トラベラー北村の挑戦 VSカーチャ

とある世界の話だ。そこには紋白町という町があり、そこでは人間とそれ以外が共存しているという噂があった。

その紋白町の一角には『ケット・シー』という猫カフェがあり、この話はその猫カフェの前に一人の少年が現れるところから始まる…。





「あった、猫カフェ『ケット・シー』…!ここに奴がいるはずだ…。」

鋭く尖った髪の毛を武者震いで振るわせた10代の少年。彼の名前は北村 賢治(きたむら けんじ)。トラベラーという特殊な人間だ。彼はある目的があって紋白町の猫カフェを訪れた。扉にはクローズの文字が書かれた小さな看板があったが、彼はそれを無視して開けた。

からんからんと鐘の音が響き渡った。

『お帰りなさいませ、店長――――って?あんた、誰だしぃ?』



彼を出迎えたのは頭に本物と見間違うぐらい精巧に出来ていると思われる猫の耳のアクセサリーを付けたメイド服の女性。クローズの看板も掛かっているので入ってきたのは店の関係者だと思い込んでいた彼女は見知らぬ少年、北村に対して純粋な疑問をぶつけてきた。

「猫耳のメイドさん…間違いねえ、あんたがカーチャだな。オレは北村 賢治(きたむら けんじ)。頼む、このデッキでオレとデュエルしてくれ!」
北村は自分の名前を名乗りつつ、単刀直入にここに来た目的を言った。即ち、デュエルを行うこと。

北村の言葉を聞いて、メイド服の女性カーチャはポカンとしていた。突然現れた正体不明の少年が何かを手渡したかと思ったら突然に頼みごとをしてくるのだから。少年の態度からは冷やかしや冗談という感じは伝わってこない。本気で、必死であることは言葉からも態度からも伝わってくる。それを無下にあしらうような性格であれば彼女は接客業であるカフェの店員をしていないだろう。

しかし、問題が一つあった。非常に大きな問題が。

『…で、デュエルって何だしぃ?』
カーチャは首を傾げながらそう言った。


「…え?」

北村は固まった。デュエルのルールが違うとか、禁止カードがどうとか、そういうレベルの話ではない。根本的にカーチャはデュエルモンスターズを知らなかった。この返答は北村にとって想定外だった。

「まさか…この世界にはデュエルモンスターズが存在しないのか…!?」

『デュエルモンスターズ?う~ん、聞いたことないしぃ…。』

驚愕する北村とバツが悪そうに頭を掻くカーチャ。その場の空気は完全に停滞してしまった。



「そうです、存在しません。」



その空気を打ち破ったのは一人の少女の声だった。

「!!」
突然の少女の声に北村は驚いた。この空間には目の前のカーチャと自分自身しかいないはずである。辺りを見渡しても人は見当たらない。壁にあるのは猫の絵などの絵画や猫が乗って遊べる棚、ソファーとカーペットには猫の遊び道具らしき巨大な斑の毛玉と黒の毛玉が一つずつ、天井には豪華なシャンデリア、部屋の隅には植木鉢、どこにも人がいるはずがない。

「この世界はデュエルモンスターズが存在しなかった世界なのです。」


「ど、どこだ!?姿を見せろ!」
慌てふためく北村。

「ふふふ、北村賢治さん。私はここです。」


そんな彼を挑発するかのように声が響く。そして―――――!

「なっ!毛玉が…!動いて…!!」
何とソファーの上にあった毛玉は何十匹という猫が集まって構成されていたのだ!声はその猫達の下から聞こえる。つまり、気持ち良さそうにゆったりしている猫達の下に少女が埋もれているということだ。
「数多の猫に覆いかぶさられている…だと!?」

「いいえ、猫の体調を整えているのです。『触れた猫を回復させる』、それが私の能力ですから。」

「な、何者だ!?名を名乗れ!」
北村は動揺して、上ずった声で叫ぶ。

それに対し余裕を感じさせるような、ゆったりとした少女の声が返ってくる。
「我が名は猫魔神(ねこまじん)。世界中の猫をこよなく愛する者です。」

猫の下敷きになっているために全く起き上がれないにも関わらず、僅かに見える口元はドヤ顔の一部で間違いなかった。

『キャー!猫魔神様ー!素敵ー!サイコー!』
戸惑う北村を他所に、カーチャはテンション上げ上げ状態へと突入していた。



『やれやれ、つばちゃまの悪ふざけがまた始まったニャ…。』

「なっ!?」
今度はカーペットの上の黒い毛玉が蠢いた。それは巨大な猫が丸まった姿だったのだ。
「こっちの毛玉も猫、だと!?しかもデカい!そして喋ってやがる!?」

先ほどの猫の下敷きになっている少女よりも、喋る猫の方が奇怪な現象であることは説明するまでもないだろう。

『こら、ニャン太。猫魔神様の御前なるぞ?』

『ははぁ、それは失礼しました…ってカーチャ!何言わすニャ!おみゃあまで悪ノリするニャ!それに誰がニャン太ニャ!我輩は―――!』

『は(↑)い(↓)は~(↑)い(↓)、ニャン太には猫ジャラシの刑だしぃ。』
カーチャはメイド服の隙間から素早く猫ジャラシを取り出すと、慣れた手付きで動かす。

『にゃにゃにゃにゃニャ~!』

巨大な黒猫はカーチャと遊び始め、北村は完全に置いてけぼりを食らってしまった。



(おかしい…オレはトラベラー。この世界の人物関係も把握している…。だが、カーチャの知り合いに猫魔神なんていう奴はいない!どういうことだ…!?)

「混乱しているようですね、北村賢治さん。」
頭を抱えている北村に向かって、猫の下から少女の声が飛んでくる。客観的には少女はかなりカッコ悪い状態だと思われる。

「あんたは…一体何者なんだ!?どうしてオレの名前を知っているんだ!?」
北村は混乱する頭をフル回転させて質問を投げかけた。

それに対して少女は相変わらず余裕の返答。
「ふふふ、私には分かるのです。あなたの名前も、あなた自身のことも。」

「馬鹿な!?オレがトラベラーだということも知っているのか!?」
北村は思わず叫んでしまった。

「そうです。そして、私の知り合いにはトラベラーではないけれどもトラベラーと似た能力を持った人がいるのです。」

「平行世界を渡る能力、か…!」

「ご名答。流石ですね。トラベラーは飲み込みが早い。」

「何故だ…!オレはトラベラー!世界を知り、世界を渡る者だ!オレが渡る先の世界で知らない重要人物などいない!」

「それはどうでしょうか?」
またしても猫の下の口元が笑みを作る。

「何っ!?」

「どんな能力も万能ではありません。例えば、あなたは十五年前の今の時間の天気を知っていますか?」

「し、知らねえ…!」

「そうでしょう。つまりトラベラーの能力も万能ではない。だから、あなたが私を知らなくても何の不思議もないのです。」

「なるほど…って、待った!」
ここで北村はたった今生まれた一つの疑問をぶつけた。
「じゃあ、何であんたはオレを知っているんだ!たった今この世界に来たばかりのオレのことを!」

