トラベラー北村の挑戦 VS藤原賢治

例えどんな道だって、ユキちゃんと歩くのなら――――――。



セミの声がまだうるさい季節。ボクはユキちゃんと一緒に桜の木々が生い茂る道を歩いていた。桜の木、と言っても花が咲くのは来年だ。でも、この花の咲かない季節があってこそ桜は綺麗な花をつける。
花開くまでの道のりは平坦なものばかりじゃない。辛い道、苦しい道、しんどい道、逃げ出してしまいたくなるような恐ろしい道…。でも、その道を通ってきたからこそ開く花もあると思う。
この手の温もりを大切にしよう。今、こうして手を繋いで歩ける喜びを大切にしよう。大好きなユキちゃんと一緒にいられる時間を大切にしよう。こうして隣を見ればユキちゃんがいる。目と目が合って、微笑み合える。幸せだなぁ…。





「どわあっ!」

突然のことだった。茂みから尖った髪が特徴的な少年が飛び出して盛大に転んだのだ。

「君、大丈夫かい!?」

ボクとユキちゃんは慌てて彼に駆け寄る。すると彼はアクロバティックな動きで起き上がると同時にボク達を見た。

「町の往来のカップル…。間違いねえ…!あんたらが藤原の賢治と幸恵だな!?」

ボク達を知ってる?でも、ボクは彼を知らない。ユキちゃんともアイコンタクトを交わしたが知らないようだ。「君は誰なんだい?」と聞く前に彼はデッキのついた新品のデュエルディスクを差し出した。

「頼む、藤原賢治!このデッキでオレとデュエルしてくれ!」

突然のことだったのでボクは目をパチクリさせていた。彼は頭を下げ、デュエルディスクを名刺のように突き出す。そのデュエルディスクの形はボクの知っている物と違っていた。何ていうか、スタイリッシュで近未来的な感じだ。

「あんたが勝ってもオレからは何も渡せねえ…!だが、あんたが負けても何も奪わねえことは約束する!だから頼む!」

何分、急なことで戸惑ったが必死に頼み込む彼の姿勢を無碍にするのは気が引けた。ユキちゃんの目を見ると同意見だった。「デュエルを受けてもいいと思う。」そう言っているのがすぐ分かる。
最近、アイコンタクトで何でも分かるようになったと実感する。ひょっとしたらアイコンタクトだけで10分以上話が出来るかもしれないけど、ユキちゃんの声が聞けないのは辛いな。



「分かったよ。デュエルしよう。」

「あ、ありがてえ…!」
そう言って彼はボクにデッキとデュエルディスクを手渡した。
「あ、後、そいつのエクストラ…じゃなかった融合デッキにはエクシーズモンスターって言うのが入ってんだ。この世界じゃ馴染みがないと思うが、同じレベルのモンスターをフィールドに一定数揃えるだけでエクストラデッキからモンスターを呼び出せるんだ。詳しいことはこれに書いておいた。」

ボクは彼から一枚のメモをもらった。慌てて書いたのか字は乱暴だったが読めないことはなかった。

「ありがとう。ところで、君の名前は…?」

「わ、悪い。名乗ってなかったな…。オレは北村け…。」
そこまで言った時、彼は急に口篭った。
「ん、ゴホンゴホン。いや、ただの北村だ。」

「分かったよ、北村君。それで…道端でデュエルって言うのも周りの人の迷惑になるから隣の公園でやろうよ。」

「お、おう。」



桜並木のすぐ横の公園でボクと北村君は向かい合う。近くのベンチにはユキちゃんがチョコンと座っている。可愛い。

「で、藤原賢治。デュエルのルールだが、マスタールール3のライフポイント4000でどうだ?」

「マスタールール3?」
聞いたことのないルールの名前だった。

「あ、そうか…。」
北村君は少し悩みながら言葉を繋げた。
「え、えっとだな…。こっちの世界の…じゃなくて、今までのルールとの違いは先行ドローの禁止、それからペンデュラムゾーンって言う新しくカードを置ける場所が出来てる。エクストラ…じゃなくて!融合デッキにはエクシーズっていうモンスターがいて…ってそれはさっき言ったか。それとフィールド魔法は自分と相手、どちらも共存するってことぐらいだ…と思う。」

「そうなんだ。先行ドローが禁止なんだ…。」

ドローが禁止というのはかなり大きいと思う。デュエルモンスターズではカード一枚で勝敗が逆転することが往々にしてあるからね。



「そ、その…。とにかくやってみりゃ分かる…!と思う…。」

北村君は少々自信なさ気だったが、基本的なルールは新エキスパートルールと大差ないようだからボクも出来そうだ。
「分かった、やってみるよ。」

「よし。じゃあ、さっそくだがオレはデュエル直前にこのカードの効果を使わせてもらうぜ。」

そう言って北村君はデッキから一枚のフィールド魔法を取り出して見せた。


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1
フィールド魔法(ワールドカード)
0.デュエル開始直前にデッキのこのカードを相手に見せることで、このカードを発動した状態でデュエルが始まる。この効果を使用した場合、自分はデッキ変更できず、このカードはフィールドを離れず、効果を無効にできない。このカードは他のフィールドカードと共存する。この効果を使用する場合、デッキの「勝利の証」をこのカードの下に置く。
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。



「デッキに一枚しか入れることの出来ない『勝利の証』を下敷きにした時のみ、このカードの最初の効果は使える。オレはデッキの『勝利の証』にこのカードを重ねて発動するぜ。これでオレはデッキを変更出来ないが、このフィールドカードが発動した状態でデュエルがスタートする。」


勝利の証
通常魔法(オリジナルカード)
手札、デッキにあるこのカードを相手プレイヤーに見せることで自分はデュエルに勝利する。このカードはデッキに1枚しか入れることが出来ない。



『勝利の証』…?ええ、デュエルに勝利!?そんな効果のカード…!って、あれ?そんなカードをどうして…。それを使えば勝てるはず…?いや、まあ、そんな勝ち方してもどうかと思うけど…。北村君のデッキにはもっと強力なカードが存在するのかな…?

「さあ、楽しもうぜ。藤原賢治!『神様のデュエル』の始まりだ!」

「賢治君、頑張ってね。」

ユキちゃんが応援してくれる。傍で見ていてくれる。それだけで勇気と力が湧いてくる。
「うん、頑張るよ。」

「お、おうゥウオッホン…ゴホゴホ…。悪ぃ、何でもねえ。じゃあ行くぜ!」

ボクと北村君はデュエルディスクを展開する。

北村&藤原「「デュエル!」」

北村??『弱虫の意地』デッキ LP4000
藤原賢治『ふじふじ』 デッキ LP4000

その時、デュエルディスクに表示されたデッキ名を見てボクは少し首を傾げた。
(ん?『ふじふじ』デッキ?なんだこりゃ?…まあ、いいか…な?)





