、分かる?失礼って、こ・と?全然、本気に見えないんだけど~?それで勝つ気あんのかって感じ~。手札全部使って、雑魚モンスター二体並べただけ~?しかも、凡骨の意地とかww。口だけは大層に最強になるなんて言ってるけど、馬鹿言わないでって感じ~。しかも田宮に勝つとか言ってるんだっけ?田宮は低く見積もっても8位の女でしょ?下位のあんたが、ちょっとやそっとの力を手にしたくらいで、100%無理だってこと分かっとけって感じ~。弱虫には夢見る権利なんかないの。地面に這いつくばってるのがお似合いの姿って感じ~。』

その言葉を聞いた瞬間、北村の中でゴトリと何かが動いた。

『ほら、さっさとターンエンドしろって感じ。一気に蹂躙して、目を覚まさせてあげるからさあ!』

「…黙れ…。」

北村は小さな声で言葉を捻り出した。その瞬間、『死神』は眉を吊り上げた。

『はあっ?何か言った?雑魚の癖に。もうあんたに出来ることは何もねーよ!さっさとターンエンドしろ、雑魚!』


怒りが吐き気を凌駕した。

「黙れええええええ!!!!」

北村は拳を握って叫んだ。腹の中に溜まっていた憎悪を声という形でぶちまけた。

「オレは召喚師ライズベルトの効果発動!死の沈黙の天使ドマのレベルを一つ上げる!そして、レベル6のファイヤー・ウイング・ペガサスと共にオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来い、No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース!!」

巨大な箱が出現したかと思うと、それが変形してビデオカメラのモンスターになる。


No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/光属性/機械族/攻2800/守2400
レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のレベル5以上の効果モンスター1体を選択して発動できる。選択した相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。この効果は相手ターンでも発動できる。



「ごちゃごちゃうるせえぞ、五条!訳の分かんねえ仮面と着ぐるみまで用意しやがって!そんなことしてまで動揺を誘わねえと勝ち筋が見えねえか!?てめえもデュエリストの端くれならデュエルで語れ!ターンエンド!」

ついに北村の怒りが臨界点を越えた。瞳には怒りの赤が点り、全身は憎悪で打ち震える。最初に『死神』に対して感じた恐れも、かつて敗北した相手への恐怖も凌駕し、北村は全力で怒っていた。その怒りは北村の中に一つの決意を作り出す。このデュエルに必ず勝つ、と。

『あっしの―――。』

『死神』がデッキに手を伸ばそうとした時、北村はそれを遮った。

「この瞬間、オレは永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の3.の効果を発動する!」


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.「――――――――――」
2.「――――――――――」
3.ターンプレイヤーはエンドフェイズ終了時にデッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚することができる。



「デッキからジェネクス・コントローラーを守備表示で特殊召喚するぜ!」


ジェネクス・コントローラー
チューナー(通常モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。



『てんめえ…!あっしの台詞を遮りやがって!』

『死神』は北村を睨み付けた。

「どうしたぁ!?あんたのターンだぜ!?さっさとドローしたらどうだ!?」

それに対して北村は臆せずに睨み返した。怒りと憎悪が交錯するデュエルの始まりであった。



しかし、北村は知らない。五条は既に死んでいるということを知らない。「決闘都市の世界」で竜堂に敗北し、死んだという事実を知らない。



1ターン目終了
北村賢治 LP4000
手札:0枚
モンスター:No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース(攻2800)、ジェネクス・コントローラー(守1200)
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP4000
手札:5枚
モンスター:なし
魔法&罠:なし




『あっしのターン!ドロー!』
『死神』は手札と北村を交互に見ながら呟く。
『北村の癖に…!雑魚の癖に…!』

そして、デュエルディスクにカードを叩き付けた。
『調子に乗ってんじゃねえぞ!雑魚があ!』
黙っていれば可愛らしい顔も荒れた口調と相手を見下す表情で台無しであった。

二重召喚(デュアルサモン)を発動し、ヘルウェイ・パトロールと魔界発現世行きデスガイドを召喚!魔界発現世行きデスガイドの効果でデッキからクリッターを特殊召喚!これでフィールド上に悪魔族モンスターが3体揃ったあ!』

北村の背中を嫌な感じの汗が伝う。かつて北村が手も足も出なかった五条のエースモンスターがやって来るのが嫌でも分かる。腹の底から湧き上がる怒りで臆してはいないが本能が危険を告げてくる。【悪魔族】の五条、その切り札は悪魔の頂点―――――。

『悪魔の中の悪魔の皇よ!雑魚を蹴散らし、世界を支配しろ!幻魔皇ラビエル!!!』

青紫色の体と巨大な羽根を持つ悪魔がフィールドの3体を喰らって現れた。


幻魔皇ラビエル
効果モンスター
星10/闇属性/悪魔族/攻4000/守4000
このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に存在する悪魔族モンスター3体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。
相手がモンスターを召喚する度に自分フィールド上に「幻魔トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守1000)を1体特殊召喚する。このトークンは攻撃宣言を行う事ができない。
1ターンに1度だけ、自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる事で、このターンのエンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの元々の攻撃力分アップする。



『墓地へ行ったクリッターの効果でデッキからトランス・デーモンを手札に加えるって感じ~。』


クリッター
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600
「クリッター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの発動ができない。



トランス・デーモン
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1500/守 500
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札から悪魔族モンスター1体を捨て、このカードの攻撃力をターン終了時まで500アップする。
(2):自分フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた時、除外されている自分の闇属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。



『更に、墓地に行ったヘルウェイ・パトロールを除外してトランス・デーモンを特殊召喚!』


ヘルウェイ・パトロール
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1600/守1200
(1):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々のレベル×100ダメージを相手に与える。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。



『そして魔法カード地砕きを発動!あんたのモンスターを粉砕だよ!』


地砕き
通常魔法
(1):相手フィールドの守備力が一番高いモンスター1体を破壊する。



「ぐっ!!」

No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース(破壊)

『さあ、地面に這いつくばる時間だよ!バトル!トランス・デーモンでジェネクス・コントローラーを攻撃!』

「ぐぐっ!!」

ジェネクス・コントローラー(破壊)

気が付けば北村のフィールドはがら空き。対する『死神』のフィールドにはまだ攻撃力4000の幻魔皇ラビエルが残っている。

『ああ、あっけなかったねえ。やっぱり何も成長してないじゃない。ヒャハ!弱虫はやっぱり弱虫のまんまって感じ~!雑魚、雑魚!口先だけの雑魚!無様に這いつくばれ!幻魔皇ラビエルの攻撃!天界蹂躙拳!』

ラビエルの巨大な拳が北村に直撃する。

「ぐあああああ!!!」

『あー、終わり終わりっと。』

「…おい、五条。何を勝手に終わった気になってる?」

『はあ?』

北村賢治 LP4000→3000

『あん?』

『死神』は北村のライフポイントが1000しか減っていないのに気が付いた。

『…おい!何のインチキだ!?あんたのフィールドには何の伏せカードもないし、墓地には使えねえモンスターがいるだけだろうが!』

「インチキ?あんたの目は節穴だな。こいつは最初っからフィールドにあるんだぜ?」


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.「――――――――――」
3.ターンプレイヤーはエンドフェイズ終了時にデッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚することができる。



永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の1.の効果によりオレが受けるダメージは1000になった!残念だったな。」

『て、てんめええ!』
『死神』は怒り心頭で歯軋りした。
『ふざけやがって!雑魚のくせに!なんであっしの思い通りのデュエルをさせないの!?信じらんない!生きてる価値なし!さっさと死ね!』

「馬鹿言うなよ。」
北村は逆に『死神』を冷めた目で見ていた。片眉だけは釣り上がり、怒りを奥底に保ったまま虫けらを見るような冷たい目で。
「さっさとターンエンドしろ、節穴。」

『ギギギギギ…!ターンエンド!』

「おい。永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の効果で通常モンスターを呼べるぜ?」

しかし、先ほど通常モンスターを否定しまくった『死神』のデッキに通常モンスターが入っている可能性は皆無である。

『黙れえ!北村の癖に!使わないわよ、そんな効果!さあ、さっさとドローしたらどう!?この幻魔皇ラビエルを倒せるカードが来るといいけどねえ!?』

その瞬間、『死神』の表情が変わった。急に口数が無くなったかと思うと慌てて仮面を被ったのだ。そして仮面の奥から最初の鼻をつまんだような声が聞こえてきた。

『北村君のターンだよぉ。どうぞぉ。』



2ターン目終了
北村賢治 LP3000
手札:0枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP4000
手札:1枚
モンスター:幻魔皇ラビエル(攻4000)、トランス・デーモン(攻1500)
魔法&罠:なし




「おい、五条…。つまんねえ演技してんじゃねえぞ!」
北村は『死神』の仮面の奥に向かって叫んだ。
「盤外戦術ばっかり磨いて肝心のデュエルは以前のまんまかよ!?せっかくのラビエルが泣けるぜ!」

しかし、その北村の言葉に『死神』から特にリアクションはなかった。

「っち!オレのターン!ドロー!引いたのはジェノサイドキングサーモン、通常モンスターだ!」


ジェノサイドキングサーモン
通常モンスター
星5/水属性/魚族/攻2400/守1000
暗黒海の主として恐れられている巨大なシャケ。その卵は暗黒界一の美味として知られている。



「続けてドロー!ドラゴン・エッガー!」


ドラゴン・エッガー
通常モンスター
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2200/守2600
卵のカラをかぶっているドラゴン。子供と間違えると痛い目に遭うぞ!



「更にドロー!エメラルド・ドラゴン!」


エメラルド・ドラゴン
通常モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1400
エメラルドを喰らうドラゴン。その美しい姿にひかれて命を落とす者は後を絶たない。



「更にドロー!ガーネシア・エレファンティス!」


ガーネシア・エレファンティス
通常モンスター
星7/地属性/獣戦士族/攻2400/守2000
恐るべきパワーの持ち主。あまりの体重の重さに、歩くたびに地割れが起きてしまう。



「もう1枚…!これで凡骨の意地の効果を終了する。そして、セッティング済みのライズベルトと竜穴の魔術師でペンデュラム召喚!爆発しろ、オレの感情!牙を立てろ、オレのモンスター達!」

北村のフィールドに4体のモンスターが並び立つ。

「オレはレベル7のドラゴン・エッガーとガーネシア・エレファンティスでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、幻惑の瞳持つ支配者!ビッグ・アァァァイ!!!」

巨大な目玉の化け物が現われて、フィールドのモンスターを睨み付ける。


No.11 ビッグ・アイ
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/闇属性/魔法使い族/攻2600/守2000
レベル7モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターのコントロールを得る。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。



「ビッグ・アイの効果でラビエルのコントロールを頂くぜ!」

オーバーレイユニットを一つ使ったビッグ・アイの瞳が怪しく光ると、『死神』のフィールドにいたラビエルがフラフラと歩き出して北村のフィールドにやってきた。

「この効果を使ったらビッグ・アイは攻撃に参加出来ねえ…。だが十分だ!バトル!喰らえ、ラビエルの攻撃!天界蹂躙拳!」

ラビエルの巨大な一撃がトランス・デーモンを軽々と粉砕し、余波で『死神』も吹き飛ばす。

トランス・デーモン(破壊)