「ふふふ、忘れましたか?私は猫魔神。つまりは神様なのです。神様と言えば『全知』という能力が備わっている、と思いませんか。」

「まさか…!この世界の全てを知る、いや、知っているということなのか…!?」

「いかにも。あなたがこの世界に来た瞬間からあなたもまたこの世界の一員。よって定義系能力の『全知』により、私の知るところとなったのです。」

「なん…だと…!!」

「そして、あなたの目的はカーチャさんと戦うこと。違いますか?」

「あ、当たってる…!その通りだ…。」

「そして、その方法はデュエルモンスターズによるデュエル。そうですね?」

「そ、その通りだ…。馬鹿な…!本当に『全知』だ、こいつ…!猫に埋もれて、全然神様っぽくないのに!」

「それはさておき先ほども言った通り、この世界はデュエルモンスターズがなかった世界。つまりデュエルは出来ない。先ほどまでは。」

「そんな…。デュエルが出来ないだなんて…。」
北村は肩を落として、その場にへたり込んだ。しかし、次の瞬間、顔を上げた。
「ん…?先ほどまでは…?」

「流石はトラベラー北村さん。そこに気が付きましたね。そうです、つい先ほどまでこの世界にはデュエルモンスターズは存在しなかった。しかし今は違います。」

「そうか!オレの頭の中にデュエルモンスターズが!」

「その通りです。そして、『全知』により私もデュエルモンスターズの知識を得ました。そして猫魔神としての能力は『全知』だけではありません。得た知識の一部を猫達に共有する力を持っているのです。」

「そうか!カーチャの正体は猫の妖怪!猫に属するんだ!」

「ふふふ、理解が早くて助かります。つまり、この世界でもあなたはカーチャさんと問題なくデュエル出来るのです。」

「ありがとう!流石は猫魔神様だぜ!」



「…とまあ、悪ふざけはこれくらいにして、と。」

「え?」

「シールド展開完了。情報制御完了。これでこの戦いで誰も死にませんし、情報が漏れることもありません。済みませんね、北村さん。あなたがトラベラー能力でカーチャさんの正体を知っているけれども、それを悪用しようなどと微塵も思っていないことは分かるのですが、この社会で生きる以上カーチャさんの正体は易々とバラせないのです。なので安全確保のための時間稼ぎに付き合ってもらいました。ちなみに私が言ったことは全て嘘となります。ではカーチャさん、デュエルしてあげてください。」

『了解です、猫魔神様!』
カーチャは猫ジャラシをポイ捨てすると北村が持ってきたデュエルディスクを装着した。

『カーチャ、その設定まだ続けるのかニャ?』
そんなことを言いながら、黒い大きな猫はポイ捨てされた猫ジャラシと戯れている。

『いらっしゃいませ、北村様。あなたに癒しをお届けする憩いの場、猫カフェ『ケット・シー』へ。そしてぇ、ここが地獄の一丁目だしぃ!あたいに勝負事を挑む人間がまだいるなんて、楽しぃ!』

カーチャは慣れた手つきでデュエルディスクを展開した。

『さあ、北村!決闘の始まりだしぃ!』

「お、おうよ!」
北村は突然攻撃的になったカーチャにビビリつつもデッキ内のあのカードを取り出した。
「デュ、デュエル開始前にデッキのワールドカードの効果発動!」


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2
フィールド魔法(ワールドカード)
0.デュエル開始直前にデッキのこのカードを相手に見せることで、このカードを発動した状態でデュエルが始まる。この効果を使用した場合、自分はデッキ変更できず、このカードはフィールドを離れず、効果を無効にできない。このカードは他のフィールドカードと共存する。この効果を使用する場合、デッキの「勝利の証」をこのカードの下に置く。
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.???



「デッキに一枚しか入れることの出来ない『勝利の証』に重ねて、このカードを発動!」


勝利の証
通常魔法(オリジナルカード)
手札、デッキにあるこのカードを相手プレイヤーに見せることで自分はデュエルに勝利する。このカードはデッキに1枚しか入れることが出来ない。



カーチャ&北村『「デュエル!」』

カーチャ『猫かぶり』 デッキ LP4000
北村賢治『弱虫の意地』デッキ LP4000





(大丈夫だ…。デッキを確認した時に新しいカードが入っていただろう…?オレのデッキは世界を渡るたびに少しずつパワーアップしているんだ…!)

「オレのターン!」
北村はドローをせずに手札を見た。これはマスタールール3、先行はドロー出来ない。(たった今、決まった。)

(よし、いい手札だ。)
北村は心の中でニヤリと笑った。
「オレは凡骨の意地を発動!」


凡骨の意地
永続魔法
ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。



「更にスケール3の竜角の狩猟者とスケール8の竜穴の魔術師でペンデュラムスケールをセッティング!」


竜角の狩猟者
ペンデュラム・通常モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2300/守1000
【Pスケール:青3/赤3】
(1):フィールドの通常モンスターの攻撃力は200アップし、自分の通常モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
【モンスター情報】
疫病に苦しむ故郷の村を救うため、霊薬の原料となるドラゴンの角を乱獲する女戦士。その村はすでに、棲み処を追われたドラゴンたちによって踏み荒らされ、焼き尽くされてしまった事を、彼女はまだ知らない・・・。



竜穴の魔術師
ペンデュラム・通常モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 900/守2700
【Pスケール:青8/赤8】
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
【モンスター情報】
若くして竜の魂を呼び覚ます神通力を体得した天才魔術師。その寡黙でストイックな魔術への姿勢から人付き合いは苦手だが、弟子の「竜脈の魔術師」にいつも振り回され、調子を狂わされている。



北村はいつもの凡骨ペンデュラムの体勢を整えた。
『憩いの湖の世界』で手に入るオリジナルカードは、デッキに入れるだけで持ち主の引きの良さを少し上げるというテキスト外効果があることは意外と知られていない。

「ペンデュラム召喚!世界の片隅から這い上がれ!ジャッジ・マン!そして、もう一体の竜角の狩猟者!」


ジャッジ・マン
通常モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2200/守1500
勝ち負けのない勝負が嫌いな戦士。こん棒の攻撃は強いぞ!



竜角の狩猟者
ペンデュラム・通常モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2300/守1000
【Pスケール:青3/赤3】
(1):フィールドの通常モンスターの攻撃力は200アップし、自分の通常モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
【モンスター情報】
疫病に苦しむ故郷の村を救うため、霊薬の原料となるドラゴンの角を乱獲する女戦士。その村はすでに、棲み処を追われたドラゴンたちによって踏み荒らされ、焼き尽くされてしまった事を、彼女はまだ知らない・・・。



「ペンデュラムゾーンの竜角の狩猟者の効果で通常モンスターの攻撃力をアップ!」

ジャッジ・マン 攻2200→2400
竜角の狩猟者 攻2300→2500

(エクシーズ出来るが…どうする?慌てるな、オレ。出来る事を全てやることが必ずしも正解とは限らない。賢治とのデュエルで学んだはずだ。様子見も兼ねて、あえて二体残すことで相手の攻撃の手を緩められるかもしれない…。)

「これでオレはターンエンドだ。」



1ターン目終了
北村賢治 LP4000
手札:0枚
モンスター:ジャッジ・マン(攻2400)、竜角の狩猟者(攻2500)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2、凡骨の意地(永続魔法)

カーチャ LP4000
手札:5枚
モンスター:なし
魔法&罠:なし




『あたいのターン、ドローだしぃ。』
カーチャは獣の目付きで手札を一瞥すると、一枚のカードを掴んだ。
『あたいはレスキューキャットを通常召喚。』


レスキューキャット
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体をフィールド上に特殊召喚する。この方法で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。



『そして効果発動だしぃ。』

フィールドに現れたかと思うとすぐに消えてしまった猫。しかし、その猫がデッキから呼び寄せたのは…。


ゼンマイニャンコ
効果モンスター
星2/地属性/獣族/攻 800/守 500
自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。



ゼンマイニャンコ
効果モンスター
星2/地属性/獣族/攻 800/守 500
自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。



「ゼンマイニャンコが二体…!」

『このぉ~、ちょーかわE(いー)ニャンコ達の効果発動!あんたのモンスター二体とも手札に戻れだしぃ!』

「くっ!」

北村のフィールドからモンスターが消え失せた。

『バトル!ゼンマイニャンコ二体でダイレクトアタック!戦慄の猫々(にゃんにゃん)乱れ引っかき!!』

二体のニャンコが直接、北村を引っかきまくった。これは痛い!