「先行はもらうぜ、オレのターン!マスタールール3によりドローは出来ねえが…オレは凡骨の意地を発動するぜ!」


凡骨の意地
永続魔法
ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。



「更にオレはスケール3の竜角の狩猟者とスケール8の竜穴の魔術師でペンデュラムスケールをセッティング!」


竜角の狩猟者
ペンデュラム・通常モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2300/守1000
【Pスケール:青3/赤3】
(1):フィールドの通常モンスターの攻撃力は200アップし、自分の通常モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
【モンスター情報】
疫病に苦しむ故郷の村を救うため、霊薬の原料となるドラゴンの角を乱獲する女戦士。その村はすでに、棲み処を追われたドラゴンたちによって踏み荒らされ、焼き尽くされてしまった事を、彼女はまだ知らない・・・。



竜穴の魔術師
ペンデュラム・通常モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 900/守2700
【Pスケール:青8/赤8】
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
【モンスター情報】
若くして竜の魂を呼び覚ます神通力を体得した天才魔術師。その寡黙でストイックな魔術への姿勢から人付き合いは苦手だが、弟子の「竜脈の魔術師」にいつも振り回され、調子を狂わされている。



「モンスターを二体召喚!?」

賢治の驚きの声を聞いて、オレはハッとなった。そうだ、賢治にはペンデュラムのことを話してなかった…!

「いや、違うんだ!その…。これはペンデュラムモンスターって奴だ!通常モンスターなんだが特別な力を秘めてるカードなんだ。藤原賢治!あんたのモンスターゾーンの横にカードを置けるところがあるだろ?」

「あ、ほんとだ。」
賢治は自分のデュエルディスクをしげしげと眺めていた。

「そこはペンデュラムゾーンと言って、そこにペンデュラムモンスターを魔法カード扱いで出すことが出来るんだ。」

「へえ~。ペンデュラムモンスターはモンスターゾーン以外の場所にもおけるカードなんだね。宝玉獣に少し似てるかも…。」

「そうして出したペンデュラムモンスターは大きく二つのことが出来る。一つは魔法カードとしての効果。これはそれぞれのカードに書いてある。それからもう一つ、こっちがメインの効果だ!セットしたペンデュラムモンスターのスケールは3と8だから、その間のレベル4から7までのモンスターをリリース…じゃなかった、生贄なしで同時に召喚出来る!」

「ええ!?生贄なしの同時召喚!?」

「ペンデュラムスケールを出すだけで二枚も消費するが、それだけの価値はある!来い!オレの旅の欠片達!エビルナイト・ドラゴン!ジェノサイドキングサーモン!」

オレのフィールドに二体の通常モンスターが現れる。


エビルナイト・ドラゴン
通常モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2350/守2400
邪悪な騎士の心に宿るドラゴンが実体化したもの。



ジェノサイドキングサーモン
通常モンスター
星5/水属性/魚族/攻2400/守1000
暗黒海の主として恐れられている巨大なシャケ。その卵は暗黒界一の美味として知られている。



「ペンデュラムゾーンの竜角の狩猟者の効果。フィールド上の通常モンスターの攻撃力は200ポイントアップする!」

エビルナイト・ドラゴン 攻2350→2550
ジェノサイドキングサーモン 攻2400→2600

フィールド上の竜と鮭の体が少し膨れ上がる。鮭は脂が乗って美味しそうだ。

「これでオレはターンエンドだ。さあ、藤原賢治!デッキからカードの剣を抜け!」



1ターン目終了
北村?? LP4000
手札:0枚
モンスター: エビルナイト・ドラゴン(攻2550)、ジェノサイドキングサーモン(攻2600)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1、凡骨の意地(永続魔法)

藤原賢治 LP4000
手札:5枚
モンスター:なし
魔法&罠:なし




さあ、ボクの番だ。

「行くよ、北村君。ボクのターン。」

ボクは引いたカードと合わせて手札を見た。魔法カード二枚に罠カード二枚、そしてモンスターカードが二枚だった。これなら…。

「ボクは魔法カード、増援を発動。」


増援
通常魔法
(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。



ボクはデッキの中から一枚のカードを探す。何でだろう、初めて使うデッキなのに何のカードが入っているのか分かる気がする…。まるでボクのために作られたようなデッキだ…。

「…いた。ボクはデッキから沈黙の剣士-サイレント・ソードマンを手札に加えるよ。」


沈黙の剣士-サイレント・ソードマン
特殊召喚・効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1000/守1000
このカードは通常召喚できない。自分フィールドの戦士族モンスター1体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。
(1):自分・相手のスタンバイフェイズに発動する。このカードの攻撃力は500アップする。
(2):1ターンに1度、魔法カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にする。
(3):フィールドのこのカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。手札・デッキから「沈黙の剣士-サイレント・ソードマン」以外の「サイレント・ソードマン」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。



「このモンスターは通常召喚出来ない。でも、ボクの手札には…!」

サイレント・ソードマン LV3

「っ!やっぱ来てるよな…。」
北村君はヤバイという顔をしながらも、口元は笑っていた。
「あんたのモンスターだ、呼んでやれよ!」

「ボクはサイレント・ソードマン LV3を召喚し、それをリリースすることで沈黙の剣士-サイレント・ソードマンを特殊召喚!」

沈黙の名の通り、寄せ来る敵全てを黙らせるほどの風格を漂わせる大剣を持ちの剣士が現れた。攻撃力は1000だが、このカードには自分の攻撃力を上げる効果がある。そして、倒されても…。
ボクの頭の中にはデッキの中に眠る『彼』の姿が浮かんだ。

「ボクはカードを二枚伏せてターンエンド。」



2ターン目終了
北村?? LP4000
手札:0枚
モンスター: エビルナイト・ドラゴン(攻2550)、ジェノサイドキングサーモン(攻2600)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1、凡骨の意地(永続魔法)

藤原賢治 LP4000
手札:2枚
モンスター:沈黙の剣士-サイレント・ソードマン(攻1000)
魔法&罠:伏せカード×2




「オレのターン!ドロー!」

来たっ!

「この瞬間、凡骨の意地の効果発動!オレが引いたのは…エメラルド・ドラゴンだ!」


エメラルド・ドラゴン
通常モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1400
エメラルドを喰らうドラゴン。その美しい姿にひかれて命を落とす者は後を絶たない。



「続けてドロー!引いたのは鋼鉄の巨神像!」


鋼鉄の巨神像
通常モンスター
星5/地属性/機械族/攻1400/守1800
機械の国にまつられているという、鋼鉄の巨神像。



「更にドロー!ファイヤー・ウイング・ペガサスだ!」


ファイヤー・ウイング・ペガサス
通常モンスター
星6/炎属性/獣族/攻2250/守1800
色鮮やかな真紅の翼をはばたかせ、天を駆け抜ける天馬。



「もいっちょドロー!」

引いたのはモンスターじゃなかった。だが、手札は十分揃った。

「オレは凡骨の意地の効果を終了するぜ。そんでスタンバイフェイズだから、あんたの沈黙の剣士-サイレント・ソードマンの攻撃力は500ポイントアップする。」

沈黙の剣士-サイレント・ソードマン 攻1000→1500

サイレント・ソードマンの攻撃力が上がりやがった。今は問題ないが、後々厄介になってくる…。しかし、策も無く倒せば『奴』が出て来る…。

その時、賢治の声が響いた。

「この瞬間ボクは永続トラップ、虚無空間を発動するよ。」


虚無空間(ヴァニティー・スペース)
永続罠
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
(2):デッキまたはフィールドから自分の墓地へカードが送られた場合に発動する。このカードを破壊する。



「なにぃ!?」

「ペンデュラム召喚って、つまりは特殊召喚の一種だよね…?これで手札のモンスターを一斉には召喚出来ない。」

「その通りだ…。」
理解が早い…。初めて見るペンデュラム召喚の特性を見抜いて速攻で対処してきた…。賢治のデュエリストセンスは…!