『死神』 LP4000→1500

永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3が軽減するダメージは直接攻撃の時のみ。『死神』は2500ポイントの戦闘ダメージをそのまま受けて吹き飛んだ。黒い体がボインボインと跳ねて地面に転がる。その際に仮面が外れて、五条の顔が再び光の下に晒された。

『ヒギイ!痛いよお!痛いよお!苦しいよお!』

『死神』はのた打ち回りながら仮面を拾うと、それを慌てて装着した。次の瞬間から聞こえてきたのは、あの鼻をつまんだまま喋っているような不快な声だった。

『トランス・デーモンの効果発動だよぉ。除外されているヘルウェイ・パトロールを手札に加えるよぉ。』


トランス・デーモン
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1500/守 500
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札から悪魔族モンスター1体を捨て、このカードの攻撃力をターン終了時まで500アップする。
(2):自分フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた時、除外されている自分の闇属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。



「…そうかよ。だが、オレのバトルフェイズはまだ終了してないぜ!続けてジェノサイドキングサーモンの攻撃!」

ジェノサイドキングサーモンとその後に控えているエメラルド・ドラゴンの攻撃が通れば北村の勝ちである。しかし、相手もそう易々と攻撃を通してはくれなかった。

『バトルフェーダーを特殊召喚してバトルフェイズを終了だよぉ。』


バトルフェーダー
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。



「ちっ。オレはこれでターンエンド。だが、永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の3.の効果でデッキからジェネクス・コントローラーを守備表示で特殊召喚するぜ。」



3ターン目終了
北村賢治 LP3000
手札:1枚
モンスター:No.11 ビッグ・アイ(攻2600)、ジェノサイドキングサーモン(攻2400)、エメラルド・ドラゴン(攻2400)、幻魔皇ラビエル(攻4000)、ジェネクス・コントローラー(守1200)
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP1500
手札:1枚(ヘルウェイ・パトロール)
モンスター:バトルフェーダー(守0)
魔法&罠:なし




『ほっほっほ…それでは始めようかのう。』

「っ!??」

次の瞬間、北村は耳を疑った。『死神』の仮面の下からは活き活きとした老人の声が聞こえてきたのだ。驚いている北村を前にして『死神』は仮面を外した。そこにあった顔はサンタクロースを彷彿とさせるような老人の笑顔。声の主は『トラベラー』室井(むろい)その人であった。

「あんたは室井!?五条じゃない!?」

北村が驚くのも無理はない。『死神』から目を離した時間など一秒もない、にも関わらず目の前の相手が入れ替わっている奇怪さ。

「その黒い着ぐるみの中に五条が隠れてやがるんだな!?」

確かに『死神』の膨れた体は何人か人が入っていてもおかしくはない大きさだった。

『ほっほっほ…その回答は不正解ではない。が、君が戦っている相手はたった一人なのじゃよ。』

「何だって?」

『死神』はニヤリと笑った。
『ほっほっほ…さあ、北村君。ワシのターンをじっくり味わってくれたまえ!ドローフェイズ時にデュエリスト能力、美食の宝札(グルマンドロー)を発動!』

「デュエリスト能力だと!?」

デュエリスト能力―――――それはデュエルの時に発動する特殊能力。その能力は他の全てのカード効果に先んじて行われる。即ち、どのようなカードもデュエリスト能力を阻害することは出来ない。


美食の宝札(グルマンドロー) デュエリスト能力レベル4(所有者:『死神』)
自分のドローフェイズ時に発動できる。通常のドローを行わない代わりに、自分の墓地のカードをすべて除外し、除外した枚数だけ自分はデッキからカードをドローする。



『ほっほっほ…墓地の5枚のカードを除外し、5枚ドローじゃよ。』

「…な、なんて効果だ…。」

『死神』は補充した手札をじっくりと見た後、北村に目線を向けた。

『ほっほっほ…ブラック・ホールを発動じゃよ。』


ブラック・ホール
通常魔法
(1):フィールドのモンスターを全て破壊する。



No.11 ビッグ・アイ(破壊)
ジェノサイドキングサーモン(破壊)
エメラルド・ドラゴン(破壊)
幻魔皇ラビエル(破壊)
ジェネクス・コントローラー(破壊)

「くっ!!」

バトルフェーダー(破壊)(除外)

黒い闇がお互いのフィールド上のモンスターを全て飲み込んでしまった。そして、その後に1体のモンスターが現れる。

『ほっほっほ…神獣王バルバロスをリリースなしで通常召喚じゃよ。』


神獣王バルバロス
効果モンスター
星8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1200
(1):このカードはリリースなしで通常召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。
(3):このカードはモンスター3体をリリースして召喚する事もできる。
(4):このカードがこのカードの(3)の方法で召喚に成功した場合に発動する。
相手フィールドのカードを全て破壊する。


「バルバロス…!あんたの【スタンダード】のエースモンスターの一体だったな。」

『ほっほっほ…全てがエースで全てがキーカード。それが【スタンダード】の強みじゃ。手札からヘルウェイ・パトロールを捨てて、閃光の双剣-トライスを神獣王バルバロスに装備じゃ。』


閃光の双剣-トライス
装備魔法
手札のカード1枚を墓地に送って装備する。装備モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。装備モンスターはバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。



神獣王バルバロス 攻1900→1400

『ほっほっほ…攻撃力は500ポイント下がるが二回攻撃にはそれだけの価値がある…聡明な君なら分かるじゃろ?神獣王バルバロスで攻撃じゃよ。トルネード・シェイパー!』

「ぐあああ!!」

北村賢治 LP3000→2000

『もう一度。トルネード・シェイパー!』

「がああああ!!」

北村賢治 LP2000→1000

『ほっほっほ…永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の効果で救われたようじゃな。しかし、ライフポイントは風前の灯。北村君、ワシはカードを2枚伏せてターンエンドじゃ。永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の3.の効果、通常モンスターの特殊召喚はせんよ。』


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.「――――――――――」
3.ターンプレイヤーはエンドフェイズ終了時にデッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚することができる。



『ほっほっほ…さあ、北村君の番じゃよ。』

そう言い終わった後、『死神』は慌てて仮面を被った。まるで何かに怯えて逃げるかのように。



北村は知らない。室井のデッキは旅をする間に【スタンダード】から【トラベル・アクション】に変化していることを知らない。
そして室井が既に死んでいることを知らない。「サトリンの世界」で田宮に敗れ、死んだことを知らない。



4ターン目終了
北村賢治 LP1000
手札:1枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP1500
手札:0枚
モンスター:神獣王バルバロス(攻1400)
魔法&罠:閃光の双剣-トライス(神獣王バルバロスに装備中)、伏せカード×2




「オレの…ターン…。」

神獣王バルバロスの強烈な攻撃によって全身を揺さぶられたために痺れと吐き気が止まらない。それでも北村は歯を食い縛ってカードを引いた。

「ドロー!モンスターカード…剣竜(ソード・ドラゴン)!」


剣竜(ソード・ドラゴン)
通常モンスター
星6/地属性/恐竜族/攻1750/守2030
全身にカタナのトゲがついた恐竜。突進攻撃をする。



「凡骨の意地の効果でドロー!半魚獣・フィッシャービースト!」


半魚獣・フィッシャービースト
通常モンスター
星6/水属性/魚族/攻2400/守2000
陸では獣のように、海では魚のように素早く攻撃する。



「更にドロー!地を這うドラゴン!」


地を這うドラゴン
通常モンスター
星5/地属性/ドラゴン族/攻1600/守1400
力が弱り、空を飛べなくなったドラゴン。しかしまだ攻撃は強い。



「まだまだドロー!翼を織りなす者!」


翼を織りなす者
通常モンスター
星7/光属性/天使族/攻2750/守2400
6枚の翼をもつハイエンジェル。人々の自由と希望を司っている。



「ドロー!…っ、効果終了だ!行くぜ!世界の片隅から光差す場所へ這い出でよ!ペンデュラム召喚!来い!剣竜(ソード・ドラゴン)、半魚獣・フィッシャービースト、地を這うドラゴン、翼を織りなす者!そして、魔装戦士 ヴァンドラあ!!」


魔装戦士 ヴァンドラ
効果モンスター
星5/風属性/戦士族/攻2000/守 800
(1):このカードは直接攻撃できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、自分の墓地のドラゴン族・戦士族・魔法使い族の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。



北村のフィールドを5体のモンスターが埋め尽くした。彼が凡骨の意地で最後に手札に加えたのは効果モンスターであり、彼の象徴とも言える魔装戦士 ヴァンドラだった。

「更に召喚師ライズベルトの効果発動!地を這うドラゴンのレベルを一つ上げるぜ!」


召喚師ライズベルト
ペンデュラム・通常モンスター
星3/風属性/サイキック族/攻 800/守 800
【Pスケール:青2/赤2】
(1):1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つ上げる。
【モンスター情報】
妹セームベルをとても大事に想っている、心優しき兄ライズベルト。昼下がりの午後に妹と一緒に魔術書を読む時間は毎日の日課になっており、そんな二人の仲睦まじい様子に周囲の人は自然と心が癒されてしまう。



『なるほどぉ。得意のエクシーズ召喚だねぇ?』

『死神』は仮面の下から鼻をつまんだような声を出す。

「ふん、分かってんなら話は早え。覚悟しろ!レベル6となった地を這うドラゴンと元々がレベル6の剣竜(ソード・ドラゴン)でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!戦場を駆ける一陣の風となれ!No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車!」


No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/地属性/獣戦士族/攻2500/守1200
レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体と相手フィールド上にセットされた魔法・罠カード1枚を選択して発動できる。選択したカードを破壊する。この効果を発動したターン、相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。



「こいつの効果は知ってるか?当然知ってるよな、物知り爺さんの室井よお!チャリオッツ・飛車の効果発動!あんたの神獣王バルバロスとあんたから見て右側の伏せカードを破壊する!ローリング・クラッシュ!!」

二つのオーバーレイユニットがチャリオッツ・飛車のエネルギーとなり、一気に2枚のカードに迫る。

(来るか!?禁じられた聖杯!?)