「ぐあー!」

北村賢治 LP4000→3200→2400

『エンドフェイズに破壊される?知らないしぃ!二体のニャンコでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!出でよ!キャット・シャーク!』

二体のゼンマイニャンコは光の渦に飲み込まれる。そこから出て来たのは鮫と猫が程よく良い感じに入り混じった、猫なのか鮫なのかよく分からない可愛い生き物だった。


キャット・シャーク
エクシーズ・効果モンスター
ランク2/水属性/獣族/攻 500/守 500
レベル2モンスター×2
(1):このカードが水属性モンスターをX素材として持っている場合、このカードは戦闘では破壊されない。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分フィールドのランク4以下のXモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力をターン終了時まで元々の数値の倍にする。この効果は相手ターンでも発動できる。



『かわE(いー)!やっぱりキャットは最高だしぃ!てことで、カードを二枚伏せてターンエンドだしぃ。』



2ターン目終了
北村賢治 LP2400
手札:2枚(ジャッジ・マン、竜角の狩猟者)
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2、凡骨の意地(永続魔法)

カーチャ LP4000
手札:3枚
モンスター:キャット・シャーク(守500)
魔法&罠:伏せカード×2




「オレのターン、ドロー!」

北村は反撃の一枚をデッキから引き抜いた。

「オレが引いたのは竜穴の魔術師、通常モンスターだ!よって凡骨の意地の効果で二枚目ドロー!引いたのはガーネシア・エレファンティス!」


ガーネシア・エレファンティス
通常モンスター
星7/地属性/獣戦士族/攻2400/守2000
恐るべきパワーの持ち主。あまりの体重の重さに、歩くたびに地割れが起きてしまう。



「三枚目、ドロー!エメラルド・ドラゴンだ!」


エメラルド・ドラゴン
通常モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1400
エメラルドを喰らうドラゴン。その美しい姿にひかれて命を落とす者は後を絶たない。



「四枚目…!」

次に北村が引いたのは二枚目の凡骨の意地であった。

「オレは凡骨の意地の効果を終了する。そして、お待ちかねのペンデュラム召喚だ!世界の表舞台へ這い出でよ!ジャッジ・マン!竜角の狩猟者!竜穴の魔術師!ガーネシア・エレファンティス!エメラルド・ドラゴン!」

北村のフィールドに先ほど手札に戻った二体を含めた五体のモンスターが一気に並び立った。

ジャッジ・マン 攻2200→2400
竜角の狩猟者 攻2300→2500
竜穴の魔術師 攻 900→1100
ガーネシア・エレファンティス 攻2400→2600
エメラルド・ドラゴン 攻2400→2600

(この総攻撃が通ればオレの勝ちだ…!だが、伏せカードが気になるな…。ここは、新しくエクストラデッキに加わったこいつで行くか…。)

「オレはレベル6のジャッジ・マンとエメラルド・ドラゴンでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来い、No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車!」

将棋の駒の一つである飛車と棘々の輪っかを組み合わせた武器を持つモンスターが現れた。


No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/地属性/獣戦士族/攻2500/守1200
レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体と相手フィールド上にセットされた魔法・罠カード1枚を選択して発動できる。選択したカードを破壊する。この効果を発動したターン、相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。



「チャリオッツ・飛車のモンスター効果発動!オーバーレイユニットを二つ取り除き、あんたのキャット・シャークとあんたから見て右の伏せカードを破壊する!ローリング・クラッシュ!!」

チャリオッツ・飛車は戦車の如くフィールドを駆け巡り、キャット・シャークと伏せカードを粉砕した。

キャット・シャーク(破壊)
伏せカード(聖なるバリア -ミラーフォース-)(破壊)


聖なるバリア -ミラーフォース-
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。



『ちっ!!』
カーチャの凄い舌打ち。キャット・シャークを破壊されたことが逆鱗に触れたようだ。

(怖~。だが、こんなところで怯んでられっか!)
「そしてモンスターで総攻撃!チャリオッツの効果で与える戦闘ダメージは半分となり、更に半分になっても1000ポイントを超えている場合は永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2の効果で1000となるけどな!」


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.???



北村のモンスター達の総攻撃!

『にゃああああああ!!!』

カーチャ LP4000→3000→2000→1450→450

その攻撃は凄まじく、あっという間にカーチャのライフポイントは四桁から三桁にまで減少した。

(削りきれなかった…。)
「オレはこれでターンエンドだ。」



3ターン目終了
北村賢治 LP2400
手札:1枚(凡骨の意地)
モンスター:No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車(攻2500)、竜角の狩猟者(攻2500)、竜穴の魔術師(攻1100)、ガーネシア・エレファンティス(攻2600)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2、凡骨の意地(永続魔法)

カーチャ LP450
手札:3枚
モンスター:なし
魔法&罠:伏せカード×1




『やったな?』
ギョロリ、とカーチャの目玉が蠢いた。

(超怖ー!カーチャは見た目こそ人間っぽいけど、それは世を忍ぶ仮の姿…。本来は火車っていうめちゃくちゃ強い妖怪らしい…。何気に猫耳も見えてるし…。)

『ね~(↑)こ~(↓)魔神様~(↑)?もう猫かぶり、止めますね~?』

「あ、どうぞ。」
少女は相変わらず物理的に猫をかぶっていた。

(え?カーチャは今まで猫をかぶっていたか?)

北村の疑問を他所に、カーチャはデッキに手をかける。

『あたいのターン…。ドロゥ。さあ――――。』

カーチャは口元を引きつるぐらいに引き上げて、不気味に笑った。

『ここからは地獄の二丁目よぉ!まずは死者蘇生を発動し、レスキューキャットを蘇生!効果発動で自身を墓地に送ってデッキから魔轟神獣キャシーとゼンマイニャンコを呼び寄せる!ゼンマイニャンコでガーネシア・エレファンティスをバウンス!』

「くっ!」
北村はエレファンティスを手札に戻しつつ、キャッシーに視線を向けた。
(ん?待てよ…。キャッシーは確か…チューナーだ!)


魔轟神獣キャシー
チューナー(効果モンスター)
星1/光属性/獣族/攻 800/守 600
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。



『更に魔轟神獣キャシーとゼンマイニャンコでたつのこをシンクロ召喚!』


たつのこ
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星3/水属性/幻竜族/攻1700/守 500
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
S召喚したこのカードを素材としてS召喚をする場合、手札のモンスター1体もS素材にできる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはこのカード以外のモンスターの効果を受けない。



『そのたつのこの効果で手札のマジキャットとシンクロ召喚!来るニャアア!地獄よりの使者!TGハイパー・ライブラリアン!』


TGハイパー・ライブラリアン
シンクロ・効果モンスター
星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードがフィールドに存在し、自分または相手が、このカード以外のSモンスターのS召喚に成功した場合に発動する。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、自分はデッキから1枚ドローする。



「ハイパー・ライブラリアンをシンクロ召喚したことでマジキャットの効果発動!死者蘇生をデッキトップへ!」


マジキャット
効果モンスター
星2/光属性/魔法使い族/攻 600/守 500
このカードが魔法使い族モンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、自分の墓地に存在する魔法カード1枚をデッキの一番上に戻す事ができる。



(ヤバい…。何か、非常にヤバい!!)