「だが、これであんたも特殊召喚は出来ねえぜ!」
これで『奴』は来れない!
「遠慮なくバトルだ!ジェノサイドキングサーモンで沈黙の剣士-サイレント・ソードマンを攻撃!」

「だったらボクは伏せていた速攻魔法を発動するよ。」

「にゃにぃ!?」

沈黙の剣士が沈黙の剣を受け取り二刀流となった。その姿は二刀流の剣豪、宮本武蔵を彷彿とさせる。まさに鬼に金棒だ。


沈黙の剣
速攻魔法
(1):自分フィールドの「サイレント・ソードマン」モンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターの攻撃力・守備力は1500アップし、ターン終了時まで相手の効果を受けない。このカードの発動と効果は無効化されない。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「サイレント・ソードマン」モンスター1体を手札に加える。



「これで沈黙の剣士-サイレント・ソードマンの攻撃力が3000ポイントになる!」

「ぐおっ!」

ジェノサイドキングサーモン(破壊)

「だが、竜角の狩猟者のペンデュラム効果でオレは戦闘ダメージを受けない!」


竜角の狩猟者
ペンデュラム・通常モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2300/守1000
【Pスケール:青3/赤3】
(1):フィールドの通常モンスターの攻撃力は200アップし、自分の通常モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
【モンスター情報】
(省略)



「更に沈黙の剣が墓地に行ったことで虚無空間は自壊する!」

虚無空間(破壊)

「しまった…。」

賢治は自壊の効果を忘れていたようだ。おそらく初めて使ったんだろう。


虚無空間(ヴァニティー・スペース)
永続罠
(1):(省略)
(2):デッキまたはフィールドから自分の墓地へカードが送られた場合に発動する。このカードを破壊する。



だが…。今、賢治は虚無空間の発動タイミングを間違えたと思っているかもしれない。しかし、本当は見事に危機を回避したんだ。デュエリストの本能の成せる技か…。

「虚無空間が破壊されたことにより、ペンデュラム召喚が可能となった!オレはセッティング済みのペンデュラムスケールを使ってペンデュラム召喚!世界の片隅から這い上がれ!エメラルド・ドラゴン!鋼鉄の巨神像!ファイヤー・ウイング・ペガサス!」

オレは引いたモンスター三体をフィールドに出した。オレのフィールド上にはモンスターが四体。更に通常モンスターだからペンデュラムゾーンの竜角の狩猟者の効果によって攻撃力が上がる。

エメラルド・ドラゴン 攻2400→2600
鋼鉄の巨神像 攻1400→1600
ファイヤー・ウイング・ペガサス 攻2250→2450

だがメインはここじゃねえ…。見せてやるぜ、賢治。エクシーズモンスターを!

「これによりオレのフィールド上にレベル6のモンスターが二体揃った!」

賢治は首を傾げている。それがどうしたのか、という顔だ。無理もない、エクシーズに馴染みが無ければ当然の反応だ。だが次の瞬間、賢治はハッとした顔になってオレが渡したメモをポケットから取り出した。

「まさか…。」

「そのまさか、だ。行くぜ!オレはレベル6のエメラルド・ドラゴンとファイヤー・ウイング・ペガサスでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

「うわっ!? 」

賢治が驚くのも無理はない。きっと初めて見る光景なんだから。光渦巻く銀河の中にフィールドの二体のモンスターが吸い込まれ、大爆発を引き起こす!

「守備表示で現れろ、ランク6!フォトン・ストリーク・バウンサー!」

その大爆発の中から、赤色の野獣のような戦士が身を固めて現れる。これが…エクシーズだ!


フォトン・ストリーク・バウンサー
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/光属性/戦士族/攻2700/守2000
レベル6モンスター×2
相手フィールド上で効果モンスターの効果が発動した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。その効果を無効にし、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。この効果は1ターンに1度しか使用できない。



「凄い…!融合の魔法カードも無いのにモンスターを融合デッキから出せるなんて…。これがエクシーズモンスター…。」

「そうだ!」

初めてエクシーズモンスターを見る賢治の反応が新鮮で、オレは何だか誇らしかった。オレのモンスターが褒められているような気がして。

「オレは既にバトルフェイズを終えているから追撃は許されないのでターンエンド。さあ、藤原賢治!あんたのターンだ!」



3ターン目終了
北村?? LP4000
手札:1枚
モンスター: エビルナイト・ドラゴン(攻2550)、鋼鉄の巨神像(攻1600)
フォトン・ストリーク・バウンサー(守2000)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1、凡骨の意地(永続魔法)

藤原賢治 LP4000
手札:2枚
モンスター:沈黙の剣士-サイレント・ソードマン(攻3000)
魔法&罠:なし




「ボクの、ターン!ドロー!スタンバイフェイズ時に沈黙の剣士-サイレント・ソードマンは自身の効果で攻撃力が500ポイントアップする!」

サイレント・ソードマンの攻撃力が更に上がる。伝説のカード、ブルーアイズでも倒せないほどに。でも、その瞬間、北村君は待っていたとばかりに笑みを浮かべた。

「強化は強制効果だから必ず発動する。それに対してフォトン・ストリーク・バウンサーの効果発動!一ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ使って相手フィールド上の効果モンスターの効果を無効にする!オレはオーバーレイユニットとなったエメラルド・ドラゴンを墓地に捨て、効果発動!これで沈黙の剣士-サイレント・ソードマンの攻撃力は3000のままだ。更にぃ!この効果を使用した時、相手に1000ポイントのダメージを与える!ストリーク・ブレイクぅうう!!」

「うわっ!」

フォトン・ストリーク・バウンサーが放つ激しい衝撃によってボクのライフは減少する。ソリットビジョンではあっても緊迫感は本物の戦いそのものだ。

藤原賢治LP4000→3000

「これがエクシーズモンスター…。だったら、まずはそれから叩く!沈黙の剣士-サイレント・ソードマンでフォトン・ストリーク・バウンサーに攻撃!」

「ぐっ!」

フォトン・ストリーク・バウンサー(破壊)

でも守備表示だから北村君に戦闘ダメージは無い。ボクの手札にはモンスターがいたけれど召喚しても攻撃力が足りないから、これ以上の追撃は出来なかった…。でも、出しといた方がいいかな。

「ボクはモンスターを裏側守備表示でセット。更にカードを一枚伏せてターンエンド。」



4ターン目終了
北村?? LP4000
手札:1枚
モンスター: エビルナイト・ドラゴン(攻2550)、鋼鉄の巨神像(攻1600)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1、凡骨の意地(永続魔法)

藤原賢治 LP3000
手札:1枚
モンスター:沈黙の剣士-サイレント・ソードマン(攻3000)、伏せモンスター×1
魔法&罠:伏せカード×1




「オレのぉ…ターァァン…。」
このターンで沈黙の剣士-サイレント・ソードマンをどうにかしてえぜ…!オレは気合を入れた。

「ドロォー!」
来たあっ!通常モンスター!