北村は先ほどの『死神』の台詞が心に引っかかっていた。

――――――

『ほっほっほ…永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の効果で救われたようじゃな。』

――――――

永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3がない場合、神獣王バルバロスの攻撃で削られるライフは2800である。つまり北村のライフポイントが残ることに変わりはない。

勢いで言った台詞かもしれない。しかし、北村の知る室井という『トラベラー』はそのような間違いをする者ではなかった。常に一歩先、二歩先を見据えて言葉を紡ぐ者であった。つまり、そこから推測すれば彼が攻撃力アップのカードを持っている可能性が浮上する。
永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3がなければ、何かのカードでパワーアップした神獣王バルバロスの攻撃によって北村は敗北していた。しかし、永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3によって直接攻撃のダメージが1000になるから救われた、と言ってしまったのではないか。
そして、神獣王バルバロスと相性のいいパワーアップ系のカードと言えば、禁じられた聖杯などの効果無効系の速攻魔法。


禁じられた聖杯
速攻魔法
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。



もし、伏せカードが禁じられた聖杯ならば破壊される前にチャリオッツ・飛車に使うだろう。しかし、その場合、神獣王バルバロスは低い攻撃力を晒したままになってしまう。かといって禁じられた聖杯を神獣王バルバロスに使えばチャリオッツ・飛車の効果で無残に破壊されるだけである。

果たして伏せカードは読み通りなのか。北村が相手の動きに神経を集中させている時、『死神』の不快な声が響いた。

『北村君、やっぱり君は聡明だよぉ。だからこそ罠に引っかかるぅ。』

「なっ!?」

神獣王バルバロス(破壊)
伏せカード(破壊)

チャリオッツ・飛車の効果は発動した。伏せカードは禁じられた聖杯ではなかった。


アーティファクト-アキレウス
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1500/守2200
このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる。魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する。相手ターン中にこのカードが特殊召喚に成功した場合、このターン相手は自分フィールド上の「アーティファクト」と名のついたモンスターを攻撃対象にできない。



「くっ!?伏せカードはアーティファクト!?」

先ほど『死神』が放った一言は罠だった。あわよくば伏せカードを破壊してもらうための誘いの一押しだったのだ。

『北村君が破壊した伏せカードはアーティファクト-アキレウスだよぉ。そして自身の効果で特殊召喚だよぉ。更にこのターン、アーティファクト-アキレウスを攻撃出来ないんだぁ。』

(しまった…。これじゃあ、攻撃を封じられたも同然じゃねえか…!)

「だが、こいつだけは違うぜ!こいつはプレイヤーへの直接攻撃が出来る!いけ、オレの分身!魔装戦士 ヴァンドラ!旋風のウイニング・クラッシュ!」

ヴァンドラの攻撃が『死神』のブヨブヨした体を斬り裂いた。

『ぐぐっ…。』

『死神』 LP1500→500

永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の3.の効果を使ってジェネクス・コントローラーを特殊召喚してターンエンドだ…。」

ターンエンドを宣言した後、北村は少し考えた。室井は確か大郷の仲間だった。

(大郷がオレを仲間に誘っておいて何故、室井がデュエルを仕掛けてくる…?そういえば大郷は室井を失ったって言ってた…。仲間割れでもしたのか…?それとも、真弓の味方をしたからオレも敵と見なしたということか…?…いや、今それを考えてる場合じゃねえ。デュエルに集中だ!)



5ターン目終了
北村賢治 LP1000
手札:1枚
モンスター:半魚獣・フィッシャービースト(攻2400)、翼を織りなす者(攻2750)、No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車(攻2500)、魔装戦士 ヴァンドラ(攻2000)、ジェネクス・コントローラー(守1200)
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP500
手札:0枚
モンスター:アーティファクト-アキレウス(守2200)
魔法&罠:伏せカード×1




『さあて、今度はあたしの番って訳ね。北村、お久しぶり。』

次に『死神』が仮面を外した時に、そこにあったのはソバカスのある女性の顔だった。

「あんたは倉橋(くらはし)!?…その中に一体何人入ってんだ…?」

『トラベラー』倉橋は割烹着を着て戦うのが特徴的なデュエリストだった。姉御肌的な性格でもあり、良く言えば面倒見がよくて豪快、悪く言えばガサツでお節介。そんな性格の『トラベラー』。

『悪いけど、あたしは一人だよ?何人もいるように見えるけどね。ま、そんなことよりもデュエリスト能力を使うよ。美食の宝札(グルマンドロー)発動。』

「!?」

デュエリスト能力は一つの魂につき一つ与えられると言われている。発現者は十代の者に限られ、二十代になると自然消滅するために未だに分かっていないことも少なくない。理論上は同じ能力が複数人に発現する可能性はあるが、そのような報告は現在まで成されていない。そして、数の少ないレベル4のデュエリスト能力ともなると全く同じ能力者が二人以上存在する確率は限りなく低い。
この美食の宝札(グルマンドロー)の発動はデュエリストが入れ替わっていないことを強烈に主張していた。

『ほい、墓地の5枚を除外して5枚ドロー。まずは魔法吸収を発動するよん。』


魔法吸収
永続魔法
魔法カードが発動する度に、このカードのコントローラーは500ライフポイント回復する。



『あたしさ、北村の考え方、結構好きなんだよね。使えないって言われてるカードも組み合わせ次第で化ける。ってな訳で、トゥーンのもくじ発動。』


トゥーンのもくじ
通常魔法
(1):デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。



『手札に加えるのは同じくトゥーンのもくじ!魔法吸収で500ポイント回復!』

「!!」

『死神』 LP500→1000

『続けてトゥーンのもくじを発動し、トゥーンのもくじをゲット!更に発動してトゥーン・キングダムをゲット!発動するよ。』

『死神』 LP1000→1500→2000→2500


トゥーン・キングダム
フィールド魔法
(1):このカードの発動時の効果処理として、自分のデッキの上からカード3枚を裏側表示で除外する。
(2):このカードのカード名は、フィールドゾーンに存在する限り「トゥーン・ワールド」として扱う。
(3):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分フィールドのトゥーンモンスターは相手の効果の対象にならない。
(4):自分フィールドのトゥーンモンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに破壊されるモンスター1体につき1枚、自分のデッキの上からカードを裏側表示で除外できる。



『デッキからカードを3枚除外して、ここに王国を築くことを宣言する!』

(くっ!ライフ回復に加えて、キーカードまで…!)

トゥーン・キングダムに目を奪われている北村の耳に落ち着いた声が届く。

『ねえ、北村。トゥーンって『トラベラー』に似てると思わない?』

「えっ?」

『トゥーンは完全な生命体ってな触れ込みで登場し、相手のモンスターなんてお構いなしに直接攻撃をぶちかます。でも、本当は全然完全なんかじゃなくって世界(トゥーン・ワールド)が壊れたら死んじゃうんだよ。』

「倉橋…。」

悲しそうな笑みを浮かべるその顔に対して、北村は言葉を詰まらせた。

『ああ…。ゴメン!湿っぽいのはなしなし!デュエルってのは楽しんでナンボ。これ、北村の十八番の台詞だったよね?さあ、行くよ!トゥーン・キングダムがあるからトゥーン・マーメイドを特殊召喚出来る!ほいっと!』

少し無理して明るい声を発しながら、彼女はコミカルな女性型のモンスターを繰り出した。


トゥーン・マーメイド
特殊召喚・トゥーン・効果モンスター
星4/水属性/水族/攻1400/守1500
このカードは通常召喚できない。自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在する場合に特殊召喚できる。
(1):このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。
(2):このカードは500LPを払わなければ攻撃宣言できない。
(3):相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。存在する場合、トゥーンモンスターを攻撃対象にしなければならない。
(4):フィールドの「トゥーン・ワールド」が破壊された時にこのカードは破壊される。



『といっても召喚ターンには攻撃不可だから守備表示。でも、この子は違うよ。アーティファクト-アキレウスをリリースして、トゥーン・ブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚!』


トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール
特殊召喚・トゥーン・効果モンスター
星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700
このカードは通常召喚できない。自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在し、自分フィールドのモンスター1体をリリースした場合に特殊召喚できる。
(1):このカードの攻撃力は、お互いの墓地の「ブラック・マジシャン」「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数×300アップする。
(2):相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。存在する場合、トゥーンモンスターを攻撃対象にしなければならない。
(3):フィールドの「トゥーン・ワールド」が破壊された時にこのカードは破壊される。



『この攻撃が通ればあたしの勝ちだね。対抗する手段はあるかい?北村ぁ!トゥーン・ブラック・マジシャン・ガールの直接攻撃!黒・魔・導・爆・裂・破(ブラック・バーニング)!!』

「ぐあああああ!!!」

北村賢治 LP1000→0

『何か隠してる気がしたけど、あっけなかったね…。』

「まだだ…。」

『えっ?』

「まだ…まだだ…!」

半魚獣・フィッシャービースト(除外)
翼を織りなす者(除外)
ジェネクス・コントローラー(除外)
北村賢治 LP0→300

「ありがとよ、倉橋!デュエルってのは楽しんでナンボだってこと思い出させてくれて!だからこそオレはここで立ち止まる訳にゃ行かねえ!オレは約束した!あいつと『神様のデュエル』をするって!」


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.ライフポイントが0になったプレイヤーのフィールド上に通常モンスターがいる場合、そのプレイヤーのフィールド上の通常モンスターを全て除外して敗北を無効にし、そのプレイヤーのライフポイントを除外したモンスターの数×100にする。
3.ターンプレイヤーはエンドフェイズ終了時にデッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚することができる。



永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の2.の効果を発動させた!フィールドにいた通常モンスターは3体!よって、ライフポイント300で復活だぜ!さあ、デュエル続行だ!」

『ああ、やっぱ北村の戦い方、好きかも…。』

彼女は少し目を伏せて、そしてもう一度北村を見た。

『あたし達を作った神様は不平等だ。同じ『トラベラー』でも実力が天と地ほど違う者がいる。でも、北村はそんなこと関係なくデュエルが出来る…。正直、うらやましいよ。』

「倉橋…。」

次に倉橋が何かを言おうとした瞬間、彼女の顔は苦悶の表情へと変わった。そして、慌てて仮面を被ると共にカードを1枚伏せた。

『これであたしは、ターンエン…ド…。』



6ターン目終了
北村賢治 LP300
手札:1枚
モンスター:No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車(攻2500)、魔装戦士 ヴァンドラ(攻2000)
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP2500
手札:0枚
モンスター:トゥーン・マーメイド(守1500)、トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール(攻2000)
魔法&罠:トゥーン・キングダム(フィールド魔法)、魔法吸収(永続魔法)、伏せカード×2




北村は一呼吸置いてからデッキに手を掛けた。

「オレのターン!ドロー!引いたのはエビルナイト・ドラゴン!通常モンスターなので凡骨の意地の効果で2枚目ドロー!」


エビルナイト・ドラゴン
通常モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2350/守2400
邪悪な騎士の心に宿るドラゴンが実体化したもの。



「2枚目はビッグバンドラゴン!続けてドロー!」


ビッグバンドラゴン
通常モンスター
星6/炎属性/炎族/攻2200/守1700
宇宙ができた時に生まれた竜。その衝撃で双子の竜が合体して1つの体になってしまった。



「3枚目、竜穴の魔術師!更にドロー!」


竜穴の魔術師
ペンデュラム・通常モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 900/守2700
【Pスケール:青8/赤8】
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
【モンスター情報】
若くして竜の魂を呼び覚ます神通力を体得した天才魔術師。その寡黙でストイックな魔術への姿勢から人付き合いは苦手だが、弟子の「竜脈の魔術師」にいつも振り回され、調子を狂わされている。



「4枚目、通常モンスター!クラッシュマン!当然、ドロー!」


クラッシュマン
通常モンスター
星5/地属性/獣族/攻1600/守1800
意外に素早く動き回り、丸まって体当たりをしてくる。



「5枚目、フレイム・ケルベロス!更にドロー!」


フレイム・ケルベロス
通常モンスター
星6/炎属性/炎族/攻2100/守1800
全身が炎に包まれた魔獣。相手を地獄の炎で処刑する。



そのドローで北村の手札に来たのは魔法カードだった。

「…これで凡骨の意地の効果は終了する!」

カードを引き終わって、北村は改めて手札を見た。

(オレが最後に引いたのはハーピィの羽根帚!)