北村はヒシヒシと恐怖を感じていた。何が起こっているのか分かるのに感じる言い知れぬ恐怖。フィールドで起こっていることは分かる。一つ一つのカードの効果は北村もよく知っている。しかし、それらが繋がり、次から次へと次のカードを呼び、全く途切れることがない。この連鎖の果てに何が来るのか予測出来ない。最終的にはえげつないモンスターが登場するか、えげつない状況が完成するか。
本能が警告する。このままでは危険だ、と。しかし、北村はこの状況を見守ることしか出来なかった。

『伏せていたトラップ、リビングデッドの呼び声でレスキューキャットを蘇生!そのまま墓地へ送って効果発動!デッキから魔轟神獣キャシーとネコマネキングを呼び出し、フォーミュラ・シンクロンをシンクロ召喚して二枚ドロー!更に手札からレスキューキャットを通常召喚し、効果発動!このカードを墓地へ送ってネコマネキングを二体呼び出す!そして、フォーミュラ・シンクロンとネコマネキングでシンクロ召喚!二体目のたつのこ召喚で一枚ドロー!そのたつのことネコマネキングで水晶機巧-クオンダムをシンクロ召喚!一枚ドロー!』

(一体、何が来る…!?何が起こる!?)

『そしてえ!水晶機巧-クオンダムとTGハイパー・ライブラリアンでシンクロ召喚!来るニャアアアア!世界の有象無象を閉じ込めよ!水晶機巧-フェニキシオン!!』

星々が連なり、眩しいほどに光り輝く。その光の果てから全身真っ赤な機械仕掛けのロボット戦士が現れた。


水晶機巧-フェニキシオン
シンクロ・効果モンスター
星9/水属性/機械族/攻2800/守2000
Sモンスターのチューナー+チューナー以外のSモンスター1体以上
(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。相手のフィールド・墓地の魔法・罠カードを全て除外する。
(2):S召喚したこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、このカード以外の自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。



「げー!フェニキシオン!」

『水晶機巧-フェニキシオンの効果発動!このカードがS召喚に成功した時、相手フィールド・墓地の魔法・罠カードを全て除外するニャア!』

凡骨の意地(除外)
竜角の狩猟者(魔法カード状態)(除外)
竜穴の魔術師(魔法カード状態)(除外)

(ヤベえ!凡骨の意地とペンデュラムカードが両方やられた!永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2はフィールドを離れないから持ちこたえてくれたが…。)

『マジック・プランターを発動し、リビングデッドをコストに二枚ドロー!そして、カードを四枚伏せるニャ!』

(うわあ…!ヤベえ…!!)

『バトル!フェニキシオンでチャリオッツ・飛車を攻撃!』

「があああああ!!」

No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車(破壊)

北村賢治 LP2400→2100

『あたいはこれでターンエンドだニャ。』

カーチャは妖怪のような不気味な笑みを浮かべながらターンを終了した。カーチャのフィールドに伏せられた四枚のカードもまた『死』という言葉を連想すると共に、何が伏せられているのか分からない不気味さを醸し出していた。



4ターン目終了
北村賢治 LP2100
手札:2枚(凡骨の意地、ガーネシア・エレファンティス)
モンスター:竜角の狩猟者(攻2500)、竜穴の魔術師(攻1100)
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2

カーチャ LP450
手札:2枚
モンスター:水晶機巧-フェニキシオン(攻2800)
魔法&罠:伏せカード×4




「オレのターン!」
北村は臆する自分を奮い立たせ、デッキに手を掛けた。
「ドロー!」

(来たのは…ファイヤー・ウイング・ペガサスか…。)


ファイヤー・ウイング・ペガサス
通常モンスター
星6/炎属性/獣族/攻2250/守1800
色鮮やかな真紅の翼をはばたかせ、天を駆け抜ける天馬。



「オレは手札から凡骨の意地を発動!」
(これで次からまた一気に引ける…。だが、そのために次のターンを生き延びなきゃならねえ!)

「そして、竜穴の魔術師をリリースしてファイヤー・ウイング・ペガサスをアドバンス召喚!」

カーチャはその様子をジッと見ていた。
(『なるほどニャ…レベルを揃えてきたか…。ついでに竜穴の魔術師はエクストラデッキ行き…。』)

「そして、同じレベル6である竜角の狩猟者と合わせてオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ!ソードブレイカー!」

数多の剣を携えし剣士が光の渦の中から飛び出した。


ソードブレイカー
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/地属性/戦士族/攻2700/守1000
レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、種族を1つ宣言して発動できる。このカードが、宣言した種族のモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。



「オーバーレイユニットを一つ使い、効果発動!宣言する種族は…機械族!」

(これで攻撃力が上とはいえども、機械族のフェニキシオンを破壊出来る。だがフェニキシオンは倒されれば墓地からモンスターを呼んでこれる…。しかも、カーチャのフィールドには…。)

カーチャのフィールドには四枚の伏せカード。中にブラフが混じっている可能性もあるが、これだけ数が多いとそうも言っていられない。

(この前の賢治との戦いでオネストを警戒したからこそ、戦闘でオネストが出て来ることがなかった。だったら今度のこの場面も同じだ。単純に突っ込むだけが能じゃない。次のターンになれば凡骨の意地でまたドロー出来る。慌てるな、勇気と無謀は違う。まだその時じゃねえ。効果が発動した今、ソードブレイカーがフェニキシオンに倒されることはない…。)

「オレは、これでターンエンドだ。」



5ターン目終了
北村賢治 LP2100
手札:1枚(ガーネシア・エレファンティス)
モンスター:ソードブレイカー(攻2700)
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2、凡骨の意地(永続魔法)
エクストラデッキ:竜穴の魔術師(表)+(?枚)

カーチャ LP450
手札:2枚
モンスター:水晶機巧-フェニキシオン(攻2800)
魔法&罠:伏せカード×4




『ニャアア…あたいのターン。あたいのドロー。』

カーチャは引いたカードを一瞥してから、北村をギョロリと睨んだ。

『何か…手加減してる?』

「えっ?」

それは北村にとって意外過ぎる一言だった。

『手加減が違うなら、遠慮?出し惜しみ?躊躇?様子を見てるっていう感じかニャア…?』

(様子見!?オレが!?何の話をして…!?)
心の中で反発の言葉が湧き上がる北村の脳裏に、先ほどのシーンが走馬灯のように浮かんだ。


――――――――――
(エクシーズ出来るが…どうする?慌てるな、オレ。出来る事を全てやることが必ずしも正解とは限らない。賢治とのデュエルで学んだはずだ。様子見も兼ねて、あえて二体残すことで相手の攻撃の手を緩められるかもしれない…。)

(この前の賢治との戦いでオネストを警戒したからこそ、戦闘でオネストが出て来ることがなかった。だったら今度のこの場面も同じだ。単純に突っ込むだけが能じゃない。次のターンになれば凡骨の意地でまたドロー出来る。慌てるな、勇気と無謀は違う。まだその時じゃねえ。効果が発動した今、ソードブレイカーがフェニキシオンに倒されることはない…。)
――――――――――


(オレが…。出し惜しみ…躊躇…。)

『別にさあ、勇気と無謀は違うから、それがお前のバトルスタイルならいいよ。でも、慎重と臆病も違う。ずうっと抑え目に戦って、それで勝てる相手だと思われているなら…心外だ!』

カーチャは伏せていたカードの一枚を開いた。

『トラップカード、リビングデットの呼び声を発動だニャア!レスキューキャットを蘇生し、効果発動!デッキから魔轟神獣キャシーとキャッツ・フェアリーを特殊召喚!更に!手札から月光蒼猫(ムーンライト・ブルー・キャット)を通常召喚!』


キャッツ・フェアリー
通常モンスター
星3/地属性/獣族/攻1100/守 900
ネコの妖精。愛らしい姿とはうらはらに、素早く敵をひっかく。



月光蒼猫(ムーンライト・ブルー・キャット)
効果モンスター
星4/闇属性/獣戦士族/攻1600/守1200
「月光蒼猫」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、「月光蒼猫」以外の自分フィールドの「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで元々の攻撃力の倍になる。
(2):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「ムーンライト」モンスター1体を特殊召喚する。



(またシンクロモンスターが出るのか!?)