「オレは凡骨の意地の効果発動!今引いたのはロイヤルガードだ!」


ロイヤルガード
通常モンスター
星6/地属性/機械族/攻1900/守2200
王座を守るために開発された、意志を持つ機械の兵隊。



「二枚目、ドロー!ドラゴン・エッガー!」


ドラゴン・エッガー
通常モンスター
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2200/守2600
卵のカラをかぶっているドラゴン。子供と間違えると痛い目に遭うぞ!



「三枚目、ドロー!」

…っく。モンスターだが、通常じゃねえ…。だが、このカードはオレの象徴だ。抜くわけにゃいかねえのよ。

「オレは、これで凡骨の意地の効果を終了する。スタンバイフェイズ、あんたの沈黙の剣士-サイレント・ソードマンの攻撃力は500ポイントアップする。」

沈黙の剣士-サイレント・ソードマン 攻3000→3500

「ついにブルーアイズすら葬れる攻撃力になっちまったか…。だが、攻撃力の高さだけじゃデュエルは決まらねえ!まずはペンデュラム召喚からだ!来い、陽の目の当たる場所へ!ロイヤルガード!ドラゴン・エッガー!そして、魔装戦士ヴァンドラぁあ!!」

オレのフィールドにさっき引いたモンスター達が現れる。そして、竜角の狩猟者の効果によりパワーアップだ。

ロイヤルガード 攻1900→2100
ドラゴン・エッガー 攻2200→2400
魔装戦士ヴァンドラ 攻2000(効果モンスターにより攻撃力の変化なし)

「今度はレベル7とレベル5が二体…。」

賢治は真っ先に星の数に目を向けた。

「流石だ、もう理解したようだな。じゃあ、その期待通り行くぜ!レベル7のエビルナイト・ドラゴンとドラゴン・エッガーでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!混沌より現れよ!ランク7!幻惑の瞳を持つ支配者ビッグ・アアァァァアアイ!!」

その巨体は見上げるほどで、その巨大な目はこちらを見下ろす。その姿も素材も重い、重量級のモンスターの登場だ!


No.11 ビッグ・アイ
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/闇属性/魔法使い族/攻2600/守2000
レベル7モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターのコントロールを得る。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。



さあ、一気に行くぜ!こいつの能力は危険極まりないコントロール奪取!これで賢治のモンスターを…!

「ここでトラップ発動!」

「なぬぅ?!」

「強制脱出装置でNo.11 ビッグ・アイを脱出させる!」


強制脱出装置
通常罠
(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。



「ああ…。」
オーバーな演出で登場したビッグ・アイがエクストラデッキへと戻っていく…。

「エクシーズ召喚は融合と同じように素材を少なくとも二体要求する…。つまり弱点は融合召喚と同じ。」

っ!本当に適応力が半端ないぜ…。エクシーズの弱点をもう見切ってる…。

「更には手札が無いからペンデュラム召喚で呼んで来れるモンスターもいない。」

「流石だ…。」
オレはポツリと言葉を溢していた。

「あ、ちなみにペンデュラム召喚は一ターンに一度、自分のメインフェイズにのみ出来るんだ。出せるモンスターがいても、このターンはもうペンデュラム召喚出来ねえ…。」

…なんて、弱気になるな!オレは拳を握り締めた。

「だが…デュエルはここからが本番だぜ!魔装戦士ヴァンドラ!!直接攻撃だ!」

青い鎧に身を包み黄色い羽根を翻して、ヴァンドラは賢治のモンスターを飛び越え直接攻撃を叩き込む!


魔装戦士ヴァンドラ
効果モンスター
星5/風属性/戦士族/攻2000/守 800
(1):このカードは直接攻撃できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、自分の墓地のドラゴン族・戦士族・魔法使い族の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。



「うわっ!」

藤原賢治LP3000→2000

ただし、賢治へのダメージは永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1の効果で1000になるがな…。


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1
フィールド魔法(ワールドカード)
0.(省略)
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。



「これでバトルフェイズを終了する。だが、忘れてねえよなあ。オレのフィールド上には、まだレベル5のモンスターが二体いることを。」

「エクシーズ召喚はメインフェイズ2でも行える、ってことだね…。」

「その通りだ!オレはレベル5の魔装戦士ヴァンドラと鋼鉄の巨神像でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

光の渦が二体のモンスターを飲み込み、爆発を引き起こす。この光景もこれで三度目。賢治は分かってきたはずだ。これから厄介なモンスターが出て来ることを。

「昏き王よ、疾く現れよ!No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドー、守備表示!!」

今度はライオンのタテガミのような形の赤髪の忍者が現れた。忍者なのに目立ってるとか言わない。


No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドー
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/地属性/戦士族/攻2400/守1700
レベル5モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。このターン、自分フィールド上の「忍者」と名のついたモンスターは戦闘及びカードの効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。



「これでオレはこれでターンエンドだニン!」

(…?き、聞き間違いだろうか…。今、北村君は何て言った…?)



5ターン目終了
北村?? LP4000
手札:1枚
モンスター:No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドー(守1700)、ロイヤルガード(攻2100)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1、凡骨の意地(永続魔法)

藤原賢治 LP2000
手札:1枚
モンスター:沈黙の剣士-サイレント・ソードマン(攻3500)、伏せモンスター×1
魔法&罠:なし




「ボクのターン、ドロー!」
ボクが引いたのは魔法カード。今使う訳には行かないカードだった。

「このスタンバイフェイズでボクの沈黙の剣士-サイレント・ソードマンの攻撃力は更に500ポイントアップする!」

沈黙の剣士-サイレント・ソードマン 攻3500→4000

「ならば!オレはオーバーレイユニットを一つ使い、No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドーの効果発動!このターン、忍者モンスターは戦闘及び効果では破壊されないニン!」

なっ!忍者モンスターに耐性が…!これじゃあ突破出来ない!

「更に!ポチ見捨てられたカードは魔装戦士ヴァンドラ!」

ん…?『墓地に捨てられた…』の聞き間違いかな…?最近、耳かきしてなかったか…。このデュエルが終わったらユキちゃんに膝枕で耳かきを…。おっと、いけない!デュエルに集中だ。

「この効果でオレは墓地からエメラルド・ドラゴンを手札に加える!」


…さて、どうしよう。ボクのフィールドには攻撃力4000の沈黙の剣士-サイレント・ソードマンがいるけれど、問題は北村君の忍者が完全なる壁として立ちはだかっていることだ。
今のところサイレント・ソードマンが生き残ってはいるけれど、多分北村君はその気になれば効果持ちのエクシーズモンスターによって破壊出来る気がする。でも北村君は『彼』が出るのを恐れているんだ。凡骨の意地が無効になるから。
この膠着状態は長くは続かないだろう。凡骨の意地とペンデュラム召喚があるから一気にエクシーズモンスターが二体、三体並ぶことになる可能性もある。北村君の手札にはレベル6のエメラルド・ドラゴン…確実に手札を揃えにきてる。エクシーズモンスターはボクの知らないモンスター。どんな効果を持っているのか…。
…そういえばボクの融合デッキにもエクシーズモンスターが入っていたっけ…。あっ!呼べる!ランク4のエクシーズモンスターを呼べる…!