ハーピィの羽根帚
通常魔法
(1):相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。


(いいタイミングだ。相手のトゥーン・キングダムがある限り、トゥーンモンスターは破壊を無効にされちまう。だが、トゥーン・キングダムを破壊すればトゥーンモンスターも自壊する!)

「オレはハーピィの羽根帚を発動!あんたのフィールドの魔法と罠を一掃するぜ!」

『そうは行かないよぉ。』
仮面の下からあの不快な声が聞こえてくる。倉橋のものではない、あの声が。
『罠カード、魔宮の賄賂を発動だよぉ。』


魔宮の賄賂
カウンター罠
(1):相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。相手はデッキから1枚ドローする。



「なっ!!」

『トゥーン・キングダムを守るためのカードは当然用意してるよぉ。ハーピィの羽根帚を無効にして破壊するよぉ。まあ、無効にするから魔法吸収での回復はないんだけどねぇ。』

ハーピィの羽根帚(破壊)

「くっ…。」

北村は苦々しい顔でデッキからカードを1枚引いた。魔宮の賄賂は汎用性の高い効果の代わりに相手にカードを1枚引かせる。アドバンテージとしては『死神』が不利になった。しかし、ハーピィの羽根帚の被害をカードアドバンテージ1枚分に抑えたと考えれば上等である。
北村のデッキには2枚目のハーピィの羽根帚は入っていない。それどころかほとんどが通常モンスターである。この魔宮の賄賂で引くのもおそらくは通常モンスターに違いない。

「ドロー…。」

北村が引いたのはアサシンだった。


アサシン
通常モンスター
星5/地属性/戦士族/攻1700/守1200
闇の中を音もたてず相手に忍び寄る、暗殺専門の戦士。



(…トゥーン・キングダムを破壊出来なかったのは痛いが、悔やんでばっかじゃ前に進めねえ。ここは気持ちを切り替えよう。…オレのフィールドにはモンスターが2体。つまり、今ペンデュラム召喚出来るのは3体まで。誰を召喚するべきか…。)

その時、北村は気が付いた。先ほどまでは召喚出来なかったあのモンスターを呼べることに。

(…そうか、アサシンが来てくれたから…!)

「オレはセッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚だ!揺れろ、オレのペンデュラム!光の下へ来たれ、オレのモンスター達!」

北村の空いているモンスターゾーンにアサシン、クラッシュマン、エビルナイト・ドラゴンが現れる。『死神』は少し身を乗り出してアサシンを見た。

『なるほどぉ。そのモンスターを引いたんだぁ。』

「ああ、感謝するぜ!おかげでコイツを呼べるんだからな!オレはレベル5のアサシン、クラッシュマン、ヴァンドラでオーバーレイ!来い、重機の王よ!その姿、現して、眼前の敵を薙ぎ払え!重機王ドボク・ザあああぁぁあク!!!」

地響き立てて現れる、巨大な重機が現れる!


重機王ドボク・ザーク
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/地属性/機械族/攻3200/守2000
レベル5モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカードの中にモンスターカードがあった場合、その数まで相手フィールド上のカードを破壊する。



「ドボク・ザークの効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除いて、効果発動!まずは、あんたのデッキから3枚のカードを墓地へ送る!」

送られたカード
トゥーン・デーモン
トゥーン・仮面魔道士
トゥーン・サイバー・ドラゴン

(よしっ!)
北村は思わず小さくガッツポーズをした。
「送られたカードは全てモンスターカード!よって、あんたの伏せカードと魔法吸収、そしてトゥーン・キングダムを破壊する!」

伏せカード(破壊)
魔法吸収(破壊)
トゥーン・キングダム(破壊)

「更にトゥーン・キングダムが破壊されたことによりトゥーンモンスターは自壊する!」

トゥーン・マーメイド(破壊)
トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール(破壊)

「これで…!」

相手のフィールドはガラ空きだから、このままバトルに入れば3000ポイントのダメージを与えられて勝つことが出来る。そう思った北村の視界に1枚の開かれた罠カードが飛び込んできた。

『伏せカード、破壊される前に発動したよぉ。』


和睦の使者
通常罠
このターン、相手モンスターから受ける全ての戦闘ダメージは0になり、自分のモンスターは戦闘では破壊されない。



「くっ…。」

確かに『死神』のフィールドには一切のカードがなくなった。しかし、和睦の使者の効果によって北村は攻撃を封じられたも同然であった。北村は自分の手札に視線を落とす。

(今は攻撃しても意味がねえ…。だが、やれることはやっておく。そして機会を待つんだ…。)
「オレはチャリオッツ・飛車に重ねて迅雷の騎士ガイアドラグーンをエクシーズ召喚する!」


迅雷の騎士ガイアドラグーン
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/風属性/ドラゴン族/攻2600/守2100
レベル7モンスター×2
このカードは自分フィールド上のランク5・6のエクシーズモンスターの上にこのカードを重ねてエクシーズ召喚する事もできる。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。



(オーバーレイを失ったチャリオッツよりも効果持ちで攻撃力も100高いガイアドラグーンを出しておく。小さいことかもしれねえが、この100が生死を分けることだってあるからな。)

北村は他に出来ることはないか探しながらフィールド上を見回した。しかし、これ以上は特に何もすることを見つけられなかった。

「オレはこれでターン終了だ…。永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の効果で青眼の銀ゾンビ(ブルーアイド・シルバーゾンビ)を特殊召喚する。」


青眼の銀ゾンビ(ブルーアイド・シルバーゾンビ)
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 900/守 700
目から出す怪光線で、相手をゾンビに変えてしまうと言われている。




7ターン目終了
北村賢治 LP300
手札:4枚
モンスター:迅雷の騎士ガイアドラグーン(攻2600)、エビルナイト・ドラゴン(攻2350)、重機王ドボク・ザーク(攻3200)、青眼の銀ゾンビ(守700)
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP2500
手札:0枚
モンスター:なし
魔法&罠:なし




ターンは『死神』へと移行する。『死神』はドローする前に仮面を外した。そこにはまたしても別の顔があった。痩せこけた頬にドブのような濁った目の男の顔がそこにあった。

鵜堂(うどう)…!」

『やあ…。元気に殺ってるかい?北村…。』

『トラベラー』鵜堂は武士のような格好をしており、常に日本刀を帯刀している。その眼光は常に鈍く光っており、その瞳は見る者を闇へと誘うような底知れぬ恐怖があった。

(くそっ!何がどうなってんだ…!)

北村もずっと奇怪に思っていた。『死神』の体はブヨブヨして伸縮自在に見えるが、人間が四人も入るスペースは絶対にない。まるで魔法でも使っているかのように人間が入れ替わっていた。

『まさかとは思うが、北村…。デュエルは楽しいもの…まだ、そんなことを言っているのか…?』

「…何が言いたい…?そんなの人の勝手だろうが…。」

『死神』を睨み返した北村だが、目を細めて相手の目を見ないようにしつつ、目線を若干逸らしていた。それが北村の精一杯だった。
北村は鵜堂が苦手だった。その虚無のような瞳を見るたびに、自分の中の何かがグチャグチャにされ心が得体の知れない何かに侵食されそうになる感覚があって、鵜堂を避けていた。まるで闇の深遠に引きずり込まれるかのような危険な臭いを放つ男、それが鵜堂であった。最初に『死神』に会った時に感じた嫌な感じの殺意の部分だけを更に強めたような邪気を放っていた。

『違う。』

『死神』は叫ぶではなく、しかし強くそう言った。

『デュエルは人殺しの道具だ。どんな綺麗ごとを言ってもそれは変わらない。我々が『トラベラー』である限り。』

「そんなことは…。」

北村が否定の言葉を口にする前に、『死神』はそれを否定する言葉を放った。

『一人殺しておいて、か?』

「っ!!!」

それは強烈な一撃だった。北村は瞬間、めまいがして倒れそうになった。頭の中にはあの時のことが鮮明に蘇る。初めてデュエルで『トラベラー』を殺した時のことが。

『人殺しは人殺し、どこまで行ってもそれは変わらない。デュエルが人殺しの道具である事実も同じ。どんなに取り繕っても真実は否定出来ない。我々『トラベラー』はデュエルで殺し合えるのだから。』

その言葉の後半は北村の耳に届いていなかった。北村の脳裏にはデュエルをして、とある『トラベラー』を殺した時の情景しか浮かんでいなかった。自分の大好きなデュエルモンスターズで、殺した。
確かに相手は北村を罵倒し、北村が使っているデュエルモンスターズのカードを軽んじた。しかし、どんな理由があろうとも北村が怒りに任せてデュエルモンスターズでその『トラベラー』を殺した。それは間違いない。それは変わらない。それは厳然たる事実。


その時、北村にはどこからともなく聞こえてきた声がある。

「お前は二度とデュエルモンスターズを楽しめない」


それは北村の心の底からの、無意識の声だったに違いない。『トラベラー』に法律など存在しない。北村が殺人罪で捕まることなどはない。
しかし、どんな理由であってもデュエルで人を殺したのだ。そのことは一生忘れることの出来ない記憶となり、自分自身を責め立てる。法律ではない、周囲の者でもない。自分自身の倫理、自分自身の良心が、自分自身が行ったことに対して咎め立てするのだ。
確かにそのデュエルで北村が負けていれば、死んでいたのは北村だった。生き残るためには仕方がなかった。

それでも。

デュエルモンスターズを殺人の道具にしてしまったことに代わりはない。それの意味するところは、選択をしてしまったということ。北村は、デュエルモンスターズというものを楽しむためのゲームではなく、殺人の道具として使う道を自分自らが選択してしまったということ。それはどんな理由を並べても変わることのない事実。何かしらの理由を並べて正当化などしたくない。どんな理由であっても、もうデュエルを楽しむことが出来ないことに変わりはないのだから。そのことが北村の心を酷く苦しめていた。



その北村を救った言葉がある。


――――――――――――――――――――

「デュエルを楽しんじゃいけないって、そんなの絶対おかしいよ!」

――――――――――――――――――――


一人のデュエリストの少女が放った一言が、当時の北村の心をどれほど救っただろうか。その少女との出会いがなければ今の北村はなかった。その少女との約束、デュエルを心の底から楽しむ『神様のデュエル』をするということが北村の心の支えになっていた。










『甘い理想にすがったか?優しい言葉に救いを求めたか?』

ビクッと体を震わせる北村に対し、『死神』は目をひん剥いた。

『人殺しに救いなんてない。『トラベラー』である限り、必ず咎を負う。一生だ。それを思い出させてやる。ワタシはドローフェイズに美食の宝札(グルマンドロー)を発動。』

デュエリスト能力により墓地のカード除外されていく。そして、『死神』はデッキに手を掛ける。

『13枚、ドロー!』

その動きは剣術の居合いを彷彿とさせた。『死神』が引いた枚数、13は奇しくも西洋の大アルカナにおける死神を現す数であった。

『ガーディアン・エアトスを2体特殊召喚。』


ガーディアン・エアトス
効果モンスター
星8/風属性/天使族/攻2500/守2000
(1):自分の墓地にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードに装備された自分フィールドの装備魔法カード1枚を墓地へ送り、相手の墓地のモンスターを3体まで対象として発動できる。そのモンスターを除外する。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で除外したモンスターの数×500アップする。