『あたいはレベル3のキャッツ・フェアリーとレベル4の月光蒼猫(ムーンライト・ブルー・キャット)にレベル1の魔轟神獣キャシーをチューニング!集いし猫達が地の底より蠢く竜を呼び覚ます!シンクロ召喚!スクラップ・ドラゴン!!』

廃材の奥底から蠢くような金属同士のこすれる音がする。それが次第に大きくなり、蠢き、ついに機械仕掛けの竜が頭と羽根を広げてフィールドに現れた。


スクラップ・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
星8/地属性/ドラゴン族/攻2800/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分及び相手フィールド上に存在するカードを1枚ずつ選択して発動する事ができる。選択したカードを破壊する。このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、シンクロモンスター以外の自分の墓地に存在する「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する。



『さあ、スクラップの時間だニャア!スクラップ・ドラゴンの効果発動!あたいのリビングデッドとおミャアのソードブレイカーを破壊するニャア!スクラップ・ミスト!!』

地の底より噴き出した大量のガラクタがそれぞれのカードを破壊する。

リビングデットの呼び声(破壊)
ソードブレイカー(破壊)

「くっ…!」

『そしてぇ、バトル!フェニキシオンで攻撃!』

「ぐっ、あああああああ!!!」

北村賢治 LP2100→1100

『スクラップ・ドラゴンで攻撃!スクラップ・メガフレア!!』

「ああああああああ!!!!」

北村賢治 LP1100→100

スクラップ・ドラゴンから放たれる溶鉱炉のごとき炎が北村を襲う。その炎が収まった後、北村はガクッと膝を付いた。永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2の効果で受けるダメージは1000になっているが、体感している衝撃は本来のままである。

「ああ…。ぐぐ…。」

全身から水蒸気が立ち上り、全身に火傷のような跡が浮かび上がる北村。カーチャはそれに対し、眉一つ動かさずに言った。

『これであたいはターンエンドだニャ。』



6ターン目終了
北村賢治 LP100
手札:1枚(ガーネシア・エレファンティス)
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2、凡骨の意地(永続魔法)
エクストラデッキ:竜穴の魔術師(表)+(?枚)

カーチャ LP450
手札:2枚
モンスター:水晶機巧-フェニキシオン(攻2800)、スクラップ・ドラゴン(攻2800)
魔法&罠:伏せカード×3




(躊躇…。そうか、オレはいつの間にかまた勝敗に気を取られちまっていたのか…。勝つために戦略を巡らせるのはいいだろう。考えなしより考えありの方がいいだろう。だが、それで自分の良さにまでブレーキかけてちゃ本末転倒だ!オレが控えめに戦っちゃあ駄目だろうが…!
オレは弱虫だ…。トラベラーの中で下位に位置する…。それでも、勝つ可能性が1%であっても、それに全力を注いだ…。それがオレの意地だ…!弱虫にだって意地はあるんだ!全力で、全開で、今出来る事を全てやる!それがオレの原点!それがオレの、冴えない、けれども誇れる戦い方!)

北村は全身に気合と力を込めた。

「行くぜぇ!全力全開だぁ!デッキよ…応えてくれぇ…!オレのタアアアアアン!!」

北村は叫びながらカードを引く。このデュエルを左右する、運命のカードを。

「ドロオオオオオ!!!」

引いたカード:密林の黒竜王


密林の黒竜王
通常モンスター
星6/地属性/ドラゴン族/攻2100/守1800
密林に棲息する、漆黒のドラゴン。バリバリと木を食べる。



「オレが引いたのは通常モンスター!凡骨の意地の効果を発動する!ドロー!…翼を織りなす者!」


翼を織りなす者
通常モンスター
星7/光属性/天使族/攻2750/守2400
6枚の翼をもつハイエンジェル。人々の自由と希望を司っている。



『え?翼様?あ、じゃニャい…。』

カーチャは一瞬、目を丸くしたがすぐに元に戻った。

「次は!…クラッシュマン!」


クラッシュマン
通常モンスター
星5/地属性/獣族/攻1600/守1800
意外に素早く動き回り、丸まって体当たりをしてくる。



「その次は!…アサシン!」


アサシン
通常モンスター
星5/地属性/戦士族/攻1700/守1200
闇の中を音もたてず相手に忍び寄る、暗殺専門の戦士。



「次!…竜角の狩猟者!」


竜角の狩猟者
ペンデュラム・通常モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2300/守1000
【Pスケール:青3/赤3】
(1):フィールドの通常モンスターの攻撃力は200アップし、自分の通常モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
【モンスター情報】
疫病に苦しむ故郷の村を救うため、霊薬の原料となるドラゴンの角を乱獲する女戦士。その村はすでに、棲み処を追われたドラゴンたちによって踏み荒らされ、焼き尽くされてしまった事を、彼女はまだ知らない・・・。



「次だ!…竜穴の魔術師!」


竜穴の魔術師
ペンデュラム・通常モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 900/守2700
【Pスケール:青8/赤8】
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
【モンスター情報】
若くして竜の魂を呼び覚ます神通力を体得した天才魔術師。その寡黙でストイックな魔術への姿勢から人付き合いは苦手だが、弟子の「竜脈の魔術師」にいつも振り回され、調子を狂わされている。



「次!…地を這うドラゴン!」


地を這うドラゴン
通常モンスター
星5/地属性/ドラゴン族/攻1600/守1400
力が弱り、空を飛べなくなったドラゴン。しかしまだ攻撃は強い。



「まだだ!…ドラゴン・エッガー!」


ドラゴン・エッガー
通常モンスター
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2200/守2600
卵のカラをかぶっているドラゴン。子供と間違えると痛い目に遭うぞ!