「ボクは、手札からオネストを、通常召喚。」


オネスト
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
(1):自分メインフェイズに発動できる。フィールドの表側表示のこのカードを手札に戻す。
(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。



ボクは内心ドキドキしていた。北村君が何度も見せてくれたエクシーズ召喚。でも、ボクはまだそれをしたことがない。初めてだ…。初めてエクシーズ召喚するんだ…!

「そして、ボクの伏せモンスターは、レベル4のH・Cサウザンド・ブレード。」


H・Cサウザンド・ブレード
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1300/守1100
「H・C サウザンド・ブレード」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、手札から「ヒロイック」カード1枚を捨てて発動できる。デッキから「ヒロイック」モンスター1体を特殊召喚し、このカードを守備表示にする。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「ヒロイック」モンスターしか特殊召喚できない。
(2):このカードが墓地に存在し、戦闘・効果で自分がダメージを受けた時に発動できる。このカードを墓地から攻撃表示で特殊召喚する。



「まさか!!」

「うん、ボクもエクシーズ召喚にチャレンジだ!レベル4二体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

オネストとサウザンド・ブレードが光り輝く渦の中に飲み込まれていく。そしてビッグバンのような大爆発と共に、ボクの融合デッキから一体のエクシーズモンスターがフィールドに現れる。

「鳥銃士カステルを融合デッキから特殊召喚だ!」

銃を持った鳥人が帽子をクルリと回して現れた。


鳥銃士カステル
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/風属性/鳥獣族/攻2000/守1500
レベル4モンスター×2
「鳥銃士カステル」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。
(2):このカードのX素材を2つ取り除き、このカード以外のフィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。



「鳥銃士カステルの二つ目の効果を発動!H・Cサウザンド・ブレードとオネストを捨てて、No.12 機甲忍者クリムゾン・シャドーをデッキに戻す!」

「しまった!耐性が…!」

鳥銃士が放つ正確無比なショットで忍者は融合デッキへと吹き飛ばされていく。カステルの効果は破壊じゃないからね。

「バトルだよ。沈黙の剣士-サイレント・ソードマンでロイヤルガードに攻撃!」

ロイヤルガード(破壊)

「ぐっ…!」

「ロイヤルガードは通常モンスターだから竜角の狩猟者の効果でダメージは受けない…。でも、これで君のフィールドはガラ空きだ!行くよ、鳥銃士カステルでダイレクトアタック!」



「ぐおおおお!!」

次の瞬間、信じられない光景が広がった。ソリットビジョンのはずなのに北村君が吹き飛んだ!?

「き、北村君!大丈夫…!?」

駆け寄ろうとしたボクを北村君は片手をかざして制止した。

「へ、へへ…。効いたぜ、今の一撃…。だが、永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1の効果で受けるダメージは1000になる…。」

北村??LP4000→3000

「さあ…デュエルを続けようじゃねえか、藤原賢治…。」

「…ボクは、これでターンエンドだ…。」



6ターン目終了
北村?? LP3000
手札:2枚(エメラルド・ドラゴン、?)
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1、凡骨の意地(永続魔法)

藤原賢治 LP2000
手札:1枚
モンスター:沈黙の剣士-サイレント・ソードマン(攻4000)、鳥銃士カステル(攻2000)
魔法&罠:なし




まだ、さっきの衝撃が残ってる…。普通の人間と違ってトラベラーは死なねえ。…デュエル以外では。
普通、デュエルをして死ぬ人間はいねえ。だが、トラベラーは死ぬんだ。デュエルで命を賭けることで…。
賭けてなくてもデュエルで受けるダメージは確実にオレのダメージになる…。
だが…それが何だ!オレはトラベラーではあるが、デュエリストでもあるんだから!

オレはまだ震える体で立ち上がり、デッキに手をかけた。

「さあ、行くぜ…!まず一枚目!ドロー!モンスターカード、ギガ・ガガギゴだ!」


ギガ・ガガギゴ
通常モンスター
星5/水属性/爬虫類族/攻2450/守1500
強大な悪に立ち向かうため、様々な肉体改造をほどこした結果恐るべきパワーを手に入れたが、その代償として正義の心を失ってしまった。



通常モンスターだ。これで凡骨の意地で再びカードを引ける…!


「二枚目、ドロー!ジャッジ・マン!」


ジャッジ・マン
通常モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2200/守1500
勝ち負けのない勝負が嫌いな戦士。こん棒の攻撃は強いぞ!




「三枚目、当然モンスターカード!アサシン!」


アサシン
通常モンスター
星5/地属性/戦士族/攻1700/守1200
闇の中を音もたてず相手に忍び寄る、暗殺専門の戦士。



「四枚目、行くぜ!モンスターカード…死の沈黙の天使ドマ!」


死の沈黙の天使ドマ
通常モンスター
星5/闇属性/天使族/攻1600/守1400
死を司る天使。こいつに睨まれたら、死から逃れられない。



「五枚目ぇ!」
引けたのは魔法カード…か。

「…凡骨の意地の効果を終了する。この瞬間、沈黙の剣士-サイレント・ソードマンの攻撃力はまた500アップする…。ついにアルティメットに並んだか…。」

沈黙の剣士-サイレント・ソードマン 攻4000→4500

だが、オレは恐れない!

「オレは、セッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚!来い、待ちに待った出番だぞ!エメラルド・ドラゴン!ギガ・ガガギゴ!ジャッジ・マン!アサシン!死の沈黙の天使ドマ!」

オレのガラ空きのフィールドを通常モンスターで埋め尽くす!そして通常モンスターだから攻撃力200アップだ!

エメラルド・ドラゴン 攻2400→2600
ギガ・ガガギゴ 攻2450→2650
ジャッジ・マン 攻2200→2400
アサシン 攻1700→1900
死の沈黙の天使ドマ 攻1600→1800

これで…!勝つ!

「藤原賢治…!融合モンスターに三体融合がいるように、エクシーズモンスターにも三体の素材を要求する奴がいる…!」

「…!フィールドにはレベル5が、三体…!!!」

「行くぜ!オレはレベル5のギガ・ガガギゴとアサシンと死の沈黙の天使ドマでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れえぇえよ、ランク5!重機王ドボク・ザーク!」

ミシミシと大きな音を立てて巨大な重機が現れる。全てを破壊する、機械の王のご登場だ!