ガーディアン・エアトス
効果モンスター
星8/風属性/天使族/攻2500/守2000
(1):自分の墓地にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードに装備された自分フィールドの装備魔法カード1枚を墓地へ送り、相手の墓地のモンスターを3体まで対象として発動できる。そのモンスターを除外する。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で除外したモンスターの数×500アップする。



『死神』は墓地にカードがないことを利用し、大型モンスターを2体並べた。

『更にエキセントリック・デーモンを通常召喚。』


エキセントリック・デーモン
ペンデュラム・効果モンスター
星3/光属性/悪魔族/攻 800/守1000
【Pスケール:青7/赤7】
「エキセントリック・デーモン」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカード以外のフィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードとこのカードを破壊する。
【モンスター効果】
「エキセントリック・デーモン」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードをリリースし、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。



『エキセントリック・デーモンの効果発動…。このカードを生贄にし、破壊するのは…ガーディアン・エアトス!!』

「なっ!?自分のモンスターを破壊!?」

生贄に捧げられたエキセントリック・デーモンと破壊された1体のガーディアン・エアトスがフィールドから退場していく。

『エアトスが破壊されたことにより手札からガーディアン・デスサイスを特殊召喚!』


ガーディアン・デスサイス
特殊召喚・効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻2500/守2000
このカードは通常召喚できず、このカードの効果でのみ特殊召喚できる。
(1):「ガーディアン・エアトス」が戦闘・効果で破壊され自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「死神の大鎌-デスサイス」1枚をこのカードに装備する。
(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は召喚・特殊召喚できない。
(4):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。手札を1枚墓地へ送り、このカードを墓地から特殊召喚する。



『ガーディアン・デスサイスの特殊召喚成功によりデッキから死神の大鎌-デスサイスをこのカードに装備。』


死神の大鎌-デスサイス
装備魔法
「ガーディアン・デスサイス」にのみ装備可能。
(1):装備モンスターの攻撃力は、お互いの墓地のモンスターの数×500アップする。



「ガーディアン・デスサイスの召喚のためにわざとエアトスを…!」

『ワタシの墓地にはエアトスのみ、お前の墓地にはモンスターは13体。よってデスサイスは攻撃力7000ポイントアップ!』

ガーディアン・デスサイス 攻2500→9500

『北村、覚悟は出来ているか…?死にたくても死ねない痛みを受ける覚悟が!ガーディアン・デスサイスでエビルナイト・ドラゴンに攻撃!フォビドゥン・レクイエム!!』

ガーディアン・デスサイスが大鎌を北村に向かって振り下ろす。その死神の一撃は北村のライフポイントを削り切った。

「があああああああ!!!」

北村賢治 LP300→0

与えたダメージは6000ポイント以上のオーバーキル。北村は自分の胴体が斬り裂かれたかのような痛みにのた打ち回った。

「ああああっ!!!あっぐぐぐぐぐ…!!だが…永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の効果…発動!フィールド上の銀ゾンビを除外し、ライフポイント100となって復活…だ!」

青眼の銀ゾンビ(除外)
北村賢治 LP0→100

『だが、これでお前のフィールドに通常モンスターはいなくなった。』

そう言われて北村はハッとなり、フィールドを見た。自分のフィールドに残っているのはエクシーズモンスターである迅雷の騎士ガイアドラグーンと重機王ドボク・ザークの2体のみ。

「…だから、どうした…。」
北村は動揺した心を静めるかのように大きく深呼吸して、その後に叫んだ。
「だからどうしたってんだ!こっちはガイアドラグーンの攻撃力が2600!ドボク・ザークに至っては3200だ!確かにデスサイスの攻撃力はとんでもねえが、残ってるエアトスの攻撃力は2500!バトルじゃ勝てねえし、装備カードを出せばバトルフェイズを終了することになる!オレにダメージを与えることは出来ねえぜ!」

『怯えているな?』
『死神』の虚無を映す瞳が北村を覗き込む。
『速攻魔法の存在を口にしないのは忘れているからではないだろう?』

「な…!?うるさい!!」
北村は動揺を隠すように叫ぶ。事実、『死神』が突進などのパワーアップ系の速攻魔法があれば戦況は逆転することは北村も分かっていた。

『だが、その読みは間違ってはいない。ワタシの手札には速攻魔法はなく、バトルフェイズを終了する。…だが、ワタシのターンはまだ終わってはいない。ワタシのフィールドにはレベル8のモンスターが2体存在しているのだからな。』

『死神』のその言葉の意味を北村はいち早く、理解してしまった。

「まさか…!?」

『ワタシはレベル8のエアトスとデスサイスでオーバーレイ!現れろ、No.15!運命の糸を操る地獄からの使者、漆黒の闇の中より舞台の幕を開けろ!ギミック・パペット-ジャイアントキラー!!』

闇の中から巨大な人形が蠢き出す。糸が絡まり、吊り上げられる運命の操り人形。


No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/闇属性/機械族/攻1500/守2500
レベル8モンスター×2
自分のメインフェイズ1でこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを破壊する。破壊したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、さらにそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。この効果は1ターンに2度まで使用できる。



「あ…ああ…。」

北村は恐怖した。機皇帝がシンクロキラーならば、このカードはエクシーズキラー。エクシーズ使いならば誰もが恐れるモンスターの1体にして、とある世界での因縁深いカードの1枚である。


恐怖は視野を狭める。北村の目の前が真っ暗になる。何も見えなくなる。しかし。
「…!」
北村は気が付いた。ジャイアントキラーの効果が通らないことに。
「待てよ、鵜堂…。」
その希望の光に気が付いたということは、まだ完全に恐怖に飲み込まれてはいなかったということ。北村は迫り来る恐怖にまだ屈してはいなかった。
「ジャイアントキラーの効果はメインフェイズ1にしか発動出来ない…。今はメインフェイズ2だ!よってジャイアントキラーは効果を発動出来ない!」

『そう思うか?』
鵜堂はその鋭い眼光を更に尖らせる。
『ワタシの『トラベラー』としての能力をまだ見せていなかったな…。自分でいうのもなんだが、これはささやかな能力だ。極一部のモンスターとだけ相性のいい、ささやかな―――――懐刀だ。』

『死神』がそう言うと、既にメインフェイズ2にも関わらずジャイアントキラーが動き出した。

「なっ!?」

『メインフェイズ2をメインフェイズ1として扱うことが出来る。これがワタシのトラベラーとしての能力だ。』

「っ…!?そんな…!」

その能力は『死神』が言うようにささやかな能力かもしれない。フィールドを一掃する能力でもなければ、相手のライフポイントをガリガリ削っていく能力でもない。しかし、奇襲性はこの上なく高い。何故なら、メインフェイズ1でしか発動出来ない効果というのは強力なものであると相場が決まっている。強力、故に限定される。大概の者がメインフェイズ1を凌ぎきり、安堵の溜息を吐いた咽喉元に突き立てられる刃。ささやかでありながら恐ろしい能力であった。

『さあ…そこで、自分のモンスターが砕かれ、飲み込まれてゆくのを目に焼き付けるがいい…。これでも、まだデュエルは楽しいと言えるか!?北村あ!!』

『死神』は黒い手を出し、重機王ドボク・ザークを指差した。

『ジャイアントキラーよ!ドボク・ザークを破壊しろ!デストラクション・キャノン!!』

重機王ドボク・ザークが運命の糸に絡め取られて、ジャイアントキラーの破砕用の胸部に飲み込まれていく。巨体を誇ったドボク・ザークも抵抗虚しく壊れ、消えていった。そして、ジャイアントキラーの胸部から砲台が飛び出す。

『破壊した特殊召喚モンスターはエクシーズ!よって、お前にその攻撃力分3200のダメージを与える!』

砲台から先ほどドボク・ザークを破壊して得たエネルギーの砲撃が北村に向かって放たれた。

「う、うわああああ!オレはハネワタを捨てて効果ダメージを0にする!」


ハネワタ
チューナー(効果モンスター)
星1/光属性/天使族/攻 200/守 300
このカードを手札から捨てて発動できる。このターン自分が受ける効果ダメージを0にする。この効果は相手ターンでも発動できる。



「はあ…。はあ…。」

北村は息を荒げながら、どうにか立っていた。

『そうか、まだ戦う意思が残っているか。では殺し合い(デュエル)を続けよう。ジャイアントキラーの効果は1ターンに2度まで発動可能!効果ダメージこそないが、ガイアドラグーンも破壊する!デストラクション・キャノン!!』

「くっ…!」

再びジャイアントキラーから伸びた糸は北村のガイアドラグーンを絡め取り、胸部の破砕機によって跡形もなく砕いていく。その光景は直視し難いものだった。

『最後まで足掻くか…。』

「っ…。」

北村のフィールドにはモンスターが居なくなった。一方の『死神』は手札が潤沢にあり、次のターンにはまた美食の宝札(グルマンドロー)によって手札増強も出来る。そう思った北村の目に飛び込んできたのは希望の光だった。

(えっ…。まさか…。そんなことって…。)

『死神』のデッキにカードがなかった。

(思えば奴は美食の宝札(グルマンドロー)で何度も大量に手札を引いていた…。まさか…。)

北村は『トラベラー』としての頭脳をフル回転させてこのデュエルが始まってから今までで『死神』が何枚のカードをデッキから引いたか思い出し、数えた。

(41枚…。間違いない…。あいつのデッキは41枚だ!そして、さっきの死神の大鎌-デスサイスが最後の1枚だったんだ!勝てる…。デッキからカードをドロー出来なくなったプレイヤーは負け!このターンが終わってオレのターンになれば、ターンエンドするだけでオレの勝ち…!)

瞬間、北村は軽く息を吐いた。




















(な訳ないだろうが…!そんな上手い話があるか!奴は死神の大鎌-デスサイスをデッキから装備させた時に自分のデッキが0枚だということは分かっている…。にも関わらず、ジャイアントキラーでオレを仕留め損なったことにそこまで落胆している様子がない…。まるで次があるかのような…。)


『さて、ワタシはアフター・グローを発動する。』

「えっ?」
北村の思考が一瞬止まった。


アフター・グロー
通常魔法
発動後、このカードをデッキに加えてシャッフルする。次の自分のドローフェイズ時の通常のドローをお互いに確認し、「アフター・グロー」だった場合、相手ライフに8000ポイントライフダメージを与える。



「あ…。あああ!?」

それは、とある世界で世界の運命を賭けて戦った者が使ったカードの内の1枚、その切り札と言うべきカードだった。未来を救うという目的を共にした仲間との決別と、未来は託すべきだという想いと、破滅の未来に一筋の希望があることを示す、何重にも想いが込められた1枚のカード。

そのカードが今、北村に牙を剥く。

『ワタシのデッキは0枚。よって、シャッフルされ新しく出来たデッキはアフター・グロー1枚だけ。ワタシはカードを5枚伏せてターンエンド。さあ、北村。お前の番だ。お前の最後を飾る番だ。存分に楽しんでくれ。この状況で楽しめるものならばなあ!』

瞬間、『死神』は仮面を被った。まるで光を遮るかのように。



8ターン目終了
北村賢治 LP100
手札:3枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP2500
手札:3枚
モンスター:No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー(守2500)
魔法&罠:伏せカード×5




「オレの、ターン!ドロー!」

北村は自分のデッキから力強くカードを引いた。それは見ようによっては乱雑で、不安を拭おうと焦っているようにも見えた。

(確かに、今のオレは『神様のデュエル』をしていない…。だが、鵜堂!あんたに言われる筋合いはねえ!)