「まだまだ!…青眼の銀ゾンビ!」


青眼の銀(ブルーアイド・シルバー)ゾンビ
通常モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻 900/守 700
目から出す怪光線で、相手をゾンビに変えてしまうと言われている。



「もういっちょ!…フレイム・ケルベロス!」


フレイム・ケルベロス
通常モンスター
星6/炎属性/炎族/攻2100/守1800
全身が炎に包まれた魔獣。相手を地獄の炎で処刑する。



「更にドロー!…エビルナイト・ドラゴン!」


エビルナイト・ドラゴン
通常モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2350/守2400
邪悪な騎士の心に宿るドラゴンが実体化したもの。



「そしてえー!」

ドローカード:●●●●

「これで凡骨の意地の効果終了!さあ、準備は整ったぜ!」

北村がドローしたカードは合計十二枚。手札は合計十三枚にまで膨れ上がった。

『ニャンだ、やっぱり隠し持ってたニャン。』
その光景を見て、どこか楽しそうに笑うカーチャ。

「出し惜しみしてるつもりはなかったんだけどな…。エンジン掛かるまで時間がかかっちまったぜ。」
それに対して北村も不敵な笑みを返した。

「行くぜ!オレは竜角の狩猟者と竜穴の魔術師でペンデュラムスケールをセッティング!これでレベル4から7までのモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、オレのペンデュラム!世界に響け、モンスター達の雄叫び!ペンデュラム召喚!」

北村の手札から四体、そしてエクストラデッキから一体のモンスターが次々とフィールドに飛び出した。


クラッシュマン(レベル5)
アサシン(レベル5)
地を這うドラゴン(レベル5)
ドラゴン・エッガー(レベル7)
竜穴の魔術師(レベル7)


「行くぜえ!オレはレベル5の地を這うドラゴン、アサシン、クラッシュマンの三体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、全ての重機を統べる王よ!重機王ドボク・ザああぁぁああク!!」

エンジン音と機械音が唸りを上げて巨大な重機が出現する。全てを打ち砕く巨体が光の渦から出現する。


重機王ドボク・ザーク
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/地属性/機械族/攻3200/守2000
レベル5モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカードの中にモンスターカードがあった場合、その数まで相手フィールド上のカードを破壊する。



「そして、レベル7のドラゴン・エッガーと竜穴の魔術師でオーバーレイネットワークを構築!混沌より現れよ!幻惑の瞳を持つ支配者ビッグ・アああぁぁあああイ!!」

白い体に巨大な瞳、体の回りの黄色い輪っかには11のマーク。凶悪効果を持ち合わせた瞳の魔物が姿を現す。


No.11 ビッグ・アイ
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/闇属性/魔法使い族/攻2600/守2000
レベル7モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターのコントロールを得る。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。



『ニャハ!壮観なり…!』

「重機王ドボク・ザークの効果発動!オーバーレイユニットを一つ取り除いて、あんたのデッキトップから三枚のカードを墓地へ送る!」

送られたカード:強化蘇生、レスキューキャット、マジック・プランター

「送られた中にモンスターカードは一枚!よって、あんたのフィールドのカード一枚を破壊する!あんたから見て一番右の伏せカードを破壊するぜ!マウンテンクラッシャーぁあああ!!」

『ニャ…!』

伏せカード(強化蘇生)(破壊)

「更にビッグ・アイの効果発動!オーバーレイユニットを一つ取り除いてあんたのスクラップ・ドラゴンのコントロールを頂くぜ!」

『ニャニャ…。』

カーチャのフィールド上のスクラップ・ドラゴンが巨大な幻惑の瞳に魅入られてフラフラと北村のフィールドへと移動していった。

「そして、スクラップ・ドラゴンの効果発動!」

(許せよ、ビッグ・アイ…。)
「スクラップ・ドラゴンで破壊するのはあんたの右の伏せカードとオレのビッグ・アイだ!」

伏せカード(聖なるバリア -ミラーフォース-)(破壊)
No.11 ビッグ・アイ(破壊)

「そして、オレは奇跡召喚(ミラクルサモン)を発動!!!」


奇跡召喚(ミラクルサモン)
通常魔法(オリジナルカード)
融合モンスターカードまたはSモンスターカードまたはXモンスターカードによって決められた一組の素材モンスターを自分の手札と墓地から除外して発動する。その融合モンスターまたはSモンスターまたはXモンスターを融合召喚またはS召喚またはX召喚扱いで特殊召喚する。(融合モンスターの場合「融合」は必要としない。Xモンスターの場合、このカードの効果で除外したカードをX素材にする。)



「オレは手札と墓地のモンスターでエクシーズ召喚を行う!」

『ニャにい!?』

「オレの墓地にはレベル7のモンスターが二体!そして、手札には三体!」

『!?素材が五体!?』
(『竜穴の魔術師はペンデュラムモンスターだが、エクシーズ素材にしてしまえばエクストラデッキには戻らニャい!ビッグ・アイを破壊したのは効果を使ったターンに攻撃出来ないからかと思っていたけれど、真の狙いはレベル7の素材を墓地へ落とすため!しかし、レベル7のモンスターを五体も要求するモンスターなんて、一体…!?』)



「行くぜええ!!ドラゴン・エッガー、竜穴の魔術師、ガーネシア・エレファンティス、翼を織りなす者、エビルナイト・ドラゴンでオーバーレイネットワークを構築ぅ!エクシーズ召喚!!」

合計五体のモンスターが光の渦の中に飲み込まれ、大爆発を引き起こす!

「混沌の具現たる軍神よ!切なる望みをオレの元へ!集え、オレのモンスター達の力!束ね、重ねて一つとなれ!CX 冀望皇バリアン!!!」

赤き甲冑に身を包み、右手には全てを貫く槍、左手には全てを守る盾を構えた戦士がこの戦いに決着を着けるべく戦場へと降り立った。


CX 冀望皇バリアン
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/光属性/戦士族/攻 0/守 0
レベル7モンスター×3体以上
このカードは、「CNo.101」~「CNo.107」のいずれかをカード名に含む自分フィールド上のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚する事もできる。
このカードの攻撃力は、このカードのエクシーズ素材の数×1000ポイントアップする。
自分の墓地の「No.」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。次の相手のエンドフェイズ時まで、このカードは選択したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。「CX 冀望皇バリアン」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。



「冀望皇バリアンの攻撃力はエクシーズ素材の数×1000ポイントアップする!よって攻撃力は5000!」

CX 冀望皇バリアン 攻0→5000

『5000…!』

「そして、一ターンに一度、墓地に存在するナンバーズ一体と同じ効果を得られる!オレが選択するのはチャリオッツ・飛車!」

墓地から半透明のチャリオッツ・飛車が、まるで守護霊のように冀望皇バリアンの後ろに現れる。


No.72 ラインモンスター チャリオッツ・飛車
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/地属性/獣戦士族/攻2500/守1200
レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体と相手フィールド上にセットされた魔法・罠カード1枚を選択して発動できる。選択したカードを破壊する。この効果を発動したターン、相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。



「あんたのフィールドにはフェニキシオンと伏せカードが一枚…条件は満たされた!」

『ニャっ!!』

「オレはオーバーレイユニットを二つ取り除き、効果発動!あんたのフェニキシオンと伏せカードを破壊する!」

水晶機巧-フェニキシオン(破壊)
伏せカード(聖なるバリア -ミラーフォース-)(破壊)

(そうか、伏せカードは三枚中二枚がミラーフォースだったのか…。だが…!)
「これであんたのフィールドには何もなくなった!」

『ニャニャっ…!!』

「オーバーレイユニットを使ったことによって冀望皇バリアン攻撃力がダウンする。」

CX 冀望皇バリアン 攻5000→3000

だが、分かっていた。北村も、カーチャも。この段階で攻撃力2000の変動に何の意味もないことを。

『あたいは、フェニキシオンの効果を使わニャい…。』

また、カーチャの墓地には蘇生させても北村のモンスターの総攻撃を止められるモンスターはいなかった。



現在の状況
北村賢治 LP100
手札:3枚(密林の黒竜王、青眼の銀ゾンビ、フレイム・ケルベロス)
モンスター:重機王ドボク・ザーク(攻3200)、スクラップ・ドラゴン(攻2800)、CX 冀望皇バリアン(攻3000)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2、凡骨の意地(永続魔法)