重機王ドボク・ザーク
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/地属性/機械族/攻3200/守2000
レベル5モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカードの中にモンスターカードがあった場合、その数まで相手フィールド上のカードを破壊する。



「何て…大きさだ…!」

「重機王ドボク・ザークの効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、相手のデッキから三枚のカードを墓地へ送る!」

送られたカード:サイレント・ソードマン LV5、サイクロン、強制脱出装置

「そして、送られた中にモンスターカードがある場合、その数だけ相手のカードを破壊する!オレが破壊するのは沈黙の剣士-サイレント・ソードマン!マウンテンクラッシャーぁあああ!!」

ギュラギュラと金属が回転する音と共にドボク・ザークの巨大なアームが沈黙の剣士-サイレント・ソードマンに襲い掛かる!

沈黙の剣士-サイレント・ソードマン(破壊)

「くっ…!けれども、この瞬間、沈黙の剣士-サイレント・ソードマンの効果発動!デッキからサイレント・ソードマン LV7を特殊召喚する!」

ついに『奴』のご登場か。賢治のエースであり象徴と言うべき、あのモンスター…!だが、迎え撃つ準備は整っている!


サイレント・ソードマン LV7
特殊召喚・効果モンスター
星7/光属性/戦士族/攻2800/守1000
このカードは通常召喚できない。「サイレント・ソードマン LV5」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドの魔法カードの効果は無効化される。



堂々とした出で立ち、全てを沈黙へと導く大剣。流石に生で見ると迫力が違うな…。

なるほど、サイレント・ソードマン LV7は攻撃表示か…。確かに、守備表示なら合計戦闘ダメージは2200となり賢治は敗北する。だが、攻撃表示だからといって安心出来るか?このままバトルに入れば戦闘ダメージはジャスト2000だ!これで…オレの勝ち…!
勝てる…勝てる勝てる!オレが、賢治に、勝――――――!!















いや待て。
賢治の手札は一枚…。
まさか…オネスト!?
あり得る…。


だが、勝利があるんだぞ。目の前に勝利が…。賢治の一枚の手札がオネストでなければ勝てるんだぞ。勝つんだぞ…!あれが、オネストでなければ…!あれがオネストである可能性なんて、低いだろ…!勝利は目前…!















馬鹿が!


オレはガツンと自分で自分を殴り付けた。

「き、北村君!?」

「へへっ…。危うく自分を見失うところだったぜ。オレはもう同じ間違いを犯さない…。」

そうだ、かつてのオレは勝利欲しさに自分自身を見失い、挙句の果てに『勝利の証』なんていうカードを作っちまった。ありもしねえ勝利に手を伸ばしちまったんだ…!
確かに、オネストである可能性は高くない。しかし、この場面でオネストであればオレは負ける。サイレント・ソードマン LV7によって凡骨の意地が使えなくなってるんだからな…。ここは、オネストだと思うべきだ!

…だが、もし違っていたら?
その時は、誇ろう。自分自身を。考えを巡らせた結果の失敗なら胸を張ろう。少なくともオレは、あの日のオレよりも一歩前に出れる。『勝利の証』に頼ろうとしたあの日のオレよりも…!



「行くぜ!オレは残りの二体、レベル6のジャッジ・マンとエメラルド・ドラゴンでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!出でよ!ランク6、ソードブレイカー!」

大量の武器を背負った騎士が爆発の中から現れる。どんなモンスターが相手でも、こいつが必ず粉砕するぜ!


ソードブレイカー
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/地属性/戦士族/攻2700/守1000
レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、種族を1つ宣言して発動できる。このカードが、宣言した種族のモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。



「ソードブレイカーの効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除いて、戦士族を宣言する!これによりソードブレイカーと戦士族モンスターが戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずに破壊する!バトルだ!ソードブレイカーでサイレント・ソードマン LV7を攻撃!」

「ぐっ!」

サイレント・ソードマン LV7(破壊)

「更に、重機王ドボク・ザークで鳥銃士カステルに攻撃!アルティメット・バケットホイールぅうううう!!!」

巨大な重機がカステルを押し潰す!この一撃は強烈だぜ!

鳥銃士カステル(破壊)

「永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1で1000になるのは直接攻撃の時のみ。戦闘ダメージは全部受けてもらうぜ!」

「うわぁ!」

藤原賢治LP2000→800

「けれども、この瞬間ボクは墓地のサウザンド・ブレードの効果発動!このカードを攻撃表示で蘇生する!」


H・Cサウザンド・ブレード
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1300/守1100
「H・C サウザンド・ブレード」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):(省略)
(2):このカードが墓地に存在し、戦闘・効果で自分がダメージを受けた時に発動できる。このカードを墓地から攻撃表示で特殊召喚する。



「オレにはもう攻撃出来るモンスターがいない…。だが、オレはオレの出来る事をするだけだ!サイレント・ソードマンがいなくなったことでようやく使えるぜ!オレは手札より二枚の永続魔法を発動する!発動するのは…凡骨の意地だ!!」

「凡骨の意地が…合計三枚!?」

「次のターン、通常モンスターを引くたびに三枚ドロー出来るぜ!これでオレはターン終了だ!」



7ターン目終了
北村?? LP3000
手札:なし
モンスター:重機王ドボク・ザーク(攻3200)、ソードブレイカー(攻2700)
ペンデュラムゾーン:竜角の狩猟者(スケール3)、竜穴の魔術師(スケール8)
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1、凡骨の意地(永続魔法)×3

藤原賢治 LP800
手札:1枚
モンスター:H・Cサウザンド・ブレード(攻1300)
魔法&罠:なし




「ボクのターン、ドロー!」

ボクが引いたのはオネストだった。フィールド上のサウザンド・ブレードは地属性。これじゃあ、サポートは出来ない…。
いや、待てよ…。閃いた!

「ボクはオネストを通常召喚する。」

それを見て、北村君が肝を冷やしたような顔をした。多分、ソードブレイカーを出してきた辺り、オネストを警戒していたんだろう。

「そして、ボクはサウザンド・ブレードとオネストでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!励輝士ヴェルズビュートを特殊召喚!」

爆発の中から現れたのは、どこかのヒーローのような姿をした仮面の剣士だった。


励輝士ヴェルズビュート
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/悪魔族/攻1900/守 0
レベル4モンスター×2
(1):自分メインフェイズまたは相手バトルフェイズに、相手の手札・フィールドのカードを合計した数が自分の手札・フィールドのカードを合計した数より多い場合、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する。この効果の発動後、ターン終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。



「げえー!ヴェルズビュート!」

「ボクのフィールドと手札は合計二枚、北村君は合計八枚!よって、励輝士ヴェルズビュートの効果が発動出来る!オーバーレイユニットを一つ取り除いて、このカード以外のフィールドの全てのカードを、破壊する!!」

「あああああああああっ!!」

重機王ドボク・ザーク(破壊)
ソードブレイカー(破壊)
竜角の狩猟者(破壊)
竜穴の魔術師(破壊)
凡骨の意地×3(破壊)

永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1は効果によってフィールドを離れない。でも、十分だ。十分過ぎる。北村君のカードを、戦術を、徹底的に破壊した。