「オレが引いたのはジャッジ・マン!凡骨の意地の効果で次のカードを引ける!」


ジャッジ・マン
通常モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2200/守1500
勝ち負けのない勝負が嫌いな戦士。こん棒の攻撃は強いぞ!



「2枚目ドロー!召喚師ライズベルト!」


召喚師ライズベルト
ペンデュラム・通常モンスター
星3/風属性/サイキック族/攻 800/守 800
【Pスケール:青2/赤2】
(1):1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つ上げる。
【モンスター情報】
妹セームベルをとても大事に想っている、心優しき兄ライズベルト。昼下がりの午後に妹と一緒に魔術書を読む時間は毎日の日課になっており、そんな二人の仲睦まじい様子に周囲の人は自然と心が癒されてしまう。



「3枚目ドロー!カクタス!」


カクタス
通常モンスター
星5/水属性/水族/攻1700/守1400
水中に潜んでいる、得体の知れない格好をしたばけもの。



「4枚目…!」

そのドローで北村が引いたのは魔法カードだった。

「凡骨の意地の効果は終了だ…!行くぜ、オレはセッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚!さあ、世界の表舞台へ舞い降りろ!ジャッジ・マン!カクタス!ビッグバンドラゴン!竜穴の魔術師!フレイム・ケルベロス!」

北村のフィールドに5体のモンスターが並び立つ。その瞬間、鼻をつまんだような不快な声が響き渡る。

『残念なお知らせだよぉ。罠カード、神の通告を発動だよぉ。』

「なあ!?」


神の通告
カウンター罠
(1):1500LPを払って以下の効果を発動できる。
●モンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを特殊召喚する際に発動できる。その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。



『北村君も知ってるよねぇ?ペンデュラム召喚はひとまとめの召喚だからぁ、この場合、5体まとめて召喚無効になるんだよぉ。』

『死神』 LP2500→1000

ジャッジ・マン(破壊)
カクタス(破壊)
ビッグバンドラゴン(破壊)
竜穴の魔術師(破壊)
フレイム・ケルベロス(破壊)

「あ…ああ…!」

北村の驚愕と悲哀を搾り出した声が響く中、『死神』の不快な声が共鳴するかのように広がる。

『ははは!あははは!北村君のモンスターが全滅だぁ!これで君に勝ち目はなくなったよぉ!ペンデュラム召喚はもう出来ない!そして、手札は2枚!その内の1枚は攻撃力800の召喚師ライズベルト!終わりだよぉ!これは神様からの通告なんだよぉ!デュエルは争いの道具であり、楽しむのとは別物なんだってぇ!ははは!あははは!さあ、北村君よぉ!ターンエンドでも、サレンダーでも、悪足掻きでも好きなのを選んでよぉ!ははは!あははは!』

北村はぐったりと力なく頭を垂れていた。そして、その手がゆっくりと動き出す。自分のデッキに向かって。

『サレンダー!?ねえ、サレンダーなのかい!?ははは!あははは!』

その時、北村の手が宙でピタリと止まった。

『んん…?』

北村はゆっくりと口を開いた。

「…おい、『死神』。最後に一つだけ教えてくれよ…。あんたは、誰だ?」

『んんん…?』

「あんたは自分のことを『トラベラー』だと言った。そして、次から次へと『トラベラー』達が顔を出した…。だがな、おかしいんだよ。顔が瞬間的に入れ替わってるとか、ターンの終わりに逃げるように仮面を被るとか。そして、それ以前に変なことがある。それはオレがまだ負けてねえってことだ。」

『どういう、ことぉ…?』

「オレは強くなった。これは事実であり、過大評価じゃねえ。『トラベラー』40人が旅立ったあの時から考えて、確実にオレは強くなった。あの時の五条相手になら互角以上の戦いが出来るはずだ。だがな、それでも室井や倉橋よりはまだ強くなっちゃいねえ。鵜堂に至っては、あれだけの手札があったのにオレを倒せていない。おかしいじゃないか。」

『…。』
『死神』は黒い体を揺らめかせながら黙っていた。

「あんたのデッキは何故か41枚で、中身は【悪魔族】に【スタンダード】に【トゥーン】に【ガーディアン】とまるで統一性がない。まるで元々完成していたいくつかのデッキから何枚かカードを取り出して、一つのデッキにしたような感じがするんだよ。
そして極め付けはデュエリスト能力の美食の宝札(グルマンドロー)を全員が使ってた、ってことだ。デュエリスト能力は一つの魂に一つだけ宿るもの。つまり、あんたは五条でもなければ室井でも倉橋でもないし鵜堂でもない。もう一度聞くぜ、あんた、誰だ?」


『…むふ。むふふ。』

『死神』は気味の悪い笑い声を発したかと思うと、自分の仮面に黒い手を伸ばした。

『僕が誰か、だってぇ?僕、最初に言ったよねぇ。僕が誰かなんてどうでもいい、ってぇ。あれ、半分は本当なんだけど、もう半分は……忘れたんだぁ。』

そう言って、『死神』は仮面を外した。

「何を言っ…て…。」

忘れたなどと、そんな馬鹿なことがあるはずがないと反論しようとしていた北村。しかし、『死神』の仮面の下を見た瞬間、言葉を失った。そこには虚無が広がっていた。何もない。そこには何もない闇の空間だけが広がっていたのだ。

『僕は誰?『トラベラー』だということは覚えてるんだけど、他は忘れた。だから、どうでもいい。僕は自分が誰かなんて、いらないんだ。誰でもいたくない。それを叶えてくれた人がいる。』

『死神』の仮面の下の虚無空間から声が響いてくる。先ほどの鼻をつまんだかのような不快な部分が消えて、普通の声として聞こえてくる。そこにまるで普通に口があって言葉は発せられているかのように思えるが、そこには何もない。口も咽喉も、何もない。ただ、見ているだけで不安と吐き気に襲われる、何もない空間があるだけ。

『僕は、『トラベラー』としてたくさんの世界を回った。いや、逃げていたというのが正しいかな。『トラベラー』は死ぬ。ただ一度、デュエルで負けるだけで死ぬ危険性がある。僕はとにかく他の強い『トラベラー』から逃げていた。逃げた先の世界から更に別の世界へ。逃げ回って辿り着いた世界が1000を超えた段階で、世界の数を数えるのを止めた。どれだけの数の世界を渡っても安全な場所なんてないって気が付いたから。例え百万の世界を渡っても逃げ切れる保障がどこにもないって気が付いたから。
でも、それだけたくさんの世界を回ったのも無駄じゃなかった。あの瞬間、そう思ったよ。僕が『白木翼の世界』に辿り着いてしまった、あの瞬間にね…!!』

「!??『白木翼の世界』…!?」

北村の脳裏に『憩いの湖の世界』に行った時のことが浮かんだ。あの世界で北村とデュエルをしたのはパルナという少女だったが、その近くにいたのは一体の龍と一人の少女。千花白龍と白木翼。

(あの、白木翼のこと、か…?)

混乱する北村を他所に『死神』は喋り続ける。

『その世界に白木翼はいなかったけれど、僕は『彼女』に力を分けてもらったんだ…!そして、僕は本当に誰でもなくなった!それがどういう意味か分かるかい!?北村君!?』

北村は困惑し、言葉が出なかった。

『ああ…。分からないかい…。まあ、いきなり言われても困るよね。誰でもないってことはさ、それはもう概念だ。つまり、神だ。』

「…は?」

『分かるかい?北村君。僕は神になったんだよ。この世界の誰でもない存在、それでいて今ここに存在しているという矛盾。その二つを融和させる結論は一つしかない。即ち、僕が新しい神だ!僕は『彼女』の無念を晴らし、その願いを叶える!僕は全ての世界において最強の決闘者となり、世界を一つに纏め上げるんだ!』

「あんたは…何を言っているんだ…?」

『分からないかい?今は分からなくてもいいよ。だって君は理解するんだ。このデュエルに負けた瞬間。』

「あ…?」

『約束したよね?『僕を思い出して』くれるって。五条も室井も倉橋も鵜堂も『僕を思い出して』くれたよ。』

「ああ…?」

北村は眉をしかめた。

『ほら、僕は神だ。僕の一部になるってことは僕を知っているってことだ。つまり僕を思い出すってことと同じだろう?』

北村は瞬間、背筋が凍った。『死神』のブニョブニョした黒い体から目の死んだ五条、室井、倉橋、鵜堂の首がニュルリと飛び出したのだ。

『北村君。僕を、『思い出そう』よ?ははは!あははは!』

『死神』の体から飛び出た首達はすぐに引っ込んだ。だが、北村の体から噴き出した汗は留まるところを知らなかった。

(何だ!?何だ、今のは…!?五条も室井も倉橋も鵜堂も、喰われたっていうのか!?『死神』に!!)

瞬間、北村は『トラベラー』大郷が言っていた言葉を思い出した。

――――――――――――――――――――

「――――“死神”からも逃げられるしな。」

――――――――――――――――――――

あの大郷が逃げなければならないと認識している相手、それが『死神』。この言葉を聞いた時には、同時に提案されていた同盟話の方にばかり気を取られていて完全に流していた。今から思えば、聞きなれないその単語について一言でも聞き返しておくべきだった。

北村は混乱しながらも自分がしなければならないことを本能で悟っていた。それは最後までデュエルを行うこと。

「おい…!逆に覚えてるだろうな?オレが勝った時の約束…!」

『え?北村君が勝ったら?ああ、一切関わらないんだったね。でも、今から負けるんだからどうでもいいよ!』

「勝手なこと言うな!まだ勝負は着いてねえ!」

北村は手札の魔法カードを掲げた。

「オレは昔とは違う!デッキも進化している!オレは最後の最後まで諦めねえ!貪欲な壺を、発動だ!」


貪欲な壺
通常魔法
(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。



「デッキに戻すのはフォーカス・フォース!ビッグ・アイ!ドボク・ザーク!チャリオッツ・飛車!ガイアドラグーン!」

北村が選択したモンスターは全てエクシーズモンスター。即ち、エクストラデッキに戻る。それの意味するところはデッキを増やさずにカードをドロー出来るということ。

「そして、2枚、ドロー!」

(デッキよ、応えてくれ…!来てくれ…!オレの…!)