カーチャ LP450
手札:2枚
モンスター:なし
魔法&罠:なし




「バトル!冀望皇バリアンでカーチャにダイレクトアタック!ランドチャリオッツ スラッシュぅぅううううう!!!」

巨大な槍の一撃がカーチャに向かう。

『そうか、これがおミャアの全力か…。見事…。』




















次の瞬間カーチャの全身が揺らめき、毛が逆立つように体から炎が噴き出した。デュエルで興奮し過ぎてカーチャは本来の妖怪、火車(かしゃ)の姿に近付きつつあったのだ。

『返礼ニャア!こちらも全力でいかせてもらうニャ!!』

「!!?」

カーチャは自分の手札の一枚をデュエルディスクに叩き付けた。

『このカードはあたいが直接攻撃を受ける時、バトルフェイズを終了させる!来るニャア!バトルフェーダー!』


バトルフェーダー
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。



「なあっ!?」

響き渡る鐘の音によって冀望皇バリアンの攻撃が止まった。

『ああ…北村…。おミャアの全力は素晴らしかった…。ドローも、展開力も、エクシーズも。あたいのカードすら利用し、フィールドを一掃した…。けれども、あたいはカーチャ!大妖怪、火車の一族ニャア!あたいを倒すニャ、まだ力が足りないニャアああああああああ!!!』

「そんな…届かないというのか…。これでも…!」
(次のターン、奴が攻撃力2900以上のモンスターを出してきたらオレは…。だが、それでも…出来る事は全部しよう…。今出来ることはこれぐらいか…。)

北村はモンスターを一体セットしてから、力なくターンエンドを宣言した。



7ターン目終了
北村賢治 LP100
手札:2枚(密林の黒竜王、フレイム・ケルベロス)
モンスター:重機王ドボク・ザーク(攻3200)、スクラップ・ドラゴン(攻2800)、CX 冀望皇バリアン(攻3000)、伏せモンスター×1
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2、凡骨の意地(永続魔法)

カーチャ LP450
手札:1枚
モンスター:バトルフェーダー(守0)
魔法&罠:なし




『あたいのターン。ドロー。』

嵐の前の静けさか。カーチャは静かに、それでも力強くカードを引いた。

『手札より発動。貪欲な壺。』


貪欲な壺
通常魔法
(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。



『墓地の水晶機巧-クオンダムとゼンマイニャンコ二体、魔轟神獣キャシー二体をデッキに戻し、二枚ドロー。』

(始まる…。カーチャの得意戦術が…!)

『死者蘇生を発動し、墓地のレスキューキャットを蘇生。そして墓地へ送って効果発動。デッキからゼンマイニャンコと魔轟神獣キャシーを特殊召喚。キャッシーとバトルフェーダーでフォーミュラ・シンクロンをシンクロ召喚し、一枚ドロー。』

(デッキ、手札、墓地、エクストラデッキを存分に回転させる高速展開戦術が…!)

『ゼンマイニャンコの効果でおミャアのドボク・ザークをエクストラデッキへ戻す。』

「くっ…。」
巨大な重機が成す術なくエクストラデッキへと戻っていった。

『そして、ゼンマイニャンコとフォーミュラ・シンクロンで、水晶機巧-クオンダムをシンクロ召喚。更に手札からキャッツ・フェアリーを召喚し、戦線復活の代償を発動するニャ。』


キャッツ・フェアリー
通常モンスター
星3/地属性/獣族/攻1100/守 900
ネコの妖精。愛らしい姿とはうらはらに、素早く敵をひっかく。



戦線復活の代償
装備魔法
自分フィールド上の通常モンスター1体を墓地へ送り、自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターを破壊する。



『あたいが蘇らせるのは、おミャアの墓地の翼様…じゃニャかった。翼を織りなす者だニャ。』

(翼を織りなす者…。さっき、バリアンの効果を使った時に墓地に送ったオーバーレイユニットを…。)

『北村。おミャアの切り札、見せてもらった。これは返礼ニャ。こいつが!あたいの!切り札!レベル7の翼を織りなす者にレベル4の水晶機巧-クオンダムをチューニング!』

「レベル11だと!?」

『星を喰らいしドラゴンよ!異なる星々に導かれ、今一つとなれ!シンクロ召喚!星態龍!!!』

ソリットビジョンが猫カフェの店の天井を突き抜けて、恒星よりも大きな龍が天空へと舞い上がる。そして、その顔だけが店の中に戻ってきてフィールド全体を威嚇するように咆哮を放った。

「でけえ…!」


星態龍
シンクロ・効果モンスター
星11/光属性/ドラゴン族/攻3200/守2800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードのS召喚は無効化されない。
(2):このカードのS召喚成功時には、魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。
(3):このカードは攻撃する場合、ダメージステップ終了時まで他のカードの効果を受けない。



『ついでに最後の手札も使っておくニャ。ハーピィの羽根帚。』


ハーピィの羽根帚
通常魔法
(1):相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。



竜角の狩猟者(スケール3)(破壊)
竜穴の魔術師(スケール8)(破壊)
凡骨の意地(破壊)



現在の状況
北村賢治 LP100
手札:2枚(密林の黒竜王、フレイム・ケルベロス)
モンスター:スクラップ・ドラゴン(攻2800)、CX 冀望皇バリアン(攻3000)、伏せモンスター×1
ペンデュラムゾーン: なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2

カーチャ LP450
手札:0枚
モンスター:星態龍(攻3200)
魔法&罠:なし




『北村。おミャアの手札が通常モンスターだということは分かっているニャ。デュエルでは次のターン、何が起こるか分からニャい。でも、おミャアのターンが来ることはニャい。デュエルはライフポイントが0になった方が負けるからだニャ。』

カーチャは一呼吸置いてから力強く宣言した。

『バトル!星態龍で冀望皇バリアンを攻撃!!エンドスター・バースト!!!』

恒星すら喰らい尽くす巨大なドラゴンから放たれる破滅の一撃が冀望皇バリアンに向かう。

CX 冀望皇バリアン(破壊)

「ぐあああああああああ!!!!」

北村賢治LP100→0

(負けた…。)




















北村がそう思った瞬間だった。フィールドに存在していた永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2が光り輝いた。

青眼の銀ゾンビ(除外)
北村賢治LP0→100

「え?」

『ニャ!?』


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.ライフポイントが0になったプレイヤーのフィールド上に通常モンスターがいる場合、そのプレイヤーのフィールド上の通常モンスターを全て除外して敗北を無効にし、そのプレイヤーのライフポイントを除外したモンスターの数×100にする。



(テキストが…読めるようになってる!?)