「励輝士ヴェルズビュートが効果を発動したターン、相手が受けるダメージは0になる。ボクはこれでターンエンドだ…。」



8ターン目終了
北村?? LP3000
手札:なし
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1

藤原賢治 LP800
手札:1枚
モンスター:励輝士ヴェルズビュート(攻1900)
魔法&罠:なし




「オレの、ターン…!ドロー…!」
(来たのはフレイム・ケルベロスか…。)


フレイム・ケルベロス
通常モンスター
星6/炎属性/炎族/攻2100/守1800
全身が炎に包まれた魔獣。相手を地獄の炎で処刑する。



オレは歯を食い縛った。フレイム・ケルベロスも活躍させてやりたかった。だが、こいつを出すだけの力が、もうオレには残ってねえ…。

「オレは、ターンエンド…。」

オレの声は自分でも分かるぐらい酷く弱々しかった。



9ターン目終了
北村?? LP3000
手札:1枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1

藤原賢治 LP800
手札:1枚
モンスター:励輝士ヴェルズビュート(攻1900)
魔法&罠:なし




「ボクのターン、ドロー。」

引いたカードは簡易融合だった。発動のためには1000ポイント支払わなければならないカードだから今は使えない。

でも、分かっている。北村君が引いたカードはレベル5以上の通常モンスター。つまり、何も出来ない。凡骨の意地を効率よく発動させるためにデッキの中はほとんどが通常モンスターのはず。それは裏を返せば凡骨の意地が無ければ手札事故一直線のデッキ…。

これは結果論かもしれないけれど、さっき北村君がオネストを恐れずにモンスター三体で総攻撃していたら勝っていたんだ…。あの瞬間にボクの手札にあったのはブラック・ホールだったんだから…。

「ボクは励輝士ヴェルズビュートで攻撃!」

「ぐはっ!」

北村??LP3000→2000

分かっている。北村君には打つ手がないことを。でも、これはデュエルだ。一度デュエルを受けた者として最後までやり抜く。次のターン、北村君が何もせずにターンエンドをしたら墓地の沈黙の剣の効果を使おう。次にボクが引くカードが何であってもサイレント・ソードマン LV3を持ってこれる。二体のダイレクトアタックで終わりだ。

…ただ、デュエルは最後まで分からない。もしかしたら北村君はさっきの魔装戦士ヴァンドラのように効果モンスターも数枚は入れている可能性がある。魔法や罠カードもないとは言い切れない。まだ分からない…。

「ターンエンド。」



10ターン目終了
北村?? LP2000
手札:1枚
モンスター:なし
ペンデュラムゾーン:なし
魔法&罠:永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.1

藤原賢治 LP800
手札:2枚
モンスター:励輝士ヴェルズビュート(攻1900)
魔法&罠:なし




あの時、凡骨の意地を発動せずに手札で温存しておけば…。いや、それは言うな…。サイレント・ソードマンがいつ出て来るか分からない状況下で、発動出来る時に発動しておくことは下手な手じゃない…。

「オレの、ターン。」

ついにここまで来ちまった。おそらく、次のカードも通常モンスター。しかも通常召喚出来ないレベルの高いやつだ…。これを引き、カードを確認し、ターンエンドをする。それだけだ、それだけで後は賢治がオレのライフを0にしてくれる…。

賢治の墓地には沈黙の剣がある…。次のターン、賢治があれを除外し、サイレント・ソードマン LV3を召喚して二体のダイレクトアタックで終わる…。


沈黙の剣
速攻魔法
(1):(省略)
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「サイレント・ソードマン」モンスター1体を手札に加える。



みっともねえ。サレンダーすればいいのに。
でも…諦めたくねえ…。諦めたくねえ…!

分かってる…。奇跡なんて無い…。弱者の戯言だ。あの日、『憩いの湖の世界』でオリジナルカードを手に入れて今度こそ、絶対に勝てると思っていた。もう誰にも負けないと思っていた。今まで負けた分を取り戻せると、思った…。


――――――――――――――――――――
「北村は弱いなあ。」

「まあ32位じゃあ、しょうがないよね。」
――――――――――――――――――――

世界を渡り歩き、最強のデュエリストになることを目的とした40人の者達をトラベラーと呼ぶ。オレはその内の一人だ。

――――――――――――――――――――
「どうして通常モンスターなんだ?サポートカードのある奴なら分かるが、お前のは使えないのが多過ぎる。」

「凡骨を除去されたら積むじゃん。発動から効果発揮まで一ターンも掛かるし、話にならないよ。」
――――――――――――――――――――

百万回は言われた。オレじゃあトラベラー最強にはなれないと。

――――――――――――――――――――
「北村君、私達と一緒に上位陣と戦わないかな?勝算があるんだ。」

「弱いなら弱いなりの戦い方ってもんがあるだろう?」
――――――――――――――――――――

弱いから群れる。集団戦法を卑怯とは言わねえ。けれども、その集団の中でさえオレは最強にはなれねえ。

――――――――――――――――――――
「分相応ってもんがある。トラベラーの最強はもう決まってるだろ。」

「下位の連中がじたばたしても無駄だよ。生まれを恨んだら?」
――――――――――――――――――――

強くなりたい…。強くなりたい…。弱いと決め付ける奴ら、使えないと見下す奴ら、何も出来ないと思っている奴らを見返せるぐらいに強くなりたい…!

――――――――――――――――――――
「今ある手札で頑張るしかないが、お前がどれだけ努力したって勝てない奴らがいる。現実を見ろ。」

「神様も不平等だよね。同じトラベラーの中でこんなにも実力が違うんだから。」
――――――――――――――――――――

デュエルモンスターズの世界には使われなくなったカードがある…見捨てられたカードがある…馬鹿にされ、見下され、見向きもされなくなったカードがある…!あいつらは、オレだ。オレ自身だ。

――――――――――――――――――――
「頑張れば勝てるって、誰も保障はしてくれない。無理だって。」

「その程度の努力、誰だってしてる。上位陣は同じ努力でもっと先に行く。頑張れば勝てるって、それは相手が全く努力していないことを前提にしてるよね。それは傲慢だよ。」
――――――――――――――――――――

強くなりたい…!強くなりたい…!力が欲しい、誰にも負けない力、誰にも見下されない力!力!力だ!力さえあれば、オレは…!オレは、デュエルを純粋に楽しいと思っていた頃のオレを取り戻せるんだ!!

オレは世界を渡ってペンデュラム召喚を手に入れて強くなった!見下していた奴の一人を殺してやった!ざまあ見ろ!使えないカードなんか無い!使えない奴なんていない!