北村が引いたのは2枚とも魔法カードだった。

「来たっ…!」

『っ…!!』

「行くぜ、『死神』!オレは奇跡召喚(ミラクルサモン)を発動!」


奇跡召喚(ミラクルサモン)
通常魔法(オリジナルカード)
融合モンスターカードまたはSモンスターカードまたはXモンスターカードによって決められた一組の素材モンスターを自分の手札と墓地から除外して発動する。その融合モンスターまたはSモンスターまたはXモンスターを融合召喚またはS召喚またはX召喚扱いで特殊召喚する。(融合モンスターの場合「融合」は必要としない。Xモンスターの場合、このカードの効果で除外したカードをX素材にする。)



『ははは!得意のエクシーズ召喚!?あははは!』

『死神』の伏せカードの1枚には昇天の黒角笛(ブラックホーン)があった。


昇天の黒角笛(ブラックホーン)
カウンター罠
相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。



(『さあ、召喚しろ!どんなモンスターでも…!』)

「おい…。何、勘違いしてやがんだ…!」

『へっ?』

「オレがいつエクシーズ召喚するって言ったよ!?」

(…カーチャ、あんたの切り札を使わせてもらうぜ…。オレに力を貸してくれ!)

「オレは手札のレベル3召喚師ライズベルトと墓地のレベル5魔装戦士 ヴァンドラに墓地のレベル3ジェネクス・コントローラーをチューニング!!!」

『!?』

『死神』は驚いた。北村の主力はエクシーズモンスターであり、それは今のデュエル中でも遺憾なく発揮されていた。しかし一方でチューナーの通常モンスターであるジェネクス・コントローラーが永遠の決闘(エターナル・デュエル)の効果で何体か登場していたことも忘れてはいけない。

しかし、『死神』の伏せカードの中に存在するのは昇天の黒角笛(ブラックホーン)。相手モンスター1体の特殊召喚を無効にする罠が既に仕掛けられていたのだ。

(『どんなモンスターを出そうとも無駄だよお!シンクロ召喚であってもエクシーズ召喚と同じく特殊召喚であることには変わりないんだからねえ!』)

「星を喰らいしドラゴンよ!異なる星々に導かれ、今一つとなれ!シンクロ召喚!星態龍!!!」

恒星よりも大きな龍が天空へと舞い上がる。そして、遥かな上空からフィールド全体を威嚇するように咆哮を放った。


星態龍
シンクロ・効果モンスター
星11/光属性/ドラゴン族/攻3200/守2800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードのS召喚は無効化されない。
(2):このカードのS召喚成功時には、魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。
(3):このカードは攻撃する場合、ダメージステップ終了時まで他のカードの効果を受けない。



『ははは!この…!瞬、間…。…は?星態龍?』

『死神』は気が付いた。星態龍のシンクロ召喚は無効化されない。即ち、昇天の黒角笛(ブラックホーン)は使えない。

『はは?』

『死神』の伏せカードは全部で5枚。その内、1枚は神の通告だった。そして、1枚は昇天の黒角笛(ブラックホーン)。残りは3枚。

「何か、発動するのか?罠か?それとも速攻魔法か?」

『…は、は。』

「発動しねえか。いや、発動出来ねえよなあ!星態龍のシンクロ召喚成功時には魔法も罠も使えねえ!そして、バトルフェイズでも他のカードの効果を受けねえ!」

『…はは…。ははは…。はあー!』

『死神』の残りの伏せカードは魔法の筒(マジック・シリンダー)、聖なるバリア -ミラーフォース-、次元幽閉の3枚。


魔法の筒(マジック・シリンダー)
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。



聖なるバリア -ミラーフォース-
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。



次元幽閉
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を選択して発動できる。選択した攻撃モンスターをゲームから除外する。



『死神』の伏せカードの中に、星態龍を止められるカードはなかった。

『だ、だが、僕のフィールドにはジャイアントキラーが守備表示で存在している!ダメージを与えることは出来ない!星態龍に貫通効果を持たせようとしても、自身の効果で受け付けない!やはり君は負ける運命にあるのだー!』

「…忘れたかよ。オレの手札がまだ1枚だけ残ってるのを。」

『!?』

「こいつは初期の頃のデュエルモンスターズの必須カード…。今じゃ、ささやかな効果なんで、あまり使われていないかもしれないがこういう場面じゃ重宝するぜ。『守備』封じを発動だ!」


『守備』封じ
通常魔法
相手フィールド上に守備表示で存在するモンスター1体を選択して表側攻撃表示にする。



『!!!』

「これであんたのジャイアントキラーを攻撃表示に変更だ!」

No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー 守2500→攻1500

『はうっ!ジャイアントキラーが…!』

「行くぜ…!星態龍の攻撃!!エンドスター・バーストぉぉぉおおおお!!!」

星をも飲み込む龍の放つブレスがフィールド上を焼き尽くす。ギミック・パペット-ジャイアントキラーは全身を炎に包まれて、踊り疲れたように崩れていった。

No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー(破壊)

『ぎょおえええええええ!!』

『死神』は吹き飛んだ。二度ほど地面に叩き付けられてはバウンドし、そのまま何メートルも転がった。

(勝った…。)

北村は勝利を確信していた。その声が聞こえるまで。


『くりくり~。』

「なっ!?」


クリボー
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
(1):相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。



『死神』は仮面を被り直した後、飛び跳ねて北村の前に戻ってきた。

『クリボーは機雷化するよぉ!これで僕が受ける戦闘ダメージは0だぁ!』

「ぐっ…。」

『さあ、これで正真正銘、打つ手がなくなったねぇ!?』

「オレは…これでターンエンド…。」

『ははは!あははは!僕の…!』

『死神』が自分のデッキの最後の1枚であるアフター・グローを引こうとした瞬間だった。

永遠の決闘(エターナル・デュエル)の効果により、オレはデッキから最後のライズベルトを特殊召喚!」

『あ…?』



9ターン目終了
北村賢治 LP100
手札:0枚
モンスター:星態龍(攻3200)、召喚師ライズベルト(守800)
ペンデュラムゾーン:召喚師ライズベルト(スケール2)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3(フィールド魔法)、凡骨の意地(永続魔法)

『死神』 LP1000
手札:2枚
モンスター:なし
魔法&罠:伏せカード×4




『死神』がカードをドローする。それは紛れもなくアフター・グローであった。


アフター・グロー
通常魔法
発動後、このカードをデッキに加えてシャッフルする。次の自分のドローフェイズ時の通常のドローをお互いに確認し、「アフター・グロー」だった場合、相手ライフに8000ポイントライフダメージを与える。



当然、効果により北村に8000のダメージが与えられる。

北村賢治 LP100→0

「ぐあああああああああ!!!」

だが、北村のフィールドには通常モンスターである召喚師ライズベルトが1体存在している。よって永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3の2.の効果が発動する。


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.ライフポイントが0になったプレイヤーのフィールド上に通常モンスターがいる場合、そのプレイヤーのフィールド上の通常モンスターを全て除外して敗北を無効にし、そのプレイヤーのライフポイントを除外したモンスターの数×100にする。
3.ターンプレイヤーはエンドフェイズ終了時にデッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚することができる。



召喚師ライズベルト(除外)
北村賢治 LP0→100

『死神』のフィールドには昇天の黒角笛(ブラックホーン)が伏せられていたが、召喚師ライズベルトは永遠の決闘(エターナル・デュエル)の効果によって特殊召喚されている。これは発動したカードの効果による特殊召喚に当たり、昇天の黒角笛(ブラックホーン)では無効化出来ない。

『あ、ああ…。』

「はあっ!はあっ…!」

アフター・グローで受けた衝撃も覚めやらぬ内に北村は立ち上がって『死神』を睨み付けた。

「足掻くぜ…!オレはどんな状況だろうが最後の最後まで足掻くぜ!それがオレの意地だ!どんなに強い相手でも、どんなに勝ち目のないデュエルでも、最後まで足掻いてやるぜ!決着が決まるまではぜってーに諦めねえ!それが、弱者の意地だ!」

『あひえええええ!!!』

『死神』は叫びながら体をくねらせる。

『残ったぁ!生き残ったぁ!あの状況からぁ!見事にぃ!ああ…!やっぱり北村君は太陽だぁ!どんなに地に落ちても再び登ってくる太陽だぁ!闇を照らし、世界に光をもたらす存在なんだぁ!』

『死神』は一通り蠢いた後、北村の方を向き直した。

『ああ…ここまでとは…。倉橋が言ってた通り、やっぱり北村君は強いなぁ…。ひひっ!その北村君を今から終わらせるよぉ。僕はネクロフェイスを攻撃表示で召喚だよぉ。』


ネクロフェイス
効果モンスター
星4/闇属性/アンデット族/攻1200/守1800
このカードが召喚に成功した時、ゲームから除外されているカード全てをデッキに戻してシャッフルする。このカードの攻撃力は、この効果でデッキに戻したカードの枚数×100ポイントアップする。
このカードがゲームから除外された時、お互いはデッキの上からカードを5枚ゲームから除外する。



『この効果でお互いの除外されているカードを全てデッキに戻してシャッフル!そして戻したカードの枚数×100ポイント、ネクロフェイスの攻撃力はアップするよぉ!除外されていたカードは合計35枚だよぉ!』

「!!攻撃力3500アップだと!?」

ネクロフェイス 攻1200→4700

気味の悪い顔が青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)をも上回る攻撃力を身に付けて星態龍の前に立ちはだかった。

『北村君、デュエリストはしぶとい時はとことんしぶとい。けれども負ける時はあっさり負けるんだよぉ。今度こそ、さようならぁ。ネクロフェイス、攻撃しろぉ!』

最早、北村に対抗手段はなかった。出来ることは全てやった。それでも『死神』が、それを上回った。

「うわあああああああああ!!!」

星態龍(破壊)

北村賢治 LP100→0


デュエルは決着した。『死神』の勝利で。



『…むふ。北村君、約束だよぉ。『僕を思い出そう』よぉ!』

『死神』は仮面を外し、迫ってくる。その虚無の穴は大きく広がり、何でも飲み込む口となって北村に迫る。もう駄目だと北村が目を瞑ったその時だった。北村のデッキの中の1枚のカードが光を放った。

『ああ!?それは!?』


天使の涙(エンジェル・ドロップ)
通常魔法(オリジナルカード)
???



『ひいぃ!』

『死神』は思わず後ずさった。

『な、何故!?何で!?何のために!?あああ…有り得ない!何で!?だって…!いや、違う、有り得ない!そんな馬鹿な!?』

「…!?」

北村は『死神』の様子がおかしいことに気が付いたが、その原因までは分からなかった。目を瞑っていたために何が起こったのか分からなかったのだ。

『死神』は虚無の顔から歯軋り一つ響かせた後、仮面を被り直した。

『…まあ、いいかぁ。北村君、僕のことは思い出さなくていいよぉ。でも、北村君はもうデュエルを楽しめないよねぇ。』

「っ!!」

『僕達『トラベラー』にとってデュエルは人殺しの道具だよぉ。それは厳然たる事実だよぉ。この因果を断ち切るためには北村君が最強の決闘者にならなくちゃいけないよぉ。全ての『トラベラー』を殺して、この『トラベラー』の因果を終わらせなくちゃいけないねぇ。そうしないと、『神様のデュエル』なんて出来ないよぉ。『トラベラー』である限り、デュエルを楽しんじゃいけないっていう因果も同時に背負っているんだよぉ。』

『死神』はそう言い終わると体を捻らせ始めた。

『北村君、安心してよぉ。君が何にもしなくても、僕が最強の決闘者になって『トラベラー』の因果も全部終わらせて上げるからぁ。一つに纏まった世界で、君は『神様のデュエル』が出来るはずだよぉ。』

捻って捻って、まるでバネのようになった時点で弾けて消えた。それは『死神』の世界を渡る時のポーズだった。『死神』が消えた後、すぐに白い世界が崩壊を始めた。世界から主が消えれば世界は崩壊する。幸いにも北村が一つの世界に留まれる時間の限界が来て、すぐに次の世界に旅立てた。ただ、崩壊する世界に気を取られていて、北村は自分の影のところに弾けた『死神』の黒い粒のいくつかが入り込むように集まったことには気が付いていなかった。

次の世界へと渡る北村の頭の中には先ほどの『死神』の言葉が呪いのようにこびりついて離れなかった。



―――――『トラベラー』である限り、デュエルを楽しむことなど出来ない―――――



(ふざけるなよ、『死神』…!何が安心しろだ!何が、何もしなくていいだ!あんたに叶えてもらえる『神様のデュエル』なんか、本当じゃない!あいつとのデュエルはオレ自身の手で叶えなきゃ意味ねえんだ!!
それに、あんたみたいなのに最強の決闘者の座を譲れるか…!強くなりたい…。強くなりたい…!強くなりたい!!!『死神』なんていう訳の分かんねえ相手にも勝てる力が欲しい!『トラベラー』の因果を超えて、あいつと『神様のデュエル』をするための力が欲しい!力!力!チカラ!オレはもっと強くならなきゃいけねえ!オレの願いを叶えるために!デュエルを心底楽しめるように!そのためには力が必要だ…!もっと、今よりもっと…!!)



ガギンッ。世界のどこかで何かの数値が上がる音がした。

永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.4
フィールド魔法(ワールドカード)
0.デュエル開始直前にデッキのこのカードを相手に見せることで、このカードを発動した状態でデュエルが始まる。この効果を使用した場合、自分はデッキ変更できず、このカードはフィールドを離れず、効果を無効にできない。このカードは他のフィールドカードと共存する。この効果を使用する場合、デッキの「勝利の証」をこのカードの下に置く。
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.ライフポイントが0になったプレイヤーのフィールド上に通常モンスターがいる場合、そのプレイヤーのフィールド上の通常モンスターを全て除外して敗北を無効にし、そのプレイヤーのライフポイントを除外したモンスターの数×100にする。
3.ターンプレイヤーはエンドフェイズ終了時にデッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚することができる。
4.???






2017.06.13 | コメント(4) | 未分類

コメント

死神様のデュエル

わるい白龍さんの本領が発揮されるダークな展開に大興奮!
大郷編に北村くんを登場させる相談で、“死神”の設定を聞けたのは僥倖でした。
こうして打ち合わせが実を結んで、そして予想以上の黒さにワクワク待ったなし!

カオナシを思わせるインパクトのある外見から、次々と出てくる死者たち。
新規の2人も個性的で外連味あふれていますが、室井、五条も活き活きしてます。

特に五条さん、登場時は雑魚以下だったのに、随分と楽しい人になられて・・・。
やられ役として魅力的というか、彼女のキャラが上手く掘り下げられている!
室井さんともども、違和感ないどころか私より上手いのではと。
ありがとうございます&嫉妬するしかないぜ!

北村くんも騙されてしまうほどの巧妙な死神。
本人でありながら本人でないことを利用してくるあたり、リジェネ鳳を思い出したり。
若干ラブな展開もあったけど、みんな目が死んでる~! 恐いよ!

デュエルがまた、実に上手いんですよね・・・。溢れ出るギミックの数々。
話術で引っかけるのもそうですが、それぞれの個性が出ていて飽きさせない。
北村くんの使うモンスターのバリエーションも地味にニヤリとさせられます。

死神のパワーが徐々に大きくなり、驚愕の《アフター・グロー》!
希望のカードを絶望の一撃に! これが死神のファンサービスなのかッ!
もう駄目だと思った瞬間、《永遠の決闘》の第3効果!
これまで何度も使っていたのに、思わず失念させられていました。

普通ここは北村くんの勝つ流れだろうと思いきや、おや、死神の様子が・・・?
今まで小物さ無様さが漂っていたのが、急激に強キャラ感が増したような。
“美食の宝札”は切り替えだけでなく、最後にこれをやる為に!

死神については色々と気になるところですね。正体だけでなく。
ただ邪悪なだけでなく、意味深な発言が幾つかありましたが・・・謎は多い。
しかし、悪いtravelerに目をつけられてしまった北村くんが心配すぎる!
人情派でありながら残酷方面も容赦ない白龍さんだけに、嫌な予感がする!

それでは、北村くんの無事を祈って(震え声

2017-06-13 火 01:36:12 | URL | アッキー [ 編集 ]

アッキーさんへ返信

どうも、わるい白龍です(笑)
ついに登場してしまった、北村君をそそのかす悪いトラベラー『死神』!以前に誰か(kunaiさんだったかな?)が、「北村君って悪いトラベラーに騙されて、利用されて殺されそう」みたいなことを言った時に『死神』の原型が出来ました。アッキーさんともこっそり打ち合わせをして、満を持しての登場です。
今までの死んだトラベラーをリサイクル!上手くキャラを掘り下げられたようで、よかったです。こちらこそありがとうございます!決闘(デュエル)の中には死神(まもの)が住むのー。頼れるトラベラー(仲間)は皆、目が死んでるー。
それぞれのトラベラーに個性を持たせるのに成功したことが、そのままデュエル展開でも様々な面白いカード群を出すことに繋がった感じです。そして、死神のファンサービスはアフター・グロー!アニメで見た時の胸熱展開が忘れられない…。それがこんな形で出てくるとは…。
そして、最後の最後で北村君の逆転劇ならず!少年漫画の主人公も数回は負けるアレですね。負けて得られるものがあるのか、それともこのまま闇堕ちルートを辿るのか…。実はもう99%出来てたりして。

不思議な不思議な生き物、死神。その正体は未だに謎に包まれています。というか、本人が他のトラベラーに見つからないように、上手く立ち回っているというべきか。
へへへ…人情派ですが、納得のいかないハッピーエンドより、納得のいくバッドエンドを選ぶ白龍が通りますよ。北村君の未来はどっちでしょうね…。

2017-06-14 水 23:21:30 | URL | 千花白龍 [ 編集 ]

不破「なんで五条だけ!?」

久々の北村君番外編!
大郷編でも登場していたので北村君自体はあまり久々な感じはしなかったり。

名前は出ていた謎のtraveler、『死神』!
これまた恐ろしいヤツが出てきたぜ!
次々と現れるtraveler達。
室井さんはまだしも、五条は思い出すのに少し時間がかかりました。
通常モンスターに対する風当たりが強い五条。
加賀さんとか高見沢とか上位陣にもバニラ使いはいるのに……。
五条は即死能力でなく悪魔族、室井さんはトラベルアクションでなくスタンダード。
死んだtravelerを取り込んだというより、ある時点でtravelerを複製している、と考える方がしっくりくる感じ。
死人使いとみると山代さんがいますが、毛色はだいぶ違いますし。

『死神』の中から出てきた新たなtravelerが二人も。
トゥーン使いで北村君にやさしい倉橋さん。いい人!
デュエルは人殺しの道具な侍の鵜堂さん。能力がすごい地味!
この二人はすでに死んでいるのか、それとも別に生きていて『死神』が複製を持っているのか。

北村君は鵜堂さんのターン辺りから、絶体絶命が連続で展開が読めない!
効果力なデスサイズ、続くファンサービスを防いだと思ったらアフター・グロー、容赦ない通告。
そこでまさかのシンクロ召喚、星態龍!華麗な逆転……とはならず、最後はネクロフェイスで殴られ敗北。
敗北するも一命を取り留め生還。
……すごい闇堕ちフラグ立ってる!

と、『死神』の得体の知れなさがとっても素敵でした。
北村君の今後がとても楽しみです。
ちゃんと田宮さんと会えるのはいつになるのでしょうか。

北村君が殺したtravelerについて少し触れようかと思っているのですが何か注意事項とか裏設定とかありますかね?
……もしや実は生きてたコイツが死神の正体だったり!

2017-06-17 土 23:19:29 | URL | オウカ [ 編集 ]

オウカさんへ返信

五条「女子高生の方がウケがいいからじゃね?」
不破「ちくしょう!」

という訳で久々の北村君中心の話!他の話でも登場してるし、色々とひっぱりダコ状態かも。嬉しい限りです。

トラベラー40人が段々と数を減らしていく中、暗躍していたヤバそうなのが闇の中からご登場。
五条さんはカマセ犬からの瞬殺されるコースまっしぐらでしたからね…。
多分、五条さんは上位陣が通常モンスターを使ってるのを見て、「なめプかよ!馬鹿にしやがって!」とか思ってそうな気がします。自身も下位トラベラー(本人に自覚があるかどうかは不明)ではありますが、通常モンスターとかを使ってる他の下位トラベラーよりかは上だと思っている感じ。
『取り込まれて』いるトラベラーが使ってくる戦術は何故か最新のものではない様子。この辺りは追々解き明かしていこうと思いますが、今は詳細不明ということで。複製なのか、それとも…。ふふふ…。

倉橋さんは、いい人!今回の小説の唯一の清涼剤な気がします。鵜堂さんは逆に北村君をこれでもかと追い込むヒールな役回り。果たして、二人の安否は…?
トラベラーは別世界を移動しまくっているので、例え生きていても確かめる手段が乏しいから『死神』の能力詳細も中々暴けない。その情報量の少なさを『死神』は上手く利用して立ち回っています。しかし、複製にしろそうでないにしろ、『死神』がトラベラーを『取り込む』には何かしらの条件があるはず。それが分かれば『死神』のパワーアップを防げるかも?

『死神』も鵜堂さんモードから一気に決着をつけに来ましたが、北村君が耐えるのなんのって。しかし、そのために手札もフィールドのカードも使い切って、ネクロフェイスの攻撃を通してしまいました。北村君、残念!
…そう、闇堕ちフラグです!少年漫画の主人公は闇堕ちするもの!次回、闇村君登場か!?
まあ、北村君が田宮さんに会えるのはそんなに遠くないと思います。田宮さんと会わすまでは絶対に死なさないと決めていたので。え?死亡フラグ?

北村君が殺したトラベラーについてですが、ほとんど何も考えてません(笑)
多分下位トラベラーで、実力は当時の北村君よりちょっとだけ上な男、北村と北村の使う通常モンスターを馬鹿にしたけれども、その心の奥底にはいつでも前向きにデュエルが出来る北村に対する嫉妬があった。私が考えているのは、それぐらいですね。
実はそのトラベラーは死んでいなくて『死神』の偽装工作だった案を思いついたんですけど、北村君にはちゃんと咎を背負ってもらおうということで没にしました。しかし、北村が殺したと思っていたそいつが生きていて『死神』だった案も面白い!実は『死神』は、『死神』になってから早々に北村君に目を付けていましたので。今回、北村君に言ったことの中に一つだけ嘘も混じっていますし。
まあ、名前も何も決めてはいないのですが、もう死んでいることだけは確かなトラベラーです。いい感じに(好きな感じに)書いてくださればと思います。

2017-06-18 日 23:19:38 | URL | 千花白龍 [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

FC2Ad