以前、藤原賢治とのデュエル後に北村の永遠の決闘(エターナル・デュエル)はVer.2になっていた。しかし、Ver.2になって追加された効果が何故か読めずじまいだったのだ。何故、あの時は読めなかったのか。そして何故、今は読めるのか。今の北村には理解出来なかった。

その時、北村は除外されていく青眼の銀ゾンビの声を聞いたような気がした。


(勝ってください。)

(このデュエル。)

(ボクが北村さんを守りますから。)


「青眼の銀ゾンビ…。」


(ありがとうございます。)

(ボク達のことをずっと大切にしてくれて。)


今の北村はこの現象を理解する必要などなかった。するべきことは心が既に感じ取っていた。即ち、このデュエルに勝利する。

カーチャの手札はもう何もない。そして、これ以上何も出来ない。カーチャはターンエンドするしかなかった。



8ターン目終了
北村賢治 LP100
手札:2枚
モンスター:スクラップ・ドラゴン(攻2800)
ペンデュラムゾーン: なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2

カーチャ LP450
手札:0枚
モンスター:星態龍(攻3200)
魔法&罠:なし




「オレのターン。」

北村は内側に熱いものが湧き上がってくるのを感じると同時に頭は冷静だった。叫びたいほどの情熱と全体を正確に把握する客観的な視点が同居した、奇妙な感覚だった。

(カーチャのフィールドには攻撃力3200の星態龍。そしてオレのフィールドには攻撃力2800のスクラップ・ドラゴン。手札は通常モンスターの密林の黒竜王とフレイム・ケルベロス。こいつらをアドバンス召喚しても勝てない。同時召喚してエクシーズに繋げたくてもペンデュラムスケールは破壊されちまってる。奇跡召喚ももう使っちまった。でも、オレは知っている。この状況でも勝てるカードがデッキに眠っていることを。)

「行くぜぇ!引いてみせる!運命の、ドロォオオオオオオオオ!!!!」

(引いてみせるさ。あれはオレの分身!オレが最初に手にしたカードなんだから!)

「来たっ…。」

『ニャ!?』

「来た、来た、来たアアアアア!オレはスクラップ・ドラゴンをリリースしてコイツをアドバンス召喚する!来い!魔装戦士 ヴァンドラ!!」


魔装戦士 ヴァンドラ
効果モンスター
星5/風属性/戦士族/攻2000/守 800
(1):このカードは直接攻撃できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、自分の墓地のドラゴン族・戦士族・魔法使い族の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。



『ニャニャ!?』

「コイツは攻撃力じゃあ星態龍に勝てねえ。でも、あんたは言ったよな。デュエルではライフが0になった方が負ける。どんなに攻撃力の高いモンスターがフィールドに居ようとだ!魔装戦士 ヴァンドラでダイレクトアタック!旋風のウイニング・クラあああぁぁあああッシュ!!!!」

青き鎧の騎士の一撃がカーチャに襲い掛かる!

『ニャアー!』

カーチャLP450→0

勝負は決した。

北村が勝ったのだ。

「やった…。」

勝利を称えるファンファーレと共に北村の顔と名前とWINの文字が辺りに広がる。

「やったああああ!!勝った!勝ったぞおおおおおお!!」

北村は喜びのあまりカフェの中ということも忘れて飛び跳ねた。

『うほっほん。あんまり暴れられると床が抜けるしぃ。』

「あ…。」
カーチャの声で我に返った北村は恥ずかしそうに頭を掻いた。

『ま、あたいに勝ったんだから喜ぶのも当然ですわ~。おめでとうですわ~。』

いつの間にかカーチャは猫かぶり接客モードに戻っていた。


その時、北村は感じた。次の世界に行かなければならないことを。
(もうそんな時間か…。)

『ん!?』

カーチャは目を見開いた。北村の姿が薄くなり始めたのだ。

「悪い、もう行かなきゃなんねえ時間だ。オレはトラベラーだからな。」

『…そいつは残念だしぃ。せっかくあたいに勝ったんだからタダ飯食わしてやろうと思ってたのに。』

「北村さん。」
その時、猫達の下から少女の声が響いた。
「これからどこに行き、何をするか決めていますか?」

「どこの世界に行くかはランダムに近いから分からねえけど、何をするかは決めてるぜ。」
北村はニッと笑った。
「最強の決闘者になるためにもっと強くなる。行った先の世界でも強い奴と全力でデュエルして、もっともっとデュエルの腕を磨くぜ。」

(そして、もう一度あの世界に辿り着いたら、あいつと約束の『神様のデュエル』をするんだ…。)


「そうですか。では…。」
猫達の下から小さな手が出て、一枚のカードを北村に向かって放り投げた。

「おっと!?」

それは一枚の魔法カードだった。


天使の涙(エンジェル・ドロップ)
通常魔法(オリジナルカード)
???



「お守りです。効果は私が保証します。」

「ありがとな…猫魔神!」
北村はデッキの中にそのカードを入れた。

「いえいえ。」


「そして、ありがとな。カーチャ!」

『いいデュエルでしたわ~。またいつでもいらっしゃってくださいですわ~。』

そして、北村は光の粒となって消え、次の世界へと旅立った。





北村が去った後、猫の山の下から声がする。
「さて、回復はこれぐらいでいいでしょうか。」
その声を合図に猫の山は崩れ、それを構成していた猫達は自分の思い思いの場所、猫カフェのあちらこちらに散っていった。そして、一人の少女が残った。

「ん~。」
少女は起き上がって大きく伸びをした。長く白い髪がゆらゆらと揺れる。

『猫魔神…じゃなかった。翼様、お疲れ様ですわ~。』
『つばちゃま、いつもありがとうだニャ。』

カーチャと黒く大きな猫の労いの言葉に少女は笑顔で言葉を返す。
「いえいえ。」
少女の名前は白木 翼(しらき つばさ)。猫魔神を名乗ってはいたが、神様ではない。ただの『人間』である。


『しかし、つばちゃまも本当に人が悪いニャ。あの北村とかいう小僧に言った『私が言ったことは全て嘘となります。』という言葉が既に嘘ニャンだから。』

「うふふ。」

『こら、ニャン太。猫魔神様に対して『悪』だなんて無礼であるぞ?』

『こりゃ失敬。…って、そのネタ引きずり過ぎニャ!』


「ところでカーチャさん。さっきのデュエル、手心を加えました?」

『なっ…?何のことだか分かりませんわ~、翼様。』

「ふふ、そうですか。」

少しの沈黙の後、翼とカーチャは目線を合わせてクスクスと笑い合った。


『ところで翼様…。』
カーチャは首を傾げた。
『デュエルモンスターズってなんでしたっけ?』

『ニャ?何を言ってるニャ?カーチャ。さっきまでおミャアがやってたカードゲームじゃニャいか。』
黒く大きな猫は、カーチャに突っ込みを入れる。

『それは何となく分かるんだけど、どんなカードがあったのか思い出せなくって…。』
カーチャはカリカリと髪の毛を掻き毟った。

「北村さんがこの世界から旅立ったのでリンクが切れたようですね…。大丈夫ですよ、カーチャさん。後で私が再現してみましょう。この世界でも誰もがデュエルを楽しめるように。」


その時、黒く大きな猫は思い出したように言った。
『そう言えばカーチャ。おミャアの人間名は『北村』じゃニャかったか?』

『それは猫カフェ『ケット・シー』のマスターの苗字をお借りしているだけですわ~。』

「北村 陽平(きたむら ようへい)さんですね。ということは北村君はマスターの親戚か誰かでしょうか」

『ん~?でも、マスターの親戚にあんな子いたっけ…?』


















カチッ。世界のどこかで何かの数値が上がる音がした。


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.3
フィールド魔法(ワールドカード)
0.デュエル開始直前にデッキのこのカードを相手に見せることで、このカードを発動した状態でデュエルが始まる。この効果を使用した場合、自分はデッキ変更できず、このカードはフィールドを離れず、効果を無効にできない。このカードは他のフィールドカードと共存する。この効果を使用する場合、デッキの「勝利の証」をこのカードの下に置く。
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.ライフポイントが0になったプレイヤーのフィールド上に通常モンスターがいる場合、そのプレイヤーのフィールド上の通常モンスターを全て除外して敗北を無効にし、そのプレイヤーのライフポイントを除外したモンスターの数×100にする。
3.???



次の世界へ続く。




2016.08.14 | 未分類

«  | ホーム |  »

FC2Ad