だが、その時に気が付いた。オレの手はもうすっかり血塗られている。デュエルはトラベラーにとって、戦いの道具だ。相手を殺すための手段だ。楽しくない、楽しめるはずがない。そうだ、オレは…殺人(デュエル)を楽しんじゃいけないんだ…。



――――――――――――――――――――
「デュエルを楽しんじゃいけないって、そんなの絶対おかしいよ!」
――――――――――――――――――――



その言葉に、怒ってくれた奴がいる。本気で向き合ってくれた奴がいる。オレと決闘(デュエル)をしようと言ってくれた奴がいる。『神様のデュエル』をしようと、言ってくれた奴がいる…。

――――――――――――――――――――
「ねえ、きたむらー。次は『神様のデュエル』をしようよ。」

「デュエルを作った神様は単に皆に楽しんで欲しかっただけだと思うんだ。デュエルを、楽しもうよ!」
――――――――――――――――――――

オレは、まだ勝ち負けにこだわってる。このドローでカードを引けば勝つとか負けるとか、そんなレベルでデュエルをしてる。まだ、『神様のデュエル』には程遠いな…。

そうだよ、勝ち負けじゃない。ただ単純にカードを引く。ただ純粋に、デュエルモンスターズのカードを手に取る。それだけだ。勝ち負けを考えるのは全部終わってからにしよう。賢治とデュエル出来てよかったと、胸を張って言えるために。

オレは、デッキから、カードを、引いた。




















――――――――――――――――――――
「でも―――――――――――絶対がないからデュエルなんじゃない?」
――――――――――――――――――――

バチバチと音が鳴り、デッキからカードが引かれる。

え?何で?何でカードが光ってる?何でカードのテキストが見えない?というか、この光景をオレは知っている。『憩いの湖の世界』でオリジナルカードを作った時と同じ光景だ。何故?何で?オリジナルカードが作れるのは一度だけのはず…!

一ターンに一度――――?

?―――――デュエル中に一度

まさか、一世界につき一度作れるのか…!?

だが、何のオリジナルカードが出来る?何が創造されるんだ!?

その瞬間、オレの心に『勝利の証』が浮かんだ。

駄目だ!!あのカードだけは絶対に駄目だ!あれをもう一度作る訳にゃいかねえ!オレはもう戻らない!何でもいい!奇跡よ起これ!オレに先に進む力をくれ!
神様!新しいカードが出来るっていうのなら、今のオレに相応しいカードを頼む!!このデュエルを終えた時、楽しかったと言えるカードを―――――!!















引いたカード:奇跡召喚

「はっ、はは…。」

引いたのは『勝利の証』じゃなかった。これはオレの成長の証。あの時のままだったらきっと今、手に持っているのは『勝利の証』だっただろう。オレはそれが無性に嬉しかった。

「北村君…?」

賢治がオレの様子がおかしいのを心配そうに見つめていた。

「ああ…済まねえ…。デュエルを、続ける…。」

まさに奇跡体験ってやつだな…。

「オレはぁ!魔法カード、奇跡召喚(ミラクルサモン)を発動する!」


奇跡召喚(ミラクルサモン)
通常魔法(オリジナルカード)
融合モンスターカードまたはSモンスターカードまたはXモンスターカードによって決められた一組の素材モンスターを自分の手札と墓地から除外して発動する。その融合モンスターまたはSモンスターまたはXモンスターを融合召喚またはS召喚またはX召喚扱いで特殊召喚する。(融合モンスターの場合「融合」は必要としない。Xモンスターの場合、このカードの効果で除外したカードをX素材にする。)



「!!」

「この効果によってオレは手札のレベル6のフレイム・ケルベロスと墓地のファイヤー・ウイング・ペガサスでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!飛び立てぇええええ、陽炎獣バジリコックぅうう!!!」

赤く燃え上がる羽根を広げた巨大な鳥がフィールド上に舞い降りた。


陽炎獣バジリコック
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/炎属性/炎族/攻2500/守1800
炎属性レベル6モンスター×2体以上(最大5体まで)
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手のフィールド上・墓地のモンスター1体を選択してゲームから除外する。また、このカードが持っているエクシーズ素材の数によって、このカードは以下の効果を得る。
●3つ以上:このカードの攻撃力・守備力は、このカードのエクシーズ素材の数×200ポイントアップする。
●4つ以上:このカードは相手のカードの効果の対象にならない。
●5つ:このカードはカードの効果では破壊されない。



「効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除き、あんたの励輝士ヴェルズビュートを除外する!」

バジリコックの放つ炎に包まれてヴェルズビュートは静かに消えていった。

励輝士ヴェルズビュート(除外)

「しまった…!これじゃあ…!」

「バトルだぁ!陽炎獣バジリコックでダイレクトアタックぅうううう!!!」

「うわああああっ!!」

藤原賢治LP800→0

勝負は決した。賢治のライフポイントは0となり、勝者の名前がフィールド一杯に表示される。

勝者『KITAMURA KENJI』



勝った、勝った、勝ったんだ…!

「うおおおおおおぉおおおぉおお…!!」
オレは勝利の雄たけびを上げた。この気持ちを声にせずにはいられなかった。勝てた、勝てた!生まれて初めて勝ったような、胸の奥から体全体が熱くなる喜び。

「うう…!えぐっ…!!」
いつの間にか涙が流れていた。今までどんなに悔しくても誰かの前では泣いたことなんてなかったのに。感泣極まって、その場にうずくまってしまった。

「大丈夫かい…?」

賢治が心配して駆けつけてくれた。その隣には幸恵も心配そうにしている。

「あの、もしよかったら…。」

幸恵はハンカチを差し出した。オレはそれを受け取り、涙を拭った。



「…ああ。変なところ見せちまったな…。」
ひとしきり泣いた後、オレは目一杯、取り繕った。

「いや。いいデュエルだったよ。」
そう言って賢治は握手を求めてきた。オレは遠慮することなく、その手を取った。
「オレの方こそ、ありがとう。藤原賢治…。」

その時、オレは感じた。もうこの世界から旅立たなければならないことを。トラベラーによって一つの世界に留まれる時間は決まっているのだ。

「済まねえ、オレはもう行かないといけねえみてえだ…。」

オレの体が透け始める。二人とも驚いている。そりゃそうだ。人が透けていく光景なんて、まず見れるもんじゃねえからな。

「藤原賢治!あんたとデュエル出来て本当によかった!」

「うん、ボクもだ。ありがとう、北村君。」

「それから藤原幸恵!」

「えっ!?」

幸恵は急に呼ばれてビックリしたのか、声が裏返っていた。

「賢治とお幸せにな!」



そして、オレは次の世界に旅立った。

ありがとう、賢治。

このデュエルはあんたとじゃなきゃいけなかった。

同じ賢治の名前を持つトラベラーとして、どうしても。



…ん?幸恵はこの時代だと平見のままだったかな?




















カチッ。世界のどこかで何かの数値が上がる音がした。


永遠の決闘(エターナル・デュエル)Ver.2
フィールド魔法(ワールドカード)
0.デュエル開始直前にデッキのこのカードを相手に見せることで、このカードを発動した状態でデュエルが始まる。この効果を使用した場合、自分はデッキ変更できず、このカードはフィールドを離れず、効果を無効にできない。このカードは他のフィールドカードと共存する。この効果を使用する場合、デッキの「勝利の証」をこのカードの下に置く。
1.お互いのプレイヤーがモンスターの直接攻撃によって受ける戦闘ダメージが1000ポイントを超えた場合、受けるダメージは1000ポイントになる。
2.???






次の挑戦へ続く。




2016.08.13 | 未分類